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「恭介は今が忙しい時期だからね……あたしと付き合ってる余裕はないか」 「……本当にごめん」 「謝らないでよ……恭介は悪くないんだからさ、この話はもうおしまいにしようか!」 「……そうだね」 無理に元気を装って言う。さやかの声は震えている。 彼女が泣いているのを見ていられなくて恭介は目を逸らした。 「僕はもう行くよ……練習しなくちゃならないから」 「うん。呼び出してごめん……あのさ、いままで通り幼馴染みでいてくれる?」 「もちろんだよ。これからもよろしく……」 気まずい空気を残して恭介は去っていった。結局告白を終えてから恭介は視線を合わせなかった。 こうしてさやかの告白は辛い結果に終わるのだった。 ◇ 「終わったみたいですね」 「上条君は行っちゃったみたいだけど……告白は成功したのかな」 「どうでしょう……本人に聞いてみないと……」 「じゃあ、行ってみようよ。どうなったか気になるでしょ」 アーシェはこくりと頷く。二人はさやかの側に歩み寄った。彼女は顔をうつむかせたまま俯いている。 「さやかちゃん、告白どうだった? 上条君は付き合ってくれるって?」 「………」 さやかは棒立ちしたまま反応しない。 「ちょっと、かおるこ先輩が聞いてるんだから、ちゃんと答えなさいよ」 アーシェがさやかの肩に触れた瞬間ーーー。 「うぇええええええんっ!!!!!」 目から大粒の涙を流しながら、さやかはアーシェの胸に飛び込んで来る。
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