ガンプラビルドガールズ
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プラネテューヌ親衛隊
2016/09/04/18:14
七森中在校生赤座あかりはいつも通りの日常を過ごしていた。
二年生に上がり三年生が受験勉強に勤しんでいる季節。
ひょんな事から幼馴染みの歳納京子が部室にガンダムのプラモデルーーーガンプラを持ってきてーーー。
この物語はガンプラファイトを通じて成長する少女の物語である。
[SC-05G]
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プラネテューヌ親衛隊
2016/09/08/15:20
敵を倒して京子は口の端を上げて拳を握った。
「うむ、見事だ」
京子の戦いに感心したギムがニヤリと笑う。
現在京子達は月光蝶のガンプラファイトシュミレーターで彼の特訓を受けていた。
「それに比べてあいつは……」
ギムが呆れたように京子の横に位置する少女に目を向ける。
「うわぁあああん!」
あかりだ。
大泣きしながらパニック状態になっている。
彼女がのるオーライザーはハイモックに囲まれてハンマーでボコボコにされていた。
「た、助けて〜!」
「落ち着いてあかり。一度振り切ってオーライザーに備わってるミサイルを使うんだ!」
「あ、そ、そうだね」
京子の声に冷静さを取り戻したあかりは危機を脱しようとしたが……。
「うわぁあああん! なにこれえええええええっ!」
真っ直ぐ飛ぼうとしたが操作をミスしてオーライザーはその場で高速回転を始めてしまった。
普通なら危機に陥るところだが高速回転したオーライザーに接触したハイモック達は次々と吹き飛んでいく。
「ある意味凄い対処の仕方だね……」
「ええい! やめだやめっ!」
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2016/09/08/15:20
ギムの怒号の声と共に練習が終了する。
ガンプラファイトシュミレーターからウウゥ……と低い駆動音が徐々に小さくなりプラフスキー粒子の光も消えていった。
残されたのはフィールド上の二人のガンプラのみ。
「あかり。ガンプラファイトは競技であって戦争ではない。故に死ぬこともないのだからそんなに怯える事はないのだぞ」
「で、でも……実際ビームを撃たれるのを見ると……あうっ」
プラフスキー粒子の演出であって実際にビームが出てる訳ではないと理解はしているのだが、いざ体感してみると小さいながらも本物さながらの迫力に怯えて力が出なくなってしまうのだ。
あかりの実力を目の当たりにしてギムは肩を竦める。
「やれやれ、どうしたものか……これは一ヶ月でどうこうってレベルではないぞ」
「うう……すいません……」
なんだが申し訳ない気がしてあかりは頭を下げた。
「まあまあ、御大将。まだ先は長いんだから長い目で見ようって」
京子がポンポンとギムの肩を叩く。
歳上相手にいつもと変わらない態度はいかがなものだろうとあかりは内心で思った。
「今日の特訓はここまでにしてさぁ、わたしに提案があるんだけど……」
京子がニヤニヤしながら人差し指を立てて左右に振る。
ギムは訝しげな表情で京子を見た。
「なんだ。提案て?」
「まあ、わたしに任せなって!」
ギムの返しに京子は更に得意気に微笑むのだった。
◇
「ここって……」
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2016/09/08/15:21
あかりと京子は街内にあるレンタルビデオ店の前で立ち尽くしている。
京子に連れられ、やって来たのがこの場所である(ちなみにギムは店に置いてきた。店長だから店を外れないのだが悔しそうな顔をしていたのがあかりの記憶に刻まれている)
看板を見上げながらどうしてここに連れてこられたのか、不思議でしょうがなかったあかりは真横の京子に視線を向けて言った。
「何でここに連れてきたの?」
「中に入ればわかるよ」
理由を告げず京子は中へ足を進めた。
彼女が向かう先はアニメコーナー。そこのある一角で足を止めて向き直るとニッと笑って両手を広げた。
「ジャーン! ここがガンダムコーナーだよ!」
そこは歴代のガンダム作品が置いてある場所だった。
その数の多さにあかりは目を丸くする。
「え、こんなにあったの!? 凄いっ!」
「かなり前からやってるからね〜。息抜きに何かレンタルしてこうよ」
「もしかして……ガンダムのアニメを借りる為に来たの?」
うん、と京子は首を前に倒した。
「あかりってガンダム知らないだろ。息抜きついでに知ってもらおうって思ってさ〜。作品を実際上知ってもらえばガンプラファイトにも身が入ると思って」
(京子ちゃん……あかりの為にそんなことを)
自分の為に勧めてくれる京子の優しさに涙が出そうになったが堪える。
ここで泣いてしまったら心配をかけてしまいそうだから。
「あかりが選んでいいよ。ダブルオー買ってくれたお礼っつーことで」
「じゃあ……」
あかりはガンダムコーナーの作品を一通り見てから一番左端にあった物を差す。
「あれでいいかな」
「まさかの初代っ!? 渋いなっ!」
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2016/09/08/15:21
驚きつつも京子はあかりが選んだ『機動戦士ガンダム』DVDを数巻を取り出す。
「もう一回聞くけどこれでいいんだよね?」
「うん」
もう一度確認してからパッケージからケースを取り出して元の場所に戻す。DVDを手に二人はレジに向かった。
「そんじゃ、楽しんでくれよ〜」
店を出て帰路についている頃。
京子はあかりと別れて手を振りながら遠ざかっていく。
彼女の姿が見えなくなってから、あかりは京子にレンタルしてもらったDVDを胸に抱いて歩き始めた。
(楽しみだな〜。帰ったらさっそく見よう)
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2016/09/09/16:09
鼻歌混じりにあかりはスキップしながら家へと帰宅していった。
◇
「さてと……」
あかりは帰宅し自分の部屋で難しい顔をしながら唸り出した。
「帰って改めて思ったけど……あかりの部屋にテレビなかったよ」
大きな問題に気づいてあかりは落胆していたのだ。
「リビングで見ればいいんだけど……お母さん達がいる前で見るのは恥ずかしいし、何よりお姉ちゃんに見られるのは……」
あかりには姉がいる。
とても優しくあかりも大好きなのだが、男の子が好きそうなアニメを見ていたら笑われたりしそうであまり彼女の前ではガンダムの話はしないようにしていた。
「うーん、どうすれば……あっ!」
あかりはいい案を思い付いた。
早速確認とろうと携帯電話を出してある人物に電話をする。
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2016/09/09/16:09
◇
ーーーそして翌日。
「お邪魔しまーす」
「お、来たね。いらっしゃーい」
あかりは京子の家を訪ねてきた。
今日は休日なので昨日の電話で一緒にDVDを見ようと連絡したのだ。
「まさか、あかりから連絡くれるとは思わなかったよ」
「えへへ」
京子に案内されて彼女の部屋へと到着する。
京子が二人分の座布団を用意するとあかりは腰を落とし、京子はテレビの電源をつけてDVDプレーヤーにあかりから手渡されたDVDをセットする。
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2016/09/09/16:09
「あかり。なんだかわくわくしてきたよ」
「私もなんだ。実は初代見たことないんだよね〜」
二人は楽しみで胸が一杯になる。
いよいよ映像が再生されて『機動戦士ガンダム』が始まる。
第一話が始まってから終わるまで二人は一度も視線を画面から外さず映像に食い入っていた。
エンディングが流れ終わり。次回予告が始まる前に京子がボタンを押して一時停止する。
「かっこよかったな」
「うん、うん……!」
顔を見合わせた二人の目は爛々と輝いていた。
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2016/09/09/16:10
ガンダムが初めて起動したシーン。
ザクを撃退したシーン。
ガンダムが見せる動き一つ一つが二人にとって新鮮で心が踊った。
「よし、この調子で残りも見よう! んで持って今度は残りを全巻借りてこようっ」
「うん、今日はお泊まりするってお母さん達に連絡するね」
一話を見て舞い踊ってる二人を止める者は誰もいない。
借りた巻を全て視聴し、レンタルビデオショップへ急ぐのだった。
◇
「それで結局二日かけて全部見たの……」
翌日教室でちなつが引き気味に尋ねる。
あかりは無言で頷いた。
彼女の両目は血走って目の下に隈が出来上がっている。
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2016/09/09/16:10
「珍しく夜更かししちゃったよ……」
「九時には寝ちゃうのに頑張ったね!」
夜更かしが出来ない体質のあかりが徹夜してまでアニメを見た事に驚愕する。
「そんなに面白いんだ。ガンダムって」
「うん、面白いよ。戦闘シーンで動くガンダムはかっこいいし、登場人物の様々な人間模様とか気になるところが目白押しなの」
「ふーん」
力説するあかりの話を聞いてちなつも薄々興味が沸いたきた。
「そんなにガンプラファイトにハマったんだ」
「うんっ! まあ、実力はまだまだなんだけどね……」
あかりは苦笑しながら頬を掻く。
「凄いね。そこまで興味を持つなんて……最初にガンプラ壊されたのに……」
「あはは、自分でもびっくりだよ」
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2016/09/09/16:10
あの時ジムを壊されたのは胸を締め付けられるくらいに辛かった出来事の筈なのに……その辛い思いよりもガンプラを初めて動かした時の感動の方が大きかった。
自分でも立ち直りが早かった事に驚いているくらいだ。
「今日も部活終わったらその模型店に行くんだよね」
「うん、京子ちゃんとの約束だしね」
あかりは声を弾ませる。
彼女のその楽しそうな様子にちなつは薄々ガンプラに興味が出てきていたのだった。
◇
部活を終えて、あかりと京子は今日もガンプラファイトの特訓を行っていた。
「よっしゃ! 行くぞっ!」
京子の気合いが入った叫び。ダブルオーを巧みに操って迫ってくる隕石の群れの中を速度を落とさず掻い潜っていく。
「どうよっ!」
「こんなのこなせて当たり前だ。まだまだレベルを上げていくから覚悟しておけ!」
「ちぇ……誉めてくれてもいいのに」
京子が眉根を歪めて唇を尖らす。
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2016/09/09/16:11
「んーっと、あかりは……あー。やっぱりね」
同じ特訓をしているあかりの様子を見てみる。
京子は見た瞬間に頬をひきつらせた。
「うわああああん!」
あかりの悲鳴が部屋に響く。
何度も見た光景。迫る隕石に怖じ気づいて回避すらままならず衝突を繰り返している。
「御大将……あかりがうまくなるのは時間がかかりそうだね」
「確かに……少し休憩を取らせるか」
ギムは溜め息を一つ吐く。
両手をパンパンと叩き、しばらく休憩する事を二人に伝えた。
◇
「うぅ……あかりダメダメだよ」
試合室を出るなりあかりは肩を落として泣いていた。
「気にしなくてもすぐに上手くなるって」
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2016/09/09/16:11
「だといいけど……」
いままでやった特訓でいい結果が出てない事にあかりは不安でいた。
今回の特訓は……宇宙空間で戦う場合漂流してきた隕石を的確に避けるというもの。これが出来なければ衝突でダメージを負うだけでなくぶつかった隙を狙われて的になってしまうのを避けるためのもの。
頭ではわかっているのにそれが出来なくてあかりは余計に落ち込んでしまう。
誰かの視線を感じて視線をそちらに向ける。
商品棚の影からちなつが頭を少し出してこちらを見ているのが見えた。
「まだまだ大会は先なんだから楽しんでいこうぜ。そんな暗い状態でいたら上達なんてできないよ」
「う、うん……そうだよね」
あかりは自分の心に「いつか必ず上達できる」と言い聞かせてくらい気持ちを取り払う。
まだぎこちない笑顔で京子に言った。
「……?」
誰かの視線を感じた。
感じた方向に視線を向けると商品棚の影から見慣れた人物の姿があった。
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2016/09/09/16:11
「あれ、ちなつちゃん?」
「……っ!」
商品棚から頭を出してこちらを見ていたのはちなつだった。
しかし、どういう訳か名前を呼ばれた途端。弾けるように店内の外へ出ていってしまう。
「え? え? に、逃げた……」
「今のちなつちゃんだよね。何でこんな所にいんだろ」
「さあ……」
そう言われてもあかりにはちなつがここにいる理由がわからない。
「とりあえず捕まえて聞いてみよう」
「うん!」
逃げていったちなつを追いかけて二人は店内を飛び出す。
特に手間取る事もなく、店を出てすぐの所でちなつを捕まえる事が出来た。
「ふふふ、捕まえたよ。ちーなーつちゃん!」
「ひっ!」
両手を広げて指をくねらせながらちなつに迫る京子の姿は変質者にしかみえなかった。
「京子ちゃん……周りの人が見てるからやめようよ」
「あいよ!」
行き交う人々が変な目で見ているのに気づいて京子は怪しい動きをやめた。
「んで、ちなつちゃん。何であの店にいたのかな?」
「えっと……あかりちゃんの話を聞いて私もガンプラが気になってお二人が通ってる店に行ってみようかなって」
「それならあかりが名前を呼んだ時にどうして逃げたの?」
「だ、だって二人が怖そうな人といたから……」
「「あー……」」
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2016/09/09/16:11
間違いなくギムの事だろうと二人は彼の強面の顔を思い浮かべて納得する。
早めに誤解を解いた方がいいと、ちなつに説明をした。
「じ、じゃあ、あの人店長さんなんですか……」
「そうなんだよ。あんな顔だけど面白い人だから怖がらなくていいよ〜」
「本当ですか。ぜ、前科持ちの人じゃないですよね……」
「それは相手に失礼だよ……」
説明しても怖がるちなつ。
あかりも内心怖いと思ってるから彼女が怖がるのも共感出来た。
「おい、お前達。ここで何をやってるんだ」
背後から声をかけられる。
二人が振り返るとそこには仁王立ちしているギムがいた。
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2016/09/10/18:15
「あれ? 御大将何してんの?」
「それはこっちの台詞だ。先程貴様らが店を出ていく姿が見えたのでな、訓練が嫌で逃げ出したのかと思ってやって来たのだ」
「なぁんだ。そんな事か、違うってもっと別の理由だよ」
「そうです。実はあかり達のともだ……はうわっ!」
ギムにちなつを紹介しようとしたあかりが変な声を発した。
横目でちなつを見たら彼女は白目を向いて硬直していたのだ。
「ち、ちなつちゃんが固まってる……」
「まあ、御大将の強面見たらこうなるよね〜」
「おい、然り気無く馬鹿にしてるだろ」
京子を睨み付けるギム。
京子はわざとらしく口笛を吹いてごまかした。
ギムは深い溜め息を吐いてから、あかりに視線を向ける。
「そこで固まってるのはお前達の友人か?」
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2016/09/10/18:16
「はい。今起こしますね。ちなつちゃん……起きてちなつちゃんっ!」
「はうっ!」
あかりに身体を揺さぶられてちなつは正気に戻る。
「わ、わたし気絶して……ひっ!」
だが、視界にギムの姿が入り込んでふたたび硬直してしまった。
「ちなつちゃああああんっ!」
「ごめん御大将。ちなつちゃん気絶するからしばらく店に戻ってて」
「ぐぬぬ……御大将の扱いが悪いのである!」
何もしてないのに帰れと言われて納得できないが、帰らないとまた面倒になりそうなので素直に店へと帰って行ったのだった。
◇
数分後。
「あ、あの……さっきはすいませんでした」
正気を取り戻したちなつがあかり達と一緒に月光蝶へ戻り。ギムに謝罪する。
「いい、俺は気にしてない……」
と言いつつもギムはサングラスとマスクで顔を隠していた。
「御大将。余計に怪しいよ」
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2016/09/10/18:16
「うるさいっ!」
京子の一言に激怒し、ギムは椅子にふんぞり返って歯軋りを立てた。
「まあ、御大将はこの際放っておこう」
(自分から怒らせたのに酷い……)
と、あかりは苦笑する。
「ようこそちなつちゃん! 模型店月光蝶にっ!」
京子は両手を広げてちなつを歓迎する。
ちなつは特に大仰な京子の歓迎に反応せずに店内を見回した。
「さっきも入って思ったんですけど、プラモデルってこんなに沢山売ってたんですね。正直驚きました」
視線を京子に向けて言った一言。
それはあかりがこの店に初めて来た時と同じでそれを聞いたあかりは親近感が沸いてきて嬉しい気持ちが込み上げてきた。
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2016/09/10/18:16
「でさ、ちなつちゃん……」
あかりが口を開くよりも先に京子がちなつに声をかける。
「せっかく来たんだから何か買ってく?」
「え?」
ちなつは目を丸くした。
あかりの様子が気になって来ただけなのに購入を勧められるとは想定してなかったからだ。
「えっと、わたしは……」
「貴様ああああっ!」
「っ!?」
突然ギムが大声を出してカウンターを強く叩き立ち上がる。
その迫力にちなつどころか京子とあかりも後ずさった。
「まさかお客だったとはなぁっ! それなら先に言え! この俺がお前にピッタリのガンプラを見立ててやろう!」
ギムは誇らし気に胸を叩く。
「あ、あれ……何かこの光景どこかで……」
「いや、あの……だからわたしはですねーーー」
「気にするな。すぐに戻ってくる!」
全く人の話に耳を貸さずギムはちなつにあったガンプラを探し始める。
「な、何か面白い人だね」
「うん、あかりも最初こうだったよ」
「そ、そうなんだ……」
「ここまで来ると持ってくるのまさか……」
京子は嫌な予感がしていた。
それはあかりも同様で……そうこうしてる内に一つの箱を持ってきてギムが戻ってきた。
「俺のオススメするのはーーーこのターンXだぁっ!」
「「やっぱりねー!」」
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2016/09/10/18:18
前にも似た展開を経験した二人は同時に声を上げて冷や汗を掻く。
「あー……ごめんなさい。それはあんまり好きじゃないデザインなのでやめておきます……」
「おのぉれえええええええ!!!!!」
悲鳴にも似た雄叫びを上げてギムは床に片膝をついた。
「え、えっと……そのガンプラ素直に受け取っておいた方がよかったんでしょうか!」
「そんなに気にしなくていいよ。この人初対面の相手には必ずターンX薦めてくるから」
「そうだったんだ……」
意外な事実を知ってあかりの額に汗が浮き出てくる。
「選ぶんだったら自分で選んだ方がいいよ。そっちの方が愛着沸くってもんだし」
「そうなんですか?」
「そういうもんだよ。ささ! ちなつちゃんのガンプラを探しに行こー!」
京子はちなつの背後に回り背中を押して店内へと連れていく。
「あ、あの……わたし。気になると言っただけで買うとは……」
「まあまあ、目の保養にもなるから見ていこうよ」
「あ、あかりちゃんまで……もう、わかったわよぉ〜」
普段は止める側のあかりまで今回は京子の味方になってしまう。
観念して二人と一緒に店内を見て回る。
「うーん、わたしが好きそうなのは……ん!?」
意外とちなつが気に入ったガンプラが見つかるのにそんな時間はかからなかった。
ちなつは一つの箱を手にする。
「こ、これ……可愛い!」
ちなつが見せてきたのは、キュベレイという機体だ。
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2016/09/10/18:18
白を強調した装甲。大きく流線を描く肩。細長い顔立ちに鋭い目付きにと少し変わった見た目のガンプラだった。
「か、可愛いのかな?」
「ちなつちゃんがそう思ってるならいいんじゃね」
「そ、そうだね……」
ちなつの独特な感性に驚きつつも心の中で可愛いと思う事にしようと納得するあかり。
「キュベレイ気に入ったんだ。んじゃそれ買うの?」
「はい! こんなに可愛いのがあるとは思いませんでした。早速買ってきますね!」
そう告げるとちなつはスキップしながらレジの方へ向かっていった。
◇
「出来たっ!」
と、ちなつが声をあげる。
買ってから店内であかり達に教わりながらキュベレイを製作して今完成する。
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