VAVA「大いなる遺産を手に入れるのは、この俺だぁ!」
[
1
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2017/06/16/22:21
VAKAがロックマンDASHの時代で復活したようです。
[F001]
編集
削除
コピー
前のページ
次のページ
▽
||
1-
||
投稿
||
更新
||
検索
3576HIT
投稿数:298/1000
[
260
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
[
260
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2018/11/11/22:18
…視点変更→『???????????』
◇
俺は妖精戦争の最中に造られた軍用レプリロイドだった。しかしサイバーエルフとの融合が中途半端だったため暴走してしまい封印され、そのバグが修正されることなく年月だけが過ぎた。
そして、俺が目覚めた時、既に戦争は終わっていた。
だが、俺を目覚めさせたバイルという男は、俺をアインヘルヤル八闘士の一人として採用した。
これでやっと戦える――!
俺はその事実に歓喜し、本能のままに『伝説の英雄』と戦った。
結果は負けだったが、それで長い間封印されていた俺が満たされるわけもなく、勝手に再戦を約束して死んだ。
歴史は繰り返す。
俺は再びこの世に甦った。戦うために。
何でも、今回の相手は俺と同じで闘争と破壊が大好きらしい。その強さから『鬼札』と呼ばれているらしい。
しかし、俺はなかなかそいつと戦えなかった。コカペトリのおっさん、イナラビッタのチビ、フォクスターのカマ野郎が先に選ばれ、俺は一番最後になってしまった。
どうして俺を後回しにするんだ、と、俺を復活させた男に訊ねたことがある。すると、そいつは、
ジュノ「デザートは最後にとっておくものですから」
そのデザートは俺と『鬼札』、どっちなんだ?
ジュノ「それは、秘密です」
そう返されたので、俺は疑問の答えに興味を失った。
もうそんなことはどうでもいい。やっと俺の番が来たんだ。ようやく戦える。
ウオオォォォーーーン!!
俺は大声で叫ぶと、雪原を駆け、車上の『鬼札』に突進し、一緒に反対側に転げ落ちた。
「ガウウウゥ……待ちくたびれちまったぜ鬼札さんよぉ、途中で雑魚にやられちまったんじゃねえかと思ってヒヤヒヤしたぜ」
「こんだけ焦らしてくれたんだ……あっという間に参りました、とかはナシだぜ?」
VAVA「おまえが、四人目か」
ルナエッジ「そうだ、俺はフェンリー・ルナエッジ! 楽しく戦おうぜ!」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
261
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
261
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/11/18/22:46
ルナエッジ「俺についてこれるかな?」
俺は両足をバネにして、VAVAに飛びかかった。
ルナエッジ「切り裂け、牙よぉ!」
VAVA「……」
回避されるが、そんなことは想定内だ。
ルナエッジ「イヤホォーッ!」
俺は体を丸めて高速回転し、あたりを駆け回る。VAVAが攻撃してくるが、この時の俺にダメージを与えることはできない。
VAVA「…ちっ」
そのことに気づき、逃げの一手を打つVAVA。どうやら距離を取るつもりのようだ。無駄なことを。
ルナエッジ「てやぁー! たぁー!」
俺は回転を止めると、雪原に向かって両腕を交互に振るう。すると、衝撃による巨大な白い刃が出現し、VAVAに向かって真っ直ぐに飛んでいく。
VAVA「うおお!?」
流石に予想外だったのか、VAVAは反応が遅れて回避に失敗した。確かなダメージがその紫色のボディに入る。
VAVA「…!」
VAVA「牙と爪による格闘能力、狼ゆえの俊敏さ、アルマージと同様の無敵回転攻撃、遠距離攻撃も完備……おまえ本当に氷属性のレプリロイドか!?」
ルナエッジ「100年経ってるんだ。欠点を克服した機体だって造られるさ!」
ルナエッジ「それに、俺が弱かったらおまえも楽しめねえだろ!? 喜べよぉ!」
俺はもう一度VAVAに向かって突撃していく。
戦いはまだ始まったばかり。お楽しみはこれからだ。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
262
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
262
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/11/25/22:22
ルナエッジ「ガウアァァァ!」
VAVA「うおおおお!」
ズン! ドドン! ボガーン!
VAVA「クハ、クハハハ! 強い、強いな! いいぜ、強いやつは好物だ!」
ルナエッジ「奇遇だなぁ、俺もだよぉ!」
あのにやけ面には感謝しないとな。こんなに楽しい思いをもう一度させてくれたんだから。最後までおあずけをくらってた分、喜びもひとしおだぜ。
VAVA「あのにやけ面のことは大嫌いだが、おまえを復活させたことには感謝しなきゃならんようだ…!」
ルナエッジ「似たようなこと考えやがって……俺たち、気が合うな!」
VAVA「当然だろう? 俺もおまえも、立派な戦闘狂。違いがあるとすれば、俺はおまえを潰してその先に進まなきゃならんというこか」
ルナエッジ「潰す? 俺を?」
ルナエッジ「俺を誰だと思ってやがる! 凍月軍狼(いてつくぐんろう)、フェンリー・ルナエッジだ!!」
ルナエッジ「俺を倒したきゃ、今のを後、千発はぶちこみな!!!」
VAVA「わかった。千発だろうが、二千発だろうが、ぶちこんでやる!!」
力強くいい放つ俺に、VAVAは同じくらい力強く返してきた。
――嗚呼、楽しい…!
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
263
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
263
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/09/22:08
ガキィ…ン!
VAVA「うお…!」
ルナエッジ「が…!」
ガクッ、と俺は膝をついた。対してVAVAはふらついてはいるが両足でしっかり立っている。
勝負あったのか? いや…!
ルナエッジ「足りねえ…」
VAVA「なに?」
ルナエッジ「足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえ足りねえええええええ!!! 俺はもっと戦いてえんだよーーー!!!」
起き上がると同時に、体の節々が軋みをあげる。これ以上無理に動いたら、俺は間違いなくぶっ壊れる。
それがどうした。無理を通して、道理を蹴っ飛ばす!!
ルナエッジ「俺は最期の瞬間まで、楽しい方を選ぶぜぇ!!」
VAVA「……」
VAVA「…おい、ジュノだかクロだか知らんが、いるんだろ? 出てこい!」
ルナエッジ「なに!?」
クロ「あ、バレた?」
VAVA「さっさとこいつを連れて帰れ。勝負はお預けだ」
ルナエッジ「ふっざけんな! 俺をぶっ潰すんじゃなかったのかよ!」
VAVA「俺は気に食わないものはぶっ潰すが、おまえは気に入った。俺もおまえとはまだまだ戦い足りない」
ルナエッジ「…!」
VAVA「何度でもかかってこい。何度でも相手をしてやろう。だからまず、その体を直せ」
VAVA「あのにやけ面が、おまえをもう一度復活させるという保証は、無いのだからな」
ルナエッジ「……」
クロ「話は纏まった? じゃあ運ぶよ」
ルナエッジ「ああ……約束だぞ、VAVA!」
VAVA「ああ、約束だ」
次の戦いが待ち遠しくてたまらない。俺は最高の対戦相手を手に入れたんだ。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
264
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
264
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/16/22:18
…視点変更→『ロック・ヴォルナット』
◇
ロック「いた! あそこだ!」
アイラ「おーい、VAVAさーん!」
空賊が造った装甲列車を撃破してすぐ、僕たちはVAVAさんの捜索を開始した。
VAVAさんは雪原の上にポツンと立っていた。積もった雪が凸凹になっていたので、ここで戦闘が行われていたことがわかる。
VAVA「おまえたちか……空賊はどうした?」
ロック「うん、倒したよ」
アイラ「凄かったんだよ! グライド車両が切り離されてドーンってなって、溶岩に沈めたはずのボンがボーン車両の動力源になってて、爆発したのにコブンたちが『イエーイ!』って!」
VAVA「落ち着け」
ロック「あのレプリロイドは?」
アイラ「早くてよく見えなかった。水色だったよね?」
VAVA「何時もと同じだ、クロが回収した。フェンリー・ルナエッジという名の狼型レプリロイドだったぞ」
淡々と語るVAVAさんだったが、どこか楽しそうに見えた。アーマーが今までにないくらい傷ついていることから、相当な強敵だったんだろう。
ロック「そう。それじゃあ、一旦補給してから、最後の封印の鍵を取りに行こう」
VAVA「ああ」
珍しいことに、VAVAさんは先を歩かずに僕たちの後についてきた。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
265
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
265
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/25/21:51
ヨーションカの街の教会の地下にある、最後の封印の鍵が眠るダンジョン。
案の定、そこは一面の銀世界で、他の遺跡に比べても静かな感じがした。
『メぇぇぇ〜〜リぃぃぃぃクリっスマぁぁぁーーースぅ!! ひゃぁーーはっはっはっはっはぁーーーっ』
…何か聞こえたけど気にしない。
ロール『ここに、最後の封印の鍵があるんだね』
ロール『さっそくなんだけど、近くに大きな段差があるみたい。そこから、更に地下に降りれるよ』
アイラ「え? 段差なんて見当たらないけど」
キョロキョロと辺りを見回すアイラちゃん。確かに、視界には柱みたいなものしか映らない。
ツルッ
アイラ「うわー!?」
すると突然、アイラちゃんが滑って転んだ。足下に氷があったんだろう。
ロック「大丈夫?」
アイラ「う、うん…」
バリンッ!
アイラ「えっ? うわー!?」
ロック「アイラちゃん!」
僕が手をさしのべたその時、アイラちゃんが乗っていた氷が割れて、彼女は下に落ちてしまった。
VAVA「なるほど。氷で段差が隠れていたのか」
ロック「わかってたけどちょっとは心配しようよ……アイラちゃん、大丈夫ー!?」
アイラ「う、うーん! 大丈夫ー!」
下の方からしっかりとした返事をするアイラちゃん。するとVAVAさんは、
VAVA「俺が鍛えたんだ。あいつがあれぐらいで音をあげるか」
と、呟くように言った。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
266
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
266
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/25/21:53
狭い通路が続く。僕たちは足並みを揃えて歩いていた。
アイラ「ねえ、VAVAさん」
VAVA「何だ」
アイラ「大いなる遺産を手に入れたら、VAVAさんはどうするの?」
ロック「そう言えば、聞いたことなかったなぁ」
VAVA「そうだったか?」
ロック&アイラ「「うんうん」」
二人で頷くと、VAVAさんは淡々と語り始める。
VAVA「俺は大いなる遺産が欲しいわけじゃない。歴史の真実が知りたいんだ」
ロック「歴史の真実?」
VAVA「カトルオックス島のワイリーという男を、知っているか?」
ロック「え? うん」
忘れるはずかない。ジュウイン湖のサブゲートをディグアウトした時に、ロールちゃんが勝手に修理したボートを無償で貸してくれた、優しい老人。
VAVA「あいつが言ったんだ。『この世界の歴史は、ある日を境に唐突に始まっている』」
アイラ「え?」
VAVA「最初はエックスの存在の有無が知りたかったんだが…」
VAVA「ロックマン・ジュノが復活させたレプリロイドを差し向けてきたことで、俺はこの世界が『俺が造られた時代の未来』だと知った」
VAVA「だが、おまえたちはレプリロイドの存在を知らなかった。『レプリロイド』が風化する程に、はるか未来なのだろうと思った」
VAVA「それだけの歴史を歩んだはずなのに、なぜ唐突に始まる? おまえたちディグアウターがいるのなら、多少なりとその時代のことが知られていてもおかしくない」
ロック「言われてみれば…」
アイラ「? ? ?」
VAVA「その唯一の手掛かりになる可能性があるのが、大いなる遺産だと言われたんだ。だから俺は、大いなる遺産とやらがまず『歴史の真実』に関わるかどうかをはっきりさせて、その上で『歴史の真実』を知りたいんだ」
アイラ「大いなる遺産が、真実と無関係だったら?」
VAVA「その時は、また別の可能性を探して、それを潰しに行くまでだ」
気の遠くなる話だ…。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
267
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
267
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/29/22:47
VAVA「そういうことだから、これからも世話になるぞ。ロック」
ロック「え?」
VAVA「今のところ、大いなる遺産以外で過去に繋がる手掛かりは、おまえとあのにやけ面しか無いからな」
ロック「……」
アイラ「お兄ちゃん?」
ロック「怖く、ないの?」
VAVA「は?」
ロック「真実を知ることが、怖くないの?」
自然と、そんな言葉が口から出てきた。
僕は怖い。『ロック・ヴォルナット』でいたいから、『ロックマン・トリッガー』を知ることが怖い。
僕が、僕でなくなってしまうような気がして、怖い。
VAVA「ああ、怖くない」
しかし、VAVAさんははっきりとそう返してきた。
VAVA「わからないから、理解できないから怖いんだ。わかってしまえばどうということはない」
VAVA「だから、俺は真実を求める」
ロック「……」
「知らなければ良かった」と感想を抱いた場合はどうするの? という疑問を、僕は飲み込んだ。
それこそ、彼が嫌う話題だとわかっていたから。
会話はそこで終わり、僕たちは更に遺跡の奥へと進む。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
268
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
268
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2018/12/29/22:48
地下へと進んでいくと、遺跡というよりは、ただの空洞ような場所に出た。自然にできた洞窟をそのまま遺跡の一部にしたのだろうか。
ロック「…ん?」
少し前に出ると、鍵の形をしたリーバード、ハンゲカルが三体いるのが見えた。ハンゲカルの方もこちらに気づいたらしく、ぴゅーっと逃げていく。
ハンゲカルは攻撃してくることは無い。ただただ逃げるだけだ。
ただし、見た目通り『先へ進むための鍵』なので、捕まえなくてはいけない。
VAVA「一人一体だな。喜べアイラ、鬼ごっこだぞ」
アイラ「遊びでディグアウターやってないよ! 楽しんでるけど!」
ロック「あ、あはは。それじゃあ、ハンゲカルを捕まえよう」
途中、大量のホロッコが飛び出してきて邪魔されたけど、程なくして僕とアイラちゃんはハンゲカルを捕まえることに成功した。
ズドーン!
…ちなみにVAVAさんは巨大ジャンフォーデンを仕留めていた。
ロック「いや、ハンゲカル捕まえようよ…」
VAVA「邪魔してきたあいつが悪い」
その後、VAVAさんが最後のハンゲカルを捕まえて、僕たちは先へと進む。
かなり深くまで来たから、もうすぐ封印の鍵と、それを守るボスリーバードが出てくるだろう。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
269
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
[
269
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2018/12/29/22:49
ブヨン ブヨン
アイラ「…何あれ?」
最深部にて待ち構えていた大型リーバードは、極彩色の液体に包まれた巨大な顔だった。
VAVA「リンブルメンジだな」
アイラ「リンブルメンジ?」
VAVA「詳しいことは俺にもわからん。図鑑にも名前と姿しか記載されていなかったからな」
ロール『レーダーに今までにない反応が出てる。でも、敵意は無いみたい』
ロック「じゃあ、無視して進もう。封印の鍵が優先、でしょ?」
VAVA「そうだな」
とか言いつつ、つまらなそうなVAVAさんに苦笑しながら、僕たちはその次の部屋で封印の鍵を手に入れる。
ロール『やったね、みんな! これが、最後の封印の鍵か…』
アイラ「長かったね〜」
ロール『アイラちゃん、帰るまでがディグアウトだよ。気を引き締めてね』
アイラ「ん! わかった!」
僕たちは部屋から出ようとする。その直前、ロールちゃんからの通信が入った。
ロール『みんな、さっきのリンブルメンジっていうリーバードなんだけど、活性化してるみたい。倒さないと遺跡から出れそうにないよ』
ロック「えっ」
VAVA「ククク……そうこなくちゃ面白くない」
VAVAさんは嬉々として扉を開けた。
毎度のことだけど、せめて心の準備はさせてほしい…。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
270
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
270
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/01/06:05
ブヨン ブヨン
リンブルメンジは部屋に入ってきた僕たちを確認すると、頭部を上昇させた。それにともない、液体も一部が浮いていく。
限界まで上昇した頭部は一気に落下し、液体も大きく床に広がった。僕たちはそれをジャンプで回避する。
リンブルメンジは僕たちに向かって来る。一斉に迎え撃とうとするけど…。
アイラ「効かないみたいだよ!」
VAVA「頭部が弱点じゃないのか!?」
ロック「とにかく、一度逃げよう!」
こちらからの攻撃をものともせずに、向かってくるリンブルメンジ。とりあえず液体に触れてもダメージがありそうなので僕たちは全力で逃げた。
ヴォン
アイラ「あれ? 上に足場が…」
ロール『みんな、早くそれに乗って!』
気がつくとリンブルメンジは部屋の中央に移動しており、こちらを見ながら小刻みに震えている。
…明らかに何かするつもりだ…!
ブヨン
僕たちが上空の足場に移動したのと、リンブルメンジが液体ごと跳ねたのは同時だった。
リンブルメンジが床に着地すると、床は強い冷気に包まれる。あれに触れたら、例えアーマーを装着していてもただじゃすまないだろう。
アイラ「間に合ってよかったね…」
VAVA「そうでもないぞ、次がくる!」
アイラ「えっ!?」
リンブルメンジは再び頭部を持ち上げると、極彩色の液体を巨大な球形にして僕たちに向かって何個も飛ばしてきた。あんなのが当たったら床に落ちてしまう。絶対によけないと!
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
271
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
271
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/04/22:14
ロック「こいつに弱点は無いのか!?」
VAVA「よく考えろ! 特定の場所を攻撃してもダメージを与えられないのなら、特定のタイミングでしかダメージを与えられないタイプのボスだ!」
アイラ「特定のタイミングっていつ!?」
VAVA「わからん! とにかく今は射ちまくれ!」
アイラ「いつもと変わんなーい!」
ドンドンドンドン!
ロール『あ! みんな、リンブルメンジがダメージを受けてる! でも同時に回復してるから攻撃の手を休めないで!』
VAVA「ダメージを与えられるタイミングに回復? 厄介だな…」
VAVA「こちらが与えるダメージ量が、やつの回復量を上回る必要がある。強力な武器に切り替えたいところだが、このままでは狙い撃ちにされる……おい、おまえら!」
アイラ「わかってる! 囮でしょ!」
ロック「引き受けたよ!」
VAVA「……」
アイラ「なにぼーっとしてるの早くして!」
VAVA「あ、ああ…」
たぶん、自分の考えを理解されることに慣れてないんだろう。リンブルメンジの攻撃を避けながら僕はそう考えた。
しかし、VAVAさんの思考の切り替えは一瞬ですんだらしく、彼は手早く武器の種類を切り替える。
そしてリンブルメンジは、ショルダーキャノンから放たれた極太のレーザーで消し飛ばされたのだった。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
272
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
272
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/13/22:24
封印の鍵をミュラーさんに渡しに行く途中、フラッター号を運転するロールちゃんがこんなことを言ってきた。
ロール「ねえロック、何だか嫌な予感がするの」
ロック「えっ?」
ロール「鍵が四つ集まったら、何か大変なことが起きるんじゃないかって…」
ロック「大丈夫だよ。大変なことなら今まで何度も経験して、その都度潜り抜けてきたじゃないか」
ロック「VAVAさんたちだっているんだから、何が起きても問題無いさ」
ロール「そう……だよね」
◇
…視点変更→『セラとジジ』
◇
サルファーボトム号、セラとジジが閉じ籠っている部屋に異変が起きていた。室内の壁がまるで電子基盤のようになっている。
ジジ『鍵、確認しました。四つ全て揃っています』
室内にジジの声が響く。しかし、彼の姿は室内には無く、部屋の中央にセラが立っているだけだった。
セラ「もうこの船は、完全に取り込めたのだな?」
ジジ『はい』
セラ「よし……では、始めろ」
ジジ『最後に一つ、確認させてください。ロックマン・トリッガー――マスターの遺伝子コードは、破棄してもよいのですね?』
セラ「鍵を優先しなさい。運が良ければ、残骸から遺伝子コードをサルベージできるやもしれん」
ジジ『了解しました。では、はじめます』
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
273
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
273
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/13/22:25
…視点変更→『VAVA』
◇
最後の封印の鍵をミュラーに届けた直後に、それは起きた。
室内の赤ランプが点滅し、モニターに映る船体がブロックごとに次々と変色していく。
ミュラー「いかん! 逃げろ!」
どこにだよ。
次の瞬間、爆発が起きて、そこで俺の意識は一旦途切れた。
VAVA「……」
目が覚めたら緑色の部屋の中だった。電子基盤みたいだな。
ルナエッジ「気がついたか?」
俺の顔をルナエッジが覗き込んでいる。次から次へといろんなことが起きやがる。
とりあえずルナエッジに攻撃してくる様子は無いので、俺はゆっくりと上体を起こして、何が起きたのか訊ねた。
VAVA「何が起きた? ここはどこだ?」
ルナエッジ「サルファーボトム号の中だが、詳しいことはわからねぇ。俺はおまえの側にいろってジュノに言われただけだ」
ルナエッジ「ただ…」
VAVA「ただ、何だ?」
ルナエッジ「甲板で誰か戦ってるみてぇだ。行ってみようぜ!」
VAVA「いいのか? 命令無視だろ?」
俺はわざとらしく聞く。すると、ルナエッジはこう返してくる。
ルナエッジ「おまえ、命令は守るのか?」
VAVA「いや。行くぞ!」
ルナエッジ「おうっ!」
本当に似た者同士だな、俺たち。
俺はヘルメットの奥でほくそ笑んだ。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
274
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
274
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/13/22:25
甲板に出てみると、ロックと一体のリーバードが対峙しているのが見えた。リーバードはクロと同型で、カラーリングはゴールド。
ボディから煙が出ており、両翼を使って上体を持ち上げている。
ルナエッジ「どうやら、もう終わっちまったみてぇだな」
VAVA「ああ、つまらん…」
興味を失いかけたが、リーバードは意味深な台詞を吐いた。
ジジ『全ては……おまえのせいで……おまえのせいで、こんなことに……!』
ロック「え…?」
ジジ『もう、セラ様の邪魔はさせん……うおおおおおおっ!!』
ロック「っ!?」
ズドォォォォン!!
VAVA「……っ!?」
ルナエッジ「あの野郎、突っ込みやがった!」
俺は急いでロックに駆け寄った。あいつを失うことは、過去の世界との接点を失うことだ。今、あいつを失うわけにはいかない。
VAVA「おいロック、しっかりしろ!」
我ながら無茶を言う。バカみたいに真正面からくらいやがって。息はまだあるようだが、重体だ。
VAVA「ルナエッジ、データは――どんぶりザルはどこだ! あいつならこの傷を治せる!」
ルナエッジ「どんぶりザル!? 知らねえよそんなの!」
VAVA「ちぃっ…!」
データ「大丈夫だよ」
VAVA「!?」
驚いた。目の前にデータがいる。いや、それよりも…、
VAVA「おまえ……喋れたのか!?」
データ「説明は後。まず応急措置をするから、そしたらロックを船内に運んで」
VAVA「…わかった。ただし、全部話せよ」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
275
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
275
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/13/22:26
船内は既に元の内装に戻っていた。
ルナエッジ「おい、ここでいいか?」
データ「うん! おろして!」
俺とルナエッジがロックをベッドに横たわらせると、データはロックの側で例のダンスを踊り始めた。一見ふざけてるよう見える。
ロール「ロック!」
アイラ「お兄ちゃん! VAVAさん!」
VAVA「おまえら、無事だったのか」
アイラ「オカマのきつねさんが助けてくれたの!」
フォクスター「はぁい♪ また会ったわね」
VAVA「しなを作るな。気色悪い」
ルナエッジ「同感だぜ」
フォクスター「辛辣ですこと…」
続いてバレルとミュラーがやってくる。コカペトリが一緒だった。
バレル「レプリロイドか……長生きはするもんじゃなあ」
ミュラー「まったくだよ」
コカペトリ「ケケッ。まあ、俺の話は一旦終了だ」
そして最後に、謎の女が現れる。前に話を聞いた、ロールの母親の姿をした"誰か"だ。
謎の女性「みんな、集まったみたいね」
ルナエッジ「みんな? ジュノとクロとイナラビッタは?」
謎の女性「ジジに落とされたガガの捜索中。本当、よく働いてくれるわ〜」
ジャコンッ!
アイラ「VAVAさん!?」
俺は有無を言わずショルダーキャノンの銃口を女に向けた。
謎の女性「…何かしら?」
VAVA「全員集めたってことは、全部話してくれるんだよな? この世界のこと」
謎の女性「…ええ。でも、あなたにも説明を手伝ってもらうわよ? VAVA」
VAVA「上等だ」
俺は銃口を上げた。
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
276
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
276
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/20/22:32
謎の女性「まずは自己紹介ね」
ユーナ「私の名前はユーナ。この世界を管理するシステムのマザーコンピューターの一人よ。よろしくね」
いきなり用語だらけだな。
ユーナ「それじゃあ、この世界の歴史について説明するわね。説明が終わるまで、質問は受け付けないわよ」
ユーナ「ことの起こりは数千年前、あるロボット――レプリロイドが人類に反逆したことから始まった」
ユーナ「レプリロイドの名前は"シグマ"。当時の技術水準としては最高傑作とされる機体よ」
VAVA(おいおい……数千年前だと?)
時代遅れの旧式どころか骨董品じゃないか、俺。
ユーナ「シグマが幾度となく起こした反乱によって、自然環境は破壊され、人類は衰退したわ。それこそ、種の存続が難しいほどにまでね」
ユーナ「そこで人類は、一度地球を離れ、自分たちの遺伝子をある場所に保存したの。地球が再び人間が住める場所になるまで待つためにね。私たちはその『人類再生プログラム』を実行に移せるか否かを見極めるための存在なの」
VAVA(『私たち』……つまり、少なくともマザーコンピューターは他にもいるのか)
ユーナ「その場所の名前は『ヘブン』。地上ではない、天国…」
ユーナ「数千年の間に、人類は遺伝子だけ残して滅んだわ。あなたたちはデコイ――地上が人間の住める環境かどうか調べる目安として造られた、極めて生身に近い機械生命体よ」
バレル「なんと…」
VAVA「人間が、滅んだ…?」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
277
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
[
277
]
灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2019/01/29/01:09
VAVA「クハハハ…!」
アイラ「VAVAさん?」
VAVA「そうか。人間もレプリロイドも滅び、それ以外の存在が残ったのか!」
VAVA「シグマの反乱も、エックスの可能性も、結局は無意味だったわけだ! クハハハ!」
アイラ「どういうこと!?」
VAVA「前に説明しただろ? 多くのイレギュラーが人間に反旗を翻したイレギュラー戦争が勃発した。この戦いで、敵味方双方がエックスの持つ『悩む』という機能に可能性を見出だしていたって」
VAVA「その反乱の首謀者がシグマ……俺とエックスとゼロが所属していた部隊の隊長だった」
ミュラー「では君は、事件の当事者なのか!?」
VAVA「その通りだ」
俺はこくりと頷く。
ユーナ「あなたの存在は、私たちも知っているわ」
ユーナ「イレギュラー戦争において、シグマの側にも、エックスの側にもつかず、ただひたすらに自分のやりたいように戦い続けた戦闘狂」
ユーナ「紫の鬼札、VAVA」
VAVA「鬼札か。いいじゃないか」
ユーナ「それと……一つ訂正させて。エックスのしたことは無意味なんかじゃなかった」
VAVA「何?」
ユーナ「人類再生プログラムはともかく、地上に住めなくなった人間のための新しい居場所として『ヘブン』を造るよう発案したのはエックスなの」
ユーナ「彼は最後まで、人間のために悩み戦い続けたわ」
VAVA「だろうな。あいつはそういうやつだ」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
278
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
278
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/29/01:12
ユーナ「えぇ、流石は伝説のロックマンの後継機だわ」
VAVA「何ッ!?」
ユーナはとんでもないことを言い出した。エックスがロックマンの後継機だと!?
ユーナ「エックスは遥か昔に人間を悪から何度も救った伝説のロボット、ロックマンの後継機。だから人間のように考え悩み、成長し進化する機能を与えられていた」
ユーナ「エックスに助けてもらった人間たちは、彼を青き救世主、その親友であるゼロを赤き英雄と称したわ。そして、伝説にあやかって自分たちを守る存在として『ロックマン』を量産したの」
VAVA「…そうか、それがロックやジュノの正体か」
ユーナ「その通り。特にその子――ロックマン・トリッガーは人類と、それが作り出したシステムに仇なす存在、イレギュラーを狩る立場を与えられていた。正真正銘、エックスやゼロの後輩にあたるロックマンよ」
ロール「ロック…」
ロールはロックを見る。データの力によりだいぶ回復したようだが、目覚める気配はない。
バレル「じゃがロックは赤ん坊の姿で遺跡の中に封印されとった。それに、おまえさんが語ったシステムとやらも、今は満足に機能しとらんように見える」
バレル「これはどういうことじゃ?」
ユーナ「ここから先は、私も詳しいことはわからないの。セラ――もう一人のマザーコンピューターが教えてくれなかったから」
VAVA「構わん。話せ」
ユーナ「人類最後の生き残りであり、システムの統括者でもあった男性がいたの。私たちはマスターと呼んでいたわ」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
[
279
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
[
279
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/29/01:13
ユーナ「マスターはヘブンの中でならいくらでも生き続けることができたのだけれど、ある日、地上に降りて死んじゃったのよ」
ユーナ「統括者を失って混乱する私たちに、更なる追い討ちがかかった」
ユーナ「それは、ロックマン・トリッガーの反逆…」
アイラ「えっ!?」
ロール「ロックが、反逆!?」
ユーナ「わけがわからなかったわ。彼はイレギュラーハンター、それもマスターのお気に入りの一人。その彼がシステムを破壊するために行動を開始したの」
ユーナ「私たちは彼をシステム史上最大のイレギュラーと認定したのだけれど……トリッガーはマスターの遺伝子コードを持っていたから、誰も迂闊に手を出せなかった」
ユーナ「ちなみに私は最初はトリッガーと敵対していたんだけど、さっきも言った通りわけのわからないことだらけで納得がいかなかったから、最終的に中立の立場を取らせてもらったわ」
ユーナ「そしたらセラが……真面目だけが取り柄のあの子が業を煮やしちゃってね。地上でトリッガーと相討ちになっちゃったのよ」
ユーナ「私は二人を封印し、システムは半ば休止状態に陥ったっていうわけ」
VAVA「なるほど、そう言うことか。それで、俺たちが禁断の地で目覚めさせたのがセラだったんだな?」
ユーナ「そうよ。おかげでシステムは再起動したわ。しかも、あなたたちが人類の遺伝子コードが保存されているライブラリーの4つの鍵をディグアウトしてくれちゃったもんだから、人類再生プログラムまで始動しちゃった」
[SHV41)]
編集
削除
コピー
△
||
1-
||
投稿
||
更新
||
検索
前のページ
次のページ
🔙 スレッド一覧
日間
週間
月間