VAVA「大いなる遺産を手に入れるのは、この俺だぁ!」
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2017/06/16/22:21
VAKAがロックマンDASHの時代で復活したようです。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/01/29/01:16
VAVA「…セラを潰せば、人類再生プログラムは止まるんだろ?」
『『!』』
ユーナ「あら、戦ってくれるの?」
VAVA「誰かの好きに動くつもりは無い。だが、利用された借りは返さないとな」
VAVA「それに、俺はデコイが生きるこの世界の方が好きだ。人類に甦ってもらっちゃ困るんだよ」
ユーナ「そう」
自分でもびっくりするぐらいに正直に話すと、ユーナはロックの側に近づいた。
ユーナ「それじゃあ、どうして彼がシステムに造反したのか調べるとしますか」
ロール「何をするつもり……ですか!?」
ユーナ「安心して。今、記憶を再構成してる所だから、それを読み込むだけ。害は無いわ」
ロール「そう、ですか…」
ユーナ「…ちなみに、どうして私があなたのお母さんの姿をしているのかというと」
ユーナ「あなたの両親、禁断の地にやってきたはいいけど、重体になっちゃったのよ。それで、あなたのお母さん、私の部品で治したんだけど」
ユーナ「そしたら私の体が動かなくなっちゃってね〜。仕方がないから借りちゃった。ごめんなさいね」
ロール「えぇ…」
ロールは困惑していた。軽い口調でそんなことを言われれば当然だろう。他の人間……いや、デコイたちも苦い顔をしている。
ユーナ「さ、データ! あなたが記録したロックマン・トリッガーの記憶を見せて!」
データ「ウキー!」
ユーナ「ちゃんと返事しなさい!」
データ「は、はい! マザー!」
上下関係は割としっかりしているらしい。
[SHV41)]
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/02/12/10:29
…視点変更→『ジュノとクロ』
◇
データが提示したマスターとトリッガーの記録は、ジュノたちの所にも伝わってきていた。
といっても、音声だけで、情景は想像で補わなければならなかったが。
ジュノ「…そういうことでしたか」
クロ「まさかマスターがデコイに地球を託そうとするなんてね。そして、トリッガーはそれに応えた」
ジュノ「……」
マスターは、数千年の歳月の間に、デコイに愛着を持つようになっていた。そしてロックマン・トリッガーに、システムの破壊を願い死んでいったのだ。
クロ「あの人は、人類、僕たち、デコイ、すべての存在意義を否定した……これからどうする?」
ジュノ「そうですねぇ。カトルオックス島の管理権を剥奪されてから、好き勝手やってきましたし…」
ジュノ「マスターの遺志を尊重するとしますか」
クロ「えっ」
ジュノ「今更、セラ様の側には寝返れませんよ。今までのツケだと思って、潔く受け入れるしかありません」
クロ「トリッガーが負けたら僕たちもおしまいかぁ…」
ジュノ「そうネガティブにならず。楽しく逝きましょう? ……おや」
海面に何かを見つけたジュノ。それは海に浮かぶ人型形態のガガであった。
ジュノ「人型だと浮くのですか」
クロ「人型だからね〜」
ガガ「いや助けてくださいよ!」
[SHV41)]
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/02/17/22:37
…視点変更→『アイラ』
◇
ロックのお兄ちゃんが目を覚ますと、VAVAさんは即座に訊ねた。
VAVA「俺はこれから人類再生プログラムをぶっ潰す。おまえはどうする?」
ロック「……」
ロック「うん、僕もやるよ」
ロックのお兄ちゃんは立ち上がって、力強く頷く。私はそれに続いた。
アイラ「私も!」
ロック「アイラちゃん、さすがに今回は…」
アイラ「何で!? 今までみんなで頑張って来たじゃん!」
ロール「アイラちゃん、今回は私はサポートできないの…」
ユーナ「そう。ヘブンは宇宙にあるから、飛行船からの通信は不可能。オペレートは私がやることになるわ」
ユーナ「復活レプリロイドのみんなも地上に残ってもらう。こうなった以上、可能な限りデコイたちを守らなきゃ」
フォクスター「御意にございます」
コカペトリ「まあ仕方ねぇな…」
ルナエッジ「ウウゥ……VAVAぁ! 約束守れよぉ!」
VAVA「ああ、わかっている」
VAVA「それと、アイラ」
アイラ「……」
VAVA「おまえは俺の弟子……テストその4だ。合格できたら、ヘブンに連れてってやる」
アイラ「本当!?」
ロック「VAVAさん!」
VAVA「俺たちが勝たなきゃデコイに未来は無い。連れていこうがいかまいが、同じことだ」
VAVAさんは相変わらずロックのお兄ちゃんを見ようとしない。ずっと私の方を見ている。
アイラ「で、どんなテストなの?」
VAVA「まず、部屋の隅に移動しろ」
アイラ「え? うん」
何をするんだろう?
[SHV41)]
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/02/17/22:38
私が部屋の隅に移動して、振り返ると、すぐ近くにVAVAさんがいた。他のみんなには背を向けている形だ。
VAVA「俺が今からすることに耐えろ」
そう告げると、VAVAさんは胸にある黄色い三角マークを指で押し込んだ。ボタンだったんだ…。
プシューっと、空気が漏れる音がする。
そして、VAVAさんは両手を使ってゆっくりと、自分のヘルメットを取り外した。
アイラ「…っ!?」
ああ、私は馬鹿だ。ちょっと考えればわかることじゃん。
彼が常にヘルメットを被る理由が、見られたくない素顔を隠すためだってことぐらい。
アイラ「ぅ……ぅぁ……!」
駄目だ、怖がったら駄目だ。悲鳴をあげたら駄目だ。
以前、ジュノさんは私を『彼が求めた自分を認めてくれる存在に限りなく近い』と言った。
今回の冒険でVAVAさんと接していくうちに、それは本当なんだと実感した。
戦うことでしか喜べず、力でしか他人を評価できず、壊すことでしか自分を表現できなかったVAVAさんにとって、私は間違いなく『例外』だ。
私だけは、私だけは絶対に彼を裏切ったら駄目なんだ。これに耐えなきゃ、VAVAさんはまた誰にも認めてもらえない、かわいそうなロボットに戻ってしまう。
それがわかっているのに――駄目だった。
アイラ「うわああああああああっ!!」
私は悲鳴をあげた。それが終わると同時に気絶した。
[SHV41)]
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/02/17/22:40
…視点変更→『VAVA』
◇
3秒……よくもった方だ。だが、
VAVA「不合格だ」
俺はヘルメットを被りなおすと、倒れたアイラから離れた。すぐにロックとロールがアイラに駆け寄る。
ロール「…ひどい。どうしてこんなことを!?」
VAVA「ひどい? どこがだ? 俺は背中を預けようとした相手に、自分をさらけ出しただけだ」
何時もと同じだ。可能性を潰した。こうなることはわかりきっていた。
そう、わかりきっていたことだ。
今更遅いんだよ、何もかも。
VAVA「ククク…」
VAVA「クハハハハッ!!」
無意識に笑い声が飛び出す。何に対して? 俺自身に対してさ。
わかってしまった。
人間がどうして泣くのか。
なぜエックスに泣くという無駄な機能が与えられていたのか。
泣きたいのに泣けないということがどれほど辛いことなのか。
だから笑った。泣けないから笑った。多少なりともエックスを肯定してしまった自分を嘲笑った。
俺はこうして、エックスへの嫉妬心に苦しみ続ける。
苦しみから逃れるために、壊し続ける。
気にくわないものを、次から次へと。
今も昔もな。
VAVA「…行くぞロック、早くしないと、デコイが滅ぼされる」
ロック「う、うん!」
もう十分だ。人類再生プログラムの阻止。それが最優先。
機械は機械、兵器は兵器らしくしないとな。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/02/24/22:06
ジュノから「ガガを回収した」といった旨の通信が入ると、ユーナは「カルバニア島、グライド要塞跡地で待つ」と告げて去っていった。
俺たちは現在、ロールの運転するフラッター号に乗って、カルバニア島に向かっている。
ロック「…本当にいいの?」
VAVA「何がだ」
ロック「そのつもりは全く無かったとは言え、君は人間を助けるための組織に属していた。その君が人類を滅ぼすなんて…」
VAVA「後半ブーメランになってるぞ」
ロック「う」
VAVA「いいか、ロック。俺は救世主(エックス)にも英雄(ゼロ)にもなる気は無い。いつだって俺は、俺のやり方で、やりたいようにやってきた」
VAVA「俺は悩まない。目の前に気にくわないものがあるのなら、それをぶっ潰すだけだ!」
ロック「……」
VAVA「そう言うおまえこそ覚悟はいいのか?」
VAVA「事情はどうであれ、おまえがかつてやろうとしたこと、これからやろうとしていることは、シグマ――人類滅亡のきっかけとなったイレギュラー戦争の首謀者と差して変わらんのだぞ」
ロック「…っ!」
ロック「そう、だね」
ロック「でもだからって、僕にはロールちゃんたちを見捨てることはできないし、マスターを裏切ることもできない」
ロック「だから、今度こそシステムを破壊する!」
VAVA「……」
これが、システム史上最大のイレギュラー。確かに人類側から見ればそうだろう。
だが、デコイ側から見ればこいつは間違いなく救世主であり英雄だ。
この男は、エックスも、ゼロも、シグマも肯定し、同時に否定している。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/03/10/23:02
カルバニア島に到着すると、ユーナと、ジュノとクロが待っていた。
ジュノ「お待ちしておりました、トリッガー様、VA(ry」
ズドン!
ジュノ「危ないじゃないですか」
VAVA「次会ったら絶対殺すって決めてたんだ。時間が惜しいから避けるな」
クロ「すっごい嫌われてるね」
ジュノ「今までが今まででしたからねえ」
VAVA「わかっているのならさっさと死ね」
ロック「ちょ、ちょっと待って!」
VAVA「断る」
ロック「えい!」
グリン
VAVA「んな!?」
ロックの野郎、俺のヘルメットを回転させやがった…!
ロック「ジュノ、見送りに来たの?」
ジュノ「ええ。以前申し上げたように、私は市せい官モデル。戦闘には向いていませんから」
ジュノ「マスターの意志を尊重しようとは思いますが、セラ様と戦ったところで瞬殺されるのがオチです」
ロック「…どうして?」
ジュノ「はい?」
ロック「君は島の管理人としてしっかり職務を全うしてきた。免責特権の行使までしてキャリアを守ろうとした」
ロック「なのに、どうして人類再生プログラムを台無しにする方を選ぶんだ?」
VAVA「……」
それは、確かに俺も気になる。こいつにとっては自分が造られた理由と、今までしてきたことを全否定されたようなものだ。
なぜ今もこいつは笑っていられる?
ジュノ「……」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/03/10/23:03
ジュノ「…例え、どんなに傷つき、苦しみ、悩もうとも、自分が信じた道を突き進む」
ジュノ「それが、私にとっての『ロックマン』なのですよ」
ロック「え…」
ジュノ「そもそも、青き救世主エックスの前身となった初代ロックマンは、ただのお手伝いロボットだったと記録されています」
ロック「え!?」
VAVA「何!?」
あ、ヘルメットもとに戻った…。
ジュノ「自ら製作者に『戦闘用に改造してほしい』と願い、悪に立ち向かった。それが伝説のはじまりだったのです」
ジュノ「選択肢は他にもあったでしょうに、ロックマンは戦うことを選びました。自分を信じていたから、自分が信じる者、自分を信じる者を助けたかったからこそできることです」
ジュノ「…私は、人類再生プログラムではなく、マスターを信じています。ですから、セラ様ではなくあなた方を選びました」
ジュノ「これで、理解していただけたでしょうか?」
ロック「う、うん…」
VAVA「……」
ユーナ「はい、もういいわね? ガーちゃんが合体して動くようになったこの宇宙船で、ヘブンへ向かうわよ!」
ガガ『よろしくお願いします!』
ユーナの横で浮かんでいた洋梨型の物体が喋った。声の主がガガで、謎の物体が宇宙船か。
ロック「わかった。VAVAさん、行こう!」
VAVA「ああ。…命拾いしたな」
ジュノ「ご武運を祈ります」
ジュノを見逃すことにした俺に対し、やつは今までとは違う爽やかな笑顔を浮かべていた。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/03/24/20:44
VAVA「ここがヘブンか…」
俺は周囲を見渡した。見た感じはそのまま宇宙船の発着場だが、まさかエックスが作り上げた『楽園』に来ることになろうとは。
ユーナ「ここに来るのも久しぶりね〜」
ロック「ユーナさん、僕たちはこれからどうすればいいんですか?」
ユーナ「人類の遺伝子コードが保管されているライブラリーに行ってもらうわ。人類再生プログラムは、そこにあるコンパネで始動させることができるの」
VAVA(久しぶりに聞いたな、コンパネ…)
ユーナ「そこにあるエレベーターが近道なんだけど…」
ガガ『どうやら、上でストップしているようです』
ユーナ「仕方ないわね。ディフェンスエリアを突破してもらうわ。ここにしか出ない強力なリーバードもいるけど…」
VAVA「上等だ。邪魔するやつは、片っ端からぶっ潰す!」
ロック「ああ。ここまで来た以上、絶対に逃げたりしない!」
ユーナ「前向きで結構。じゃ、行ってらっしゃい」
かくして、デコイの運命は二人のイレギュラーに委ねられた。
エックス、ゼロ、シグマ、クワンガー、マンドリラー、イーグリード、アルマージ、カメリーオ、ナウマンダー、ペンギーゴ。
……………あとおまけでオクトパルド、見ているか。
これが、おまえたちのやったことの末路だ。おまえたちの誰でもないこの俺が決着をつける所を、指をくわえて見ているがいい。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/03/31/23:18
リーバードがひしめくディフェンスエリアを、俺とロックは駆けていく。確かに見たことの無いリーバードはいたが、ユーナから前情報を提供してもらったため、対処は容易かった。
ホロッコの群れをロックがハイパーシェルで吹き飛ばし、ホロッコを量産するエングルポッツを俺が撃墜する。
扉を守るガンブリーを同時攻撃で撃破する。
天井に貼り付くハリーンを俺がショルダー・キャノンで撃ち落とし、ロックがハイパーシェルで爆散させる。
ここまで一緒に行動してきたんだ、俺にそのつもりが無くとも多少のチームワークは出来上がっていたようだ。だが、
VAVA(あと一人……か)
ふと頭をよぎった雑念を捨てるべく、俺は更に通路を駆け抜ける。
ロック「ここは…!」
やがて、俺たちは不思議な空間に出た。俺たちはヘブンの中にいる。なのにそこには『空』があった。しかも、宙にいくつもの陸地が浮いており、俺たちはその中の一つの上に立っている。
ユーナ『サイドエリアに到着したみたいね』
VAVA「サイドエリア?」
ユーナ『簡単に説明すると居住区ね。トリッガー、あなたも平時はここで生活していたのよ?』
ロック「……」
ロックは不思議そうに、キョロキョロと周囲を見渡していた。
それはそうだろう。自分の知らない記憶を目の当たりにしているのだから、戸惑うのが当然だ。
だが俺たちは先を急がねばならない。
VAVA「それで、俺たちはどこに向かえばいい?」
ユーナ『サイドエリアの中央に向かって。そこからライブラリーに行けるし、船着場への直通エレベーターも起動できるわ』
VAVA「わかった。行くぞ」
ロック「う、うん!」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/03/31/23:19
ボッ!
ロック「はっ!?」
VAVA「っとぉ!」
ズドンッ!
俺たちは空から降ってきたエネルギー弾を回避した。どうやらここにもリーバードはいるらしい…。
ロック「…え?」
と、見上げて攻撃した相手を確認して、驚いた。
緑色のボディアーマー、右肩のショルダー・キャノン、そして眼前にT字の穴が空いたヘルメット。
VAVA「俺…!?」
VAVA. X「クハーッハッハッハッ! そうだよ、俺だ、VAVAだ!」
ロック「VAVAさんが、二人!? 何で!?」
両足と背中のジェット噴射で空を飛んでいる。カラーリングといい、完全にボバ・フェットじゃねえか…。
VAVA.X「そっちの俺は、シグマが最初の反乱を起こした時の俺だ」
VAVA.X「そして俺は、シグマが七度目の復活を果たした時の俺…」
ロック「ど、どういうこと?」
VAVA「…どうやらシグマの反乱は、俺が予想していた以上に長く続いていたらしい」
VAVA「その戦乱の中で、俺も破壊と復活を繰り返していたんだろう」
VAVA.X「その通りだ。俺は四回目だぜ」
ロック「四回!?」
VAVA.X「何を驚く必要がある? 俺たちはレプリロイド、資材と技術さえあればいくらでも代用品は造れる。それはつまり、俺が複数いるということでもある」
VAVA「なるほど。俺が復活したのなら、別のボディを持つ別の俺が復活してもおかしくないというわけか」
俺が特に理由も無くカトルオックス島の地下遺跡で復活したように、こいつも特に理由も無くここで復活したのだろう。
[SHV41)]
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2019/03/31/23:20
VAVA「で? その四回目の俺が、俺たちに何の用だ?」
VAVA.X「クハハハハ……決まっているだろう。おまえたちと戦いに来たんだよ」
ロック「え!?」
VAVA「……」
VAVA.X「この時代のことは、セラから全て聞いた…」
VAVA.X「クハーッハッハッハ! いつまであがく気だ?」
VAVA.X「世界? イレギュラー? そんなものは忘れろ! 己に与えられた力だけを感じろ!」
VAVA.X「破壊、破壊だ! 我らはそのために生み出されたのだ!」
VAVA.X「一度でいいからぶっ壊してみたかったんだ……自分自身をなぁぁ!!」
ロック「VAVAさん…?」
VAVA「コピーしたものをコピーして、それを更にコピーする。何回も繰り返すと像がぼやけて、オリジナルより劣化していくんだそうだ」
ロック「つまり、僕が知ってるVAVAさんよりも…」
ロックは言葉に詰まってしまった。
正直に言えよ、よりイカれてるって。俺だってそう思ったんだから。
VAVA「ロック、先に行け」
ロック「え!? でも…!」
VAVA「俺が撒いた種だ。自分で刈り取る。行け!」
ロック「…わかった! ごめん、VAVAさん!」
走り去るロックを尻目に、俺は『俺』と向き合い、構える。
VAVA.X「頼りにしてくれる仲間ができて嬉しいか? VAVA」
VAVA「おまえが俺なら、言わなくともわかるだろう?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/22/00:28
はっきり言って、戦況は俺の方が不利だ。『俺』には空が飛べるというアドバンテージがある。
VAVA「上からバカスカ撃ちやがって…!」
VAVA.X「全部ぶっ壊すんだ。狙う必要はないだろぉ!」
そう言って『俺』は無差別にショルダー・キャノンを撃ちまくる。どうにも『俺』のショルダー・キャノンは細工がしてあるらしく、銃口から最大五発のエネルギー弾が扇状に広がって発射されていた。カメリーオの尻尾から放たれるビームに似ているが、そこは『俺』。威力は桁違いと見ていいだろう。
VAVA.X「どうした? 逃げてばかりじゃ勝てないぞ?」
VAVA「……」
それはそうだろう。だから、攻撃できるタイミングを探している。
いくら俺よりイカれているとは言え、『俺』にもそれぐらいわかっているだろう。
俺が『俺』の攻撃を食らうのが先か、『俺』が攻撃が当たらずしびれを切らすのが先か、そこが勝負の分かれ目だな。
…仕掛けるか。
VAVA「ところで……おまえはエックスと戦ったのか?」
VAVA.X「ああ?」
VAVA.X「ああ、戦ったさ。あの野郎、何年経っても変わりゃしねえ。悩んでばかりの意気地無しだった」
VAVA「…その意気地無しに負けた俺たちは、何なんだろうな」
VAVA.X「知るかよ! そんなことは今はどうでもいい!」
VAVA「それこそ逃避だ」
VAVA.X「何だと…」
ぴたり、と『俺』の攻撃が止まる。
俺はレプリロイド。悩むことなどない。
厳密には、悩んだとしても電子頭脳が最良の答えを出すから、悩み続けることができない。
それは、言い換えれば『何度同じ疑問にぶち当たっても同じ答えしか出ない』ということだ。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/22/00:29
VAVA「ある男が、俺のことを『孤独癖のある寂しがり屋』と評していた」
VAVA「確かにその通りだった。俺は自分の存在を誰かに認めてもらいたかった」
VAVA.X「……」
VAVA「俺は戦うために作られたレプリロイド。だから戦えば、壊せば、認められる。最初はそう思っていた」
VAVA「だが違った。戦えば戦うほど、壊せば壊すほど、みんな俺を嫌い、避けるようになった」
VAVA「なら自分の居場所は自分で作るしかないと――そして気がついたら、一人になっていた」
VAVA.X「…………」
VAVA「寂しい時に『寂しい』と言えなかった。悲しい時に『悲しい』と言えなかった」
VAVA「そんなものは弱いやつの感情だ。俺のそんなところを、他の誰かに見せたくない。そう思った」
VAVA.X「………………やめろ」
VAVA「だからますます戦って、壊した。そもそもそういうことが好きだったし、何より自分の弱さを直視しなくてすむ」
俺はそこで一呼吸置いた。レプリロイドであるが故に、導き出される『答え』。
最初からわかりきっていたのに、俺が考えないようにしていたから何時までも出なかったそれを、これから言わなければならないのだ。
それは、とても勇気のいることだった。
VAVA「自分自身と向き合わない俺が、『悩む』ことで常に自分とも戦い続けたエックスに勝てる要素なんて、何処にも無かったんだ」
VAVA.X「やめろぉぉぉおおおおあああ!!!!」
ドオオオオンッ!!
[SHV41]
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/22/00:30
『俺』がショルダー・キャノンから撃った特大のエネルギー弾により、大きな爆発が起こる。
VAVA.X「呆れたやつだ……自分で自分を弱いと認めるとは…!」
VAVA.X「俺にそんな考えは必要ない! グラスの中身がバーボンだろうが泥水だろうが関係ない! 俺は破壊のための機械なのだ!!」
ボンッ!
VAVA.X「がっ!?」
俺は爆煙の中から飛び出すと、右手で『俺』の顔面をつかみ、全体重をかける。
バランスを崩した『俺』は、背中から地に落ちた。
VAVA「確かにそうだ。機械は機械、兵器は兵器、そうあるべきだ。ここに来る寸前、そうあろうと考え直した」
VAVA「だが、どうしても『あいつ』が頭から離れないんだ。こんな俺を『嫌いじゃない』と言った『あいつ』が…」
なまじ感情が、心があるばかりに、中途半端になってしまう。俺は『自分自身もまた気にくわなかった』のだ。
VAVA.X「ぐぉ……放せっ…!」
VAVA「一度でいいから自分自身をぶっ壊してみたかった、と言ったな?」
VAVA「同感だ」
ドォンッ!!
俺はそのまま、ゼロ距離からロケットパンチを叩き込んだ。頭部を失った『俺』は、完全に機能を停止する。
感謝するぜ、『俺』。俺よりイカれた『俺』と出会えたことで、俺は自分自身と向き合う覚悟ができたんだ。
理由? そんなの決まっている。
あんな風にはなりたくないからな。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/28/21:59
VAVA「っと…」
ごろん、と俺は仰向けに寝転がる。
さっきの『俺』の砲撃は、俺の左半身に甚大なダメージを与えた。
まず、左腕が根本から消し飛んだ。
かろうじて形を保っていた左足は、さっき爆煙から飛び出した時の衝撃で完全に動かなくなった。
目視していないが、左脇腹から何かが飛び出しているのを感じた。
避けたつもりだったが、余波だけでこれだけの被害を出すとは、流石『俺』だな。
VAVA「あー、くそっ」
シグマの城の時と同じになっちまった。肝心のセラがまだ残ってるっていうのに、ロックに全てを任せるしかないというのか。
しかし、不思議だな。あの時と違って、謎の達成感と充実感に満たされているのを感じる。
VAVA「……」
さて、どうする。せめて道具でもあれば『俺』の体を使って欠損部位を修理したんだが、それもできないとなると…。
VAVA「………………寝るか」
そうだ、寝てしまおう。何のデータも無しにロックが勝つかどうか予想しても意味が無い。ゆっくり休んで、再びこの世界を満喫するとしよう。
だから、
VAVA「勝てよ、ロック」
おまえは『ロックマン』なんだからな。
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/28/22:00
…視点変更→『アイラ』
◇
目を覚ますと、そこはサルファーボトム号の一室だった。水兵さんによると、私は三日間眠り続けていたらしい。
もうこの地上にロックのお兄ちゃんもVAVAさんもいない。それがわかっていても、私は飛び起きずにはいられなかった。宛もなく走り出す。
ドカッ!
アイラ「うわっ! ごめんなさ……えっ!?」
28号「いえいえ、こちらこそすみません〜」
アイラ「ボーン一家! どうしてここに!?」
28号「ロックさんたちを助けるお手伝いをしてるんですよ〜」
アイラ「え?」
何でも、私が寝ている間に『人類再生プログラム』は完全に阻止されたらしい。でもヘブンへ行くために使ったロケットは動かなくなってしまい、帰れなくなったという。
そこで、ミュラーさんたちはこのカルバニア島に居座って、ロックのお兄ちゃんたちを迎えに行くためのロケットを作っていて、それにボーン一家も協力しているらしい。
アイラ「どうしてあなた達が? さんざん邪魔したのに」
28号「ティーゼル様もトロン様も義理人情に篤いですからね〜、何か思うところがあったんじゃないですか〜?」
17号「サルファーボトム号が金色の鳥みたいなリーバードに襲われた時も、ロックさんを応援してたんですよー」
アイラ「そうだったんだ…」
みんな、頑張ってるんだ。みんなを迎えに行くために。
私も、頑張らないと!
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/04/28/22:01
……それから、数ヶ月が過ぎた。
私や、復活レプリロイドのみんなは次々に遺跡に入ってディグアウトを繰り返し、資金を調達した。特にルナエッジさんは「VAVAともう一度戦うんだ」が口癖になるくらい頑張っていた。
ジュノさんも、他の島を管理しているロックマンに呼び掛けて、協力を仰いでいるという。
でも、ロケットは一向に完成する気配が無い。
どうしたんだろう……ロールのお姉ちゃんも、トロン・ボーンも、カトルオックス島の誰よりも優れた技術の持ち主なのに。それでもロケットは作れないの?
そもそも、ロケットに関する技術はデータが話したとバレルのおじいちゃんが言っていた。作り方をデータから教わったのなら、その通りに作ればロケットは完成するはずじゃないの?
ルナエッジ「よぉ、アイラ」
アイラ「ルナエッジさん」
ルナエッジ「おまえもディグアウトから戻ってきたのか」
アイラ「うん」
ルナエッジ「あんま無茶すんなよ。いくらデコイが機械生命体だっつっても、俺たちレプリロイドよりかは脆いんだからよ」
アイラ「わかってるよ。でも…」
ギャーギャー
アイラ「ん?」
ルナエッジ「あー、またやってんなぁ」
声の方を見ると、ロールのお姉ちゃんとトロン・ボーンが言い争いをしているのが見えた。二人は技術者としての方向性が真逆なので、よく喧嘩になってしまう。
トロン「ここをこうすればこれだけ安く作れるって、言ってるじゃない!」
ロール「そこを妥協したらダメなんだってば! 最高のものを作らないと!」
データ「ウキ〜。だから、僕が言う通りに作ればいいんだよ。あのね(ry」
ロール&トロン「「データは黙ってて!!」」
ルナエッジ「なっ…!?」
アイラ「……………………え?」
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2019/04/28/22:03
ルナエッジ「おい、てめえら!」
ロール「ルナエッジ!?」
ルナエッジ「今のはどういうことだ! データは黙ってろって!」
トロン「それは…!」
ルナエッジ「まさかてめえら、データの指示に従わねえで、独学でロケットを作ろうとしてやがったのか!?」
ロール「……」
トロン「……」
二人はばつが悪そうに黙って、目線をこちらに合わせない。
ねぇ、嘘だよね? 違うって言ってよ!
アイラ「っ!!」
ダッ
ルナエッジ「アイラ!?」
その場から走り去った私は、カルバニア島の大平原にぽつんとたたずんでいる遺跡の入り口まで行くと、声をあげてわんわんと泣いた。
アイラ「あああああ! うわあああああ!!」
さっき、私はルナエッジさんに「でも…」と何かを言いかけた。
その続きはこうだ。「私はVAVAさんに謝らなくちゃいけないから」、そう言うつもりだった。
私がVAVAさんの素顔を見て悲鳴をあげて気絶したことで、VAVAさんは絶対に傷ついた。その罪悪感が、ずっと私に重くのしかかっていたの。
悪いことをしたなら謝らなくちゃいけない。そしてVAVAさんに許してほしい。早くこの苦しみから解放されたい。
そして何より、また三人で仲良くディグアウトがしたい。
その一心で頑張ってきたのに…!
アイラ「あああああ! あ、ごほっ! げほっ!」
泣き叫びすぎて喉が痛い。でもまだまだ叫び足りない。涙も次から次へと流れてくる。
悲しい、苦しい、辛い。
会いたいよ、ロックのお兄ちゃん。そして、
アイラ「VAVAさぁぁぁぁぁん!!」
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2019/04/28/22:04
VAVA「何だ?」
アイラ「えっ?」
VAVAさんが、目の前にいた。
アイラ「え、え? VAVAさん? 幻じゃ、ない?」
VAVA「ふざけたことぬかすな。俺はここにいる」
アイラ「どうして!? 帰れなくなったんじゃ…!」
VAVA「確かに、ロック達にはロケットに関する技術が無かった。だが、数千年前の知識ならここにある」
コンコン、と、VAVAさんは右手の人差し指で自分の頭をつついた。
VAVA「俺は、本来土木作業用メカであるライドアーマーを戦闘に使用するような思考と技術の持ち主だからな。ロケットを一から作ることはできんが、修理するくらいなら容易い」
VAVA「ただ、この体を修復するのに時間がかかってな。おかげで、帰ってくるのが遅れてしまった」
アイラ「…っ!」
ガバッ
私はVAVAさんに抱きついて、ただひたすら謝る。
アイラ「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさーい!!」
VAVA「……」
VAVA「セラが言うには、地上には『古き神々』という敵が現れるらしい」
アイラ「え?」
VAVA「俺はこれからそいつらをぶっ潰す。おまえはどうする?」
アイラ「ついていって、いいの?」
VAVA「カトルオックス島で言っただろ。『いてもいなくても困らない』」
VAVA「確かにテストその4は不合格だった。だが破門した覚えは無いぞ」
アイラ「…!」
アイラ「やるよ! 『古き神々』を、一緒に倒そう!」
VAVA「返事だけは立派だな……行くぞ」
アイラ「うん!」
私とVAVAさんは、同じ方向に向かって歩く。
これからも、ずっと。
THE END.
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