ほむら「あなたをさらいに夜がくる」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/13/22:28
夜の見滝原
ほむら「……………」
ほむら(今回の時間軸、今までの時間軸と比べて魔女の数が少ない)
ほむら(当然ストックできるグリーフシードの数も少なくなるわけで、このままじゃ今回もワルプルギスの夜を越えられない…)
ほむら(見滝原中学への登校は明日。今夜のうちに、一つでも多くのグリーフシードを集めないと――)
よまわりさん「……………」ぬっ
ほむら「何!?」
ガバッ
『魔法少女まどか☆マギカ』×『夜廻シリーズ』
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/13/22:29
廃工場
ほむら「……………」パチ
ほむら「ここは……それに、あいつは…」キョロキョロ
杏子「おや、新入りかい?」
ほむら「! 佐倉杏子…」
杏子「あん? …………どっかであったか?」
ほむら「…同業者よ。名前は暁美ほむら」
杏子「魔法少女か。あたしも有名になったなぁ」
ほむら「あなたがいるということは、ここは風見野なのかしら」
杏子「いや、見滝原だ」
杏子「その様子だと、よまわりさんに捕まったのは初めてみたいだな」
ほむら「よまわりさん?」
杏子「おまえをさらった、でっかい芋虫みたいなやつだよ」
ほむら「あいつ、よまわりさんっていうのね。何者なの?」
杏子「わかんない」キッパリ
ほむら「」
杏子「でもまあ、あいつらの同類だとは思う」つ 魔法で出した懐中電灯カチッ
ほむら「…っ!?」
電柱のように細長い、人形の影。
頭に釘を刺し、首から上を包帯で覆いつくした人形。
黒い、落書きのような姿の棒人間。
赤い足と毛むくじゃらの体を持つ、巨大な蜘蛛のような何か。
ほむら「…なに、あれ?」
杏子「人間でも魔女でもないナニカ。たぶん、おばけ」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/13/22:32
ほむら「おばけ、ですって…」
ほむら(そんな、魔女とその使い魔以外の存在が夜の街をうろついているだなんて…!)
杏子「気を付けろよ。こいつらには基本、どんな武器も魔法も通用しない。しかも触るだけで大ダメージだ。関わらないのが一番だな」
ほむら(武器も魔法も通用しない……確かに、あのよまわりさんという怪物は、私の時間停止を無視して私を捕まえた)
杏子「よまわりさんは、おばけの中でも特殊なやつでな。夜の街を見回って、子供を見つけるとさらってここに連れてくるのさ」
杏子「あたしももう、何回も捕まってるよ」
ほむら「…ということは、ここから出られる?」
杏子「ああ。よまわりさんに見つからないように、こっそりとな」
ほむら「道案内、頼めるかしら。グリーフシードなら、三つまで出せるわ」
杏子「いらねーよ」
ほむら「えっ」
杏子「その代わり、あたしん家の神社の賽銭箱に賽銭入れろ。10円でいいから」
ほむら「神社!? 教会じゃなくて!?」
杏子「はぁ? おまえ、誰からあたしのこと聞いたんだ?」パチクリ
ほむら(ど、どうなってるの…?)
ほむら(…あ、よく見ると彼女の魔法少女の衣装、修道士じゃなくて巫女っぽい…)
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/16/23:42
神社
杏子「ここがあたしん家」
ほむら(本当に神社だ…)
杏子「静かにしろよ。みんな寝てるから」シーッ
ほむら(家族生きてるの!?)
杏子「ちなみに、主なご利益は商売繁盛。大昔、その街の発展を祈願するために、日本のあちこちに建てられた分社の一つなんだって」
ほむら「そ、そう…」
賽銭箱 < やぁ。
ほむら「……………」
ほむら(今さら神様なんて…)ゴソゴソ
カランコロン
ほむら「……」パン パン
ペコ ペコ
杏子「へぇ、詳しいな。ちゃんと二拍二礼した」
ほむら「たいしたことじゃないわよ」ファサッ
杏子「ん」スッ
ほむら「……………なに?」
杏子「お守り。よまわりさん以外のおばけなら、それでなんとかなる」
ほむら「………………………………」
杏子「…まあ、信じないよな」ゴソゴソ
ほむら「ごめんなさい。気持ちだけ受け取っておくわ」
杏子「無理強いはしないさ。神社なんて、初詣ぐらいしか行く理由無いだろ?」
杏子「気をつけて帰れよ。おばけの中には、襲いかかってくるやつもいる。光で照らさないと見えないやつもいる」
杏子「夜の街をうろつくなら、懐中電灯は必須だぞ」
ほむら「ええ、肝に命じておくわ。いろいろ教えてくれてありがとう」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/18/22:15
翌日、見滝原中学
早乙女「というわけで、転校生の暁美ほむらさんです。みなさん、仲良くしてくださいね」
ほむら「よろしくおねがいします」ペコ
さやか「へー、すごい美人じゃん」
まどか「きれい…」
ほむら(よかった、まどかは無事みたいね…)ジー
まどか「…なんか、すごくこっち見てる」
さやか「なんだろう、感じ悪いなぁ」
ほむら(今回の転校初日はおとなしくしておきましょう……あいつと長々と話さなくちゃいけないから)
◆
放課後、どっかのビルの屋上
QB「……………」
QB「…おや」
ほむら「……」
QB「君は……暁美ほむらというんだね。契約した覚えのない魔法少女に会うのは初めてだ」
ほむら「私のことなんてどうでもいいわ。それより、聞きたいことがあるの」
QB「何だい?」
ほむら「おばけ、と呼ばれる存在について、あなたたちはどの程度関わっているの?」
QB「調査をしている程度だね」
ほむら「それだけ?」
QB「ああ」
ほむら「どこまでわかったの?」
QB「最初は魔女や使い魔から派生したバグだと思っていたけど、まったく違う存在みたいだ。いつ、どのような理由で発生するかは不明だね」
QB「おばけ、というからには、元は生き物なんだろうけども」
QB「特に、よまわりさんと呼称される個体については、本当にわけがわからないよ」
QB「おばけが人間を襲う理由は、基本的に無い。でも、よまわりさんには理由があるみたいなんだ」
ほむら「どんな理由?」
QB「おそらく、『夜の恐怖から子供を守る。例えどんな手段を使っても』」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/18/22:16
ほむら「夜の恐怖から子供を守る?」
QB「よまわりさんの行動を見ていると、そう思えてくるんだ。あれは、子供が夜の世界に進もうとすれば阻んでくる」
QB「それに、よまわりさんは他のおばけからは避けられている。それはつまり、よまわりさんが見張っていれば、おばけに襲われることはないということ」
QB「挙げ句、よまわりさんは魔女や使い魔を倒すことさえあるんだ」
ほむら「魔女や使い魔を倒す…」
ほむら(そうか……魔女が少ないと感じたのは、よまわりさんが原因だったのね)
QB「でも自分の意向にそわない子供には攻撃するし、知能はあるようだが言葉を話さないから当然説明も無い。そもそも彼自身もまた『夜の恐怖』だ。無駄と矛盾も見られる」
QB「結局、よまわりさんが何を考えて夜から子供を守ろうとするのか、なぜ他のおばけと違う「よまわりさん」という存在が誕生したのか、わからないことの方が多い」
QB「まとめると、『どちらかと言えば僕たちにとって邪魔だけど、すぐに手を打つべきでもない存在』かな。そもそも倒しかたがわからないしね」
ほむら「……………」
QB「もういいかな? 僕は移動するよ」
ほむら「どこへ行くの?」
QB「勧誘だよ。マミが魔法少女の素質のある人間と接触したみたいなんだ」
ほむら「私もついていくわ」
QB「そうかい」
ほむら(他のみんなに、この世界の夜がどう見えているのか――それを知ってからでも遅くはないわね)
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/21/22:21
ちょっと前
さやか「ねえまどか、帰りにCDショップに付き合ってもらえるかな?」
まどか「うん、いいよ。また上条くんだね」ウェヒヒ
さやか「もう、からかわないでよぉ」
スタスタ
さやか「あ、そうだまどか。コトワリさまって知ってる?」
まどか「コトワリさま?」
さやか「なんか最近噂になってる都市伝説なんだけど」
さやか「カーキ色の髪の毛に、青いリボンをつけた小学生ぐらいの女の子の姿で、右手に血と錆びで真っ赤に染まったタチバサミを持ってるの。それで、左腕が無いんだって――」
まどか「……………」
さやか「あり? 無反応!?」
まどか「さやかちゃん、それってもしかして、あの子?」
さやか「えっ」
ハル「チャコー! どこに行ったのー!?」
さやか「いたーーー!?」
まどか「ねえあなた!」
ハル「はい!?」ビクッ
まどか「私、鹿目まどか」
さやか「あ、あたしは美樹さやか」
まどか「何かあったの?」
ハル「私はハル…」
ハル「チャコが……ペットのポメラニアンがどこかへ行っちゃったの」
まどか「…さやかちゃん」
さやか「あーあー、みなまで言うな! ハルちゃん、あたしたちが手伝ってあげるよ!」
ハル「大丈夫? おばけが出るよ?」
まどか「えっ」
さやか「えっ」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/21/22:23
探索中
虚ろな霊「ア゛ァー…」ウロウロ
子供の霊「マ…ママ…マママ…」ヨタヨタ
さやか「ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ! ホントに何かいるー!?」
ハル「おばけだよ。ああやって、夜の暗闇が残ってる場所に潜んでるんだ」
まどか「襲ってくる?」
ハル「うん」コクン
さやか「どうやって切り抜けるの!?」
ハル「逃げる、隠れる、石を投げて気をそらす。それだけ」
まどか「……」
さやか「……」
ハル「引き返してもいいよ? 私も、怖い時は怖い…」
まどか「途中で投げ出したりなんかしないよ!」
さやか「そうそう! 年下が頑張ってるのに、放って逃げられるかっつーの!」
ハル「ありがとう…」
さやか「その言葉は、チャコが見つかってからだよ。さ、行こう!」ダッ
道ふさぎ「……………」ズン
さやか「おおっと!? こっちはダメみたいだね…」
まどか「さやかちゃん、こっちから行こう!」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/21/22:24
ワン! ワン!
ハル「チャコ!?」
まどか「あっちから聞こえたよ!」
さやか「よっしゃ! 待ってなさいチャコ!」
タッタッタッタッタッ…
チャコ「わん! わんわん!」
ハル「チャコ! よかったぁ」ギュウ
さやか「ふぅ、めでたしめでたしだね」
まどか「ね、ねえ、さやかちゃん、あれ…」
さやか「え?」
中沢「」
さやか「中沢ぁ!? 何でそんなとこで寝てんの!?」
ハル「知ってる人?」
まどか「私たちのクラスメートなの」
チャコ「わんわん!」
ハル「チャコ、もしかしてこの人が倒れてることを教えたかったの…?」
チャコ「くぅん」
さやか「マジか。なんつー名犬」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/23/23:11
チャコ「! ぐるるるる!」
ハル「チャコ?」
ぐにゃああぁ……
まどか「ひっ!?」
さやか「何!? この絵の具で塗り潰したようなカラフルで気色悪い光景!?」
ひげの使い魔たち「――」ワラワラ
まどか「またおばけ!?」
さやか「囲まれた! どうしよう!」
ハル「っ…!」
コォ…
ハル(あれ、ハサミが光ってる…?)
ハル「……………」
ひげの使い魔たち「――」ワラワラ
まどか「近づいてくる!」
さやか「どうしよう、どうしよう!」
チャコ「わんわんわんわんわん!!」
ハル「――!」
ハル「"もうい(ry」
マミ「みんな伏せて!!」
ハル「えっ?」
ドドドドドドッ!!
ひげの使い魔たち「――!?」ボガーン
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/23/23:12
さやか「今度は何!?」
まどか「たくさんの銃が宙に浮いて、さっきのひげの生えたおばけを倒した…?」
ハル「風景も元に戻った…」
マミ「怖かったでしょう? もう大丈夫よ」
まどか「今の、あなたが?」
さやか「コスプレイヤー……じゃ、ないですよね?」
マミ「もちろん。伊達や酔狂でこんな格好してるわけじゃないわ」
マミ「私は巴マミ。見滝原中学三年生よ」ニコ
まどさや「…………………中学生?」ジー
マミ「どこ見てるのよっ!」
ハル(お母さんよりおおきい…)
さやか「ああ、ごめんなさい! あたしは美樹さやか、見滝原中学二年っす!」
まどか「同じく鹿目まどかです。助けてもらったのにすみませんでした!」ペコッ
ハル「ハルっていいます。小学生です。この子はペットのチャコ」
チャコ「わん」ヘッヘッヘッヘッ
中沢「」
さやか「で、あそこに倒れてるのが、あたしとまどかのクラスメートの中沢」クイッ
マミ「そう。それじゃあ、自己紹介も終わったところで…」
マミ「そろそろ出てきたらどうかしら、よまわりさん!」
まどさや「えっ?」
ハル「よまわりさん!?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/23/23:13
よまわりさん「……」ぬっ
ハル「!」
チャコ「ぐるるるる!」
さやか「また何か出た!」
マミ「この子たちは私が責任を持って家まで送り届けるわ。だから、今夜は見逃してもらえないかしら?」
よまわりさん「……」
スゥ…
まどか「消えちゃった…」
ハル(この街にも、出るんだ…)
マミ「ふぅ…」
マミ「みんな、知りたいことは山ほどあるだろうけど、今夜は家に帰りましょう。よまわりさんの気が変わらないうちに」
さやか「気が変わったらどうなるんです?」
ハル「連れていかれるんだよ。どこかの廃工場に」
まどか「ええ?」
マミ「あなた…」
QB「やあ、マミ。今夜もご苦労様」
さやか「また何か出てきた…」
マミ「キュゥべえ、空気読んで…」
まどか「何でほむらちゃんもいるの?」
ほむら「それは…」
マミ「ストップ! 悪いけど、よまわりさんに帰ってもらった後なの。説明は後日、日を改めてにしてもらえるかしら?」
ほむら「…わかったわ」
キュゥべえ「仕方ないね」
さやか「…とりあえず、中沢を起こそっか」
まどか「そうだね」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/23/23:14
ハルの家
マミ「ここがあなたの家?」
ハル「うん」コクン
ハル「まどかお姉ちゃん、さやかお姉ちゃん、チャコを探すのを手伝ってくれてありがとう! それからマミお姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」ニッコリ
ハル「じゃあね、バイバイ!」ノシ
チャコ「わん!」
まどさや「バイバーイ!」ノシ
さやか「…いい子だったね」
まどか「うん」
さやか「本当にあの子がコトワリさまの噂の正体なのかなぁ?」
まどか「うーん…」
ほむら「……………」
ほむら(ハルという名の隻腕の女の子。今さら人間のイレギュラーが増えたところで、気にするほどではない、か)
中沢(ど、どうしよう。まわり女子ばっか。一生分の女運を使い果たしたかもしれん)ゴクリ
◆
ハルの部屋
ハル「……」
タチバサミ < シーン…
ハル「もう光ってない」
ハル「あの時、あの言葉を言ったら」
ハル「来てくれたの? コトワリさま…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/27/22:15
翌日、マミの家
マミ「さすがに五人もいると狭く感じるわね〜」ウキウキ
まどか「その割には楽しそうですけど…?」
さやか「おい中沢、なぜおまえまでいる」
中沢「お、俺にだって知る権利はあるだろー!?」
ほむら「……」
ハル「……」
マミ「もう少し待ってね。あと一人、来ることになってるから」
まどか「あと一人?」
ピンポーン
マミ「噂をすればなんとやら。はーい!」
ガチャ
杏子「おーす。邪魔するぜマミー」
杏子「…おや」
ほむら「……」
杏子「よう、また会ったな」
マミ「あら、知り合い?」
杏子「ああ、二日前によまわりさんの廃工場で会った」
マミ「ということは、あなたもよまわりさんに捕まったのね」
さやか「そうなの?」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫だった?」
ほむら「ええ。連れていかれただけだから」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/27/22:17
マミ「さて、話を始める前に…」
マミ「あなたたちは、そこにいるキュゥべえが見えているかしら?」
QB「やあ」
さやか「え? 見えているかって、そりゃあ見えてますけど……ねえ?」
まどか「うん」コクン
ハル「うん」コクン
中沢「え? キュゥべえ? ここに何かいるの?」スカッスカッ
さやか「中沢!?」
マミ「キュゥべえはね、魔法少女と、その素質のある人間にしか見えないのよ」
まどさやハル「魔法少女!?」
中沢(あっ、これおいてけぼりにされるパターンのやつだ)
マミ「夜の世界には、大きく別けて二つの脅威が存在するの」
マミ「一つはおばけ。そしてもう一つが、魔女」
マミ「昨日あなたたちを襲ったひげの生えた連中は魔女の使い魔で、よまわりさんはおばけよ」
マミ「そして私と、そこにいる佐倉杏子さんと暁美ほむらさんは、キュゥべえと契約したことで魔女と戦う力を得た魔法少女なの」
さやか「ええー!?」
ハル「魔女と戦うって……おばけは倒せないの?」
マミ「残念だけど、それは無理。おばけはキュゥべえでもわからない存在なの」
ハル「そっか…」
まどか「あんなものがうようよういるのに戦うなんて、大丈夫なんですか!?」
杏子「大丈夫大丈夫。あたしら魔法少女は魂の無い脱け殻だから、ちょっとやそっとのことじゃ死なねーよ」ヒラヒラ
ほむら「!?」
まどさやハル「ええーーー!!?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/27/22:19
ほむら「佐倉杏子、なぜその事を知ってるの!? こいつはそれを伏せて契約を迫るはず!」
さやか「えっ、そうなの!?」
キュゥべえ「うん」コクン
杏子「あたしはこれでも神社の巫女でもあってね、霊感があんだ。このソウルジェムの中に魂が入ってるって、一目でわかったよ」
まどか「そうなるって知ってて魔法少女になったんですか!?」
マミ「私の場合は事故で死にかけていたから、悩む時間が無かったのよ…」
杏子「あたしも。詳しくは言えないけど、悩んでる暇なんて無かったんだ」
ほむら(インキュベーター……おまえはいつもそんなやり口で…!)
杏子「それに、悪いことばっかりでもねーぞ。こいつ、契約する時に一つだけ願い事を叶えてくれるからな」
ハル「願い事?」
QB「そうさ。どんな願いでも一つだけ叶えてあげるよ」
QB「だから、鹿目まどか、美樹さやか。僕と契約して、魔法少女になってよ!」
まどか「え?」
さやか「ちょっと待って。ハルちゃんは?」
QB「それがね、どうやら彼女は魔法少女になるための因果を失ったみたいなんだ。残念だけど、ハルを魔法少女にすることはできない」
ほむら「!!」
QB「今の君は、僕を見て、会話ができるだけの状態だよ」
ハル「そうなんだ…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/09/27/22:22
ほむら(魔法少女になるための因果を失う…? そんなことがあるの…?)
ほむら(その方法がわかれば、まどかを…!)
まどか「残念だね、ハルちゃん」
さやか「でもどうして、ハルちゃんは魔法少女になれなくなったんだろう?」
ハル「――もしかして、コトワリさまが…」
まどさや「コトワリさま!?」
ほむら「詳しく教えてもらえるかしら?」ズイッ
ハル「……………」
ハル「私ね、ずっと遠くにある、山の方の田舎から引っ越してきたんだ」
ハル「コトワリさまは、私が生まれた町の神様なの。悪い縁を切って、良い縁を結んでくれるんだって」
まどさや「神様!?」
杏子「……………」
ハル「最初は怖かったけど、悪い神様じゃなかった。二度も私を助けてくれて――このハサミも、コトワリさまから貰ったんだよ」
ハル「それで、私……………コトワリさまに、縁を切ってもらったの。たぶん、その時に魔法少女になれなくなったんじゃないかな」
さやか「いやいや! 余計なものまで切ってんじゃん! 大丈夫なのその神様!?」
ハル「仕方ないよ。コトワリさまは、ちょっと前まで自分の神社がゴミだらけなせいでおかしくなってたんだもん…」
さやか「なにそれ!?」
杏子「どこにでも似たような話はあるんだな…」ボソッ
さやか「え?」
杏子「いや、何でもない」
マミ「……………」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/10/01/22:17
ほむら(また神様…? 巫女の佐倉杏子はともかく、この子、巴マミの同類なのかしら)
マミ(あれ、何か誰かにけなされた気がする)
QB(因果さえも断ち切る"神"と呼ばれる存在……厄介だな)
まどか「神様、神様かぁ」
さやか「まー、『魔法少女』や『魔女』、『おばけ』がいて『神様』がいないのはちょっとおかしいよね、うん」ウンウン
ほむら(その純粋さが憎い…)
さやか「ハルちゃん、そのコトワリさまのこと、他の誰かに話した?」
ハル「お父さんとお母さんだけ」
さやか「っていうことは、噂の発生源はハルちゃんの両親か…」
ハル「うわさ?」
さやか「うん。『カーキ色の髪の毛で青いリボンをつけた女の子が夜の街を徘徊している。その女の子は右手に赤いタチバサミを持っていて、左腕が無い』。それが見滝原でのコトワリさまの噂」
ハル「ええ、なにそれぇ…」
マミ「本人の知らないところで、噂が一人歩きしちゃったんでしょうね」
QB「本物のコトワリさまは、どんな外見をしているんだい?」
マミ「キュゥべえ、興味あるの?」
QB「うん」
ほむら(えっ)
ハル「コトワリさまは、赤黒い丸なの。両腕と口だけがあって、大きなハサミを持ってるんだ」
さやか「人の形してないんだ!?」
QB「両腕と口のある赤黒い球体……わかった。教えてくれてありがとう」
QB「それで、契約のことなんだけど」
さやか「あーごめん。ちょっと考えさせて」
さやか「願い事叶えてもらって、魔女と戦う力とちょっとやそっとじゃ死なない体が手に入るっていうのは魅力的だけど、おばけは相変わらずどうしようもない上に魂の無い脱け殻になるっていうのはちょっと抵抗が…」
まどか「さやかちゃん、マミさんたちに失礼だよ!」
さやか「あ、いや、別にマミさんたちが気色悪いっていうわけじゃ!」
ほむら「美樹さやか、あなたの率直な感想は正しいわ」
まどか「ほむらちゃん!?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/10/01/22:19
ほむら「これを見て」コロン
ハル「なにこれ?」
杏子「グリーフシードだな」
マミ「魔女の卵よ。そして私たち、魔法少女への報酬でもある」
ほむら「私たちが消費した魔力は、これによって補充することができる」
ほむら「でもこれは魔女一体を倒して一つ……最悪、手に入らないこともある代物よ。これを巡って、縄張り争いが起きることもあるわ」
さやか「転校生の故郷がそうだったの?」
ほむら「ええ…」
ほむら「今、見滝原には巴マミと、私、二人の魔法少女がいる」
ほむら「更に増えたら、そのぶんグリーフシードの取り分が減って、満足に魔法が使えなくなる可能性が出てくるの」
杏子「そうだな。よまわりさんが魔女を倒すことを考えると、グリーフシードは減る一方だ。魔法少女が増えすぎることはいいことじゃない」
さやか「えっ。あの芋虫か象の鼻みたいなのに、魔女を倒す力なんてあるんですか?」
マミ「よまわりさんには、もう一つ別の姿があるのよ」
まどさや「別の姿!?」
ほむら(そんなのあるんだ…)
ハル「ぐりん、ってひっくり返るんだよね。灰色の闇から歯茎色の肉に」
杏子「そうそう。攻撃方法は体当たりぐらいだけど、自動車押し潰せる重量があるから、ぶつかったら痛いじゃすまねえ」
マミ「ちなみに私は『よまわりさん ラスペット・デラ・ラビア』と呼んでいるわ」
さやか「何語!?」
QB「イタリア語で、『怒りの姿』という意味だよ」
杏子「こいつ、名前つけるの好きなんだよ。私の分身魔法に『ロッソ・ファンタズマ』とか」
まどか「へ、へー」
ほむら(巴マミ…)
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2020/10/04/22:08
さやか「ってちょっと待って。ハルちゃん、よまわりさんのもう一つの姿を(ry」
マミ「L*aspetto della rabbia.」
さやか「めっちゃネイティブな発音で訂正してきた!?」
杏子「気にすんな。癖みたいなもんだ」
QB「すぐに慣れるよ」
さやか「え、えーと、らすぺっと・でら・らびあ? を見たことあるの?」
ハル「うん、見たことあるよ」
まどか「そうなんだ…」
マミ「よまわりさんがこどもをさらって廃工場に連れていくことも知っていたし、あなたもよまわりさんにさらわれたことがあるのね」
ハル「うん」
ハル「魔法少女のお姉ちゃんたちほどじゃないけど、私も『夜の怖さ』はよく知ってる」
ハル「まどかお姉ちゃん、さやかお姉ちゃん、よく考えて」
ハル「私みたいになってからじゃ、遅いんだ」
まどか「ハルちゃん…」
さやか「……………」
QB「ちなみに、君たちが望むのならハルの左腕を再生することもできるけど」
ハル「それはダメ!!」
QB「どうしてだい?」
ハル「私は、この左腕と一緒に、大切な友達を失ったんだ!」
人間たち『!?』
ハル「私から、あの子の死まで奪うようなことはやめて」
QB「そうかい」
杏子(こいつ…)
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2020/10/04/22:09
中沢「あ、あのー…」
さやか「あれ? 中沢、まだいたの?」
中沢「うん」
中沢「そろそろ日も沈んできたし、説明もあらかた終わったみたいだから、今日は解散にしないか?」
マミ「あら、もうこんな時間! 佐倉さん!」
杏子「わかってるって」ゴソゴソ
杏子「ほらよ、うちの神社のお守り。よまわりさん以外のおばけなら、これで襲われなくなる」
ほむら(また出た…)
さやか「マジで!?」
マミ「効き目に関しては私が保証するわ。常に持ち歩いているから」
ほむら(え!?)
まどか「ありがとうございます、杏子さん!」
杏子「呼び捨てでいいよ。同学年だ」
さやか「ただでもらっちゃっていいの?」
杏子「神様が欲しいのは、お金よりも信じる心なんだ。お賽銭はそのかたちの一つでしかない」
杏子「あたしは信じないやつからは賽銭を求めるけどな」チラッ
ほむら(悪かったわね…)
杏子「まあ、お金払いたいっていうんなら風見野にあるあたしん家まで来いよ」
さやか「わかった!」
マミ「みんな、佐倉さんからお守りを受け取ったわね? それじゃあ今から集団下校よ!」
まどさやハル「はーい!」
ほむら(下校じゃないでしょ…)
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