ガンプラビルドガールズセカンド
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プラネテューヌ親衛隊
2017/07/16/05:05
この物語は前作の二年後の世界が舞台です。
今作から多くの改造機体が登場予定となっております。
前作と違い。今回から様々な作品のキャラクターも登場します。
あれから二年。高校生となったうまるがチームを組み。
『あの子』との再会を果たす為の物語が始まる。
[SC-05G]
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:42
菜々が苦笑しながら頷く。他のチームに遅れながらも、彼女達は行動を開始した。
◇
「この街……かなりいりくんでますよね」
行動を開始して数十分が経過した頃。うまるは不満を漏らし始めた。
「そうだね。迷子になっちゃったら大変だよ。みんないるよね?」
かおるこは後ろを振り向いて、はぐれた者がいないかを確認する。
「あ、はい。大丈夫です」
「ちゃんと着いてきてます」
まどかとあかりが応える。はぐれた者は1人もいないようだ。
「良かった。みんなちゃんと居て……きゃ!」
安堵するかおるこだったが、突然前を歩くうまるが足を止めてその背中にぶつかってしまった。
「び、びっくりしたぁ……どうしたの?」
「えーっと、これ……」
うまるが前方を指差す。かおるこやあかり達がその方向に目を向けると、二手に別れた道が広がっていた。
「別れ道だね」
「困りましたね。どっちに行きましょうか……」
突然の別れ道。かおることまどかはどっちに行こうか迷っている。
「うまるちゃん。どうしようか?」
と、あかりはうまるに尋ねた。
「うーん。そうだね……」
腕を組んで考える。左右の道を交互に見つめて悩んだ後に、うまるは答えを導き出した。
「二手に別れてこの先を探すっていうのはどうかな、後でここに合流すればいいし」
「それはいい考えだね。そうしようか」
あかりはうまるの意見に賛成した。
「お2人はどうします?」
「私も異論はないよ」
「わたしもです」
「そんじゃ、二手に別れましょうか、うまるとあかりちゃんは右に行きますから、かおるこさん達は左をお願いしますね」
「うん、またここで会おうね」
そう言ってかおるこは、まどかを伴って左の道に入っていった。
「うまる達も行こうか」
「うん」
うまるとあかりも右の道へ歩み出す。2人でレストランを探しながら奥へと進んでいく。
しかし、中々飲食店を見つける事は出来なかった。
「……見つからないね」
「そうだね」
……ぐうぅ。
その時、あかりのお腹の音がなった。顔を赤くして腹部を押さえる。
「あはは、お腹すいたの?」
「うぅ……」
……ぐぅぅ。
うまるのお腹も鳴った。あかりと同じように赤面する。
「ま、まあ仕方ないよね。もうお昼時だし……!」
「う、うん。そうだね! あかり達もどこかでお食事しようか」
「ああ、それはかおるこさん達と合流してからで……」
ピコンッ!
うまるのスマホから、LINEにメッセージが届いた知らせが鳴る。ポケットから出してLINEアプリを起動する。
そこに映っていたのは、パスタだった。かおるこのメッセージもあって、『ごめんね。先に食べてる』と書かれている。
「うまる達も何か食べようか……」
「……そうだね」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:47
あっちが食事をしているなら、遠慮する必要はないだろう。うまるはメッセージを送信して飲食店を探す事にする。
「とは言ったものの……こっちの道は外れだったみたいだね。飲食店ないし」
うまるが周囲を見回す。あるのはフラワーショップとスーパーだ。飲食店のような場所はどこにもなかった。
「うーん、もう少し進んでみればあるんじゃないかな。行ってみる?」
「先か……。もしかしたら、公一郎さんのお店とかあったりしそうだし、もう少し進もうか」
あかりが、こくりと頷く。少しずつ空腹を抑えて2人は更に奥へと進んでいく。
「あ、ねえ。あれ見て!」
あかりが何かに気づいた。視線の先には一軒の喫茶店があった。
「喫茶店みたいだね。行ってみよう」
「うん」
2人はその喫茶店の前に駆け寄った。店の前には看板があって、そこにはメニューとこの店の名前『ラビットハウス』と書かれていた。
「ラビットハウスって言うんだ……」
「変わった名前だね」
「ひょっとして、最近流行りの猫カフェとかふくろうカフェみたいなところかな!」
うまるは爛々と目を輝かせて言った。
「うーん。どうなんだろうね……」
「まあ、入ればわかるよね。行ってみよう」
「そうだね。もうお腹ペコペコだし」
2人はラビットハウスの中へと足を踏み入れる。
扉を開けると、お客が来たことを知らせるベルの音が響く。店内は古い作りで年季があるお店であることが伺える。しかし、そんなことはうまるにとって関係なかった。
「……あかりちゃん」
「なに?」
「ウサギ……1羽もいないね」
「……そだね」
うまるの想像とは違い。店内にウサギの姿は1羽もなかった。それどころか他の客の姿もなく今、この店に入ってきたのは自分達だけと思うと悲しくなってきた。
「あ、いらっしゃいませ! 2名様ですね。空いてる席へどうぞ!」
1人の少女が駆け寄ってきた。歳はうまる達と差ほど変わらないように見える。
制服を着ているから、この店の従業員だろう。なんだか見ているこっちが元気になりそうな程明るい少女だった。
彼女に案内されて2人は向かい合うように椅子に腰を落とした。
「あの人、あかり達と同い年だよね?」
「うん、それに他にも……」
うまるは店内を見回す。先程の少女の他にも同年代の少女達がいる。彼女達は色は違うものの、同じ制服を着ていた。
「みんな従業員にしては若いね。アルバイトの子かな?」
「偉いなぁ。あかりと同年代でアルバイトしてるなんて」
「でも、あっちの3人は遊んでるよ……」
先程から店内の隅で遊んでいる3人がいる。何故だろうか、うまるはこの3人に関わってはいけないと肌で感じていた。
「あの、すいません……」
声をかけられる。視線を向けると小柄な少女がいつの間にか立っていた。
そしてその頭には巨大な綿菓子のような生物を乗せている。
「それ、アンゴラウサギ?」
「知ってるんですか?」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:48
「うん、前に読んでた漫画に出てたんだ。それで気になって調べたんだよ」
「そうですか、この子はティッピー。この店の看板ウサギです」
そう言って少女は、頭の上に乗っているティッピーを撫でた。
「へえ、そうなんだ。可愛い名前だね」
「ありがとうございます。ティッピーも喜んでますよ。そういえば、あなた達は初めてご来店になるお客様ですよね」
少女に初めて来店したことを見抜かれてうまるとあかりは顔を見合わせ、再び視線を戻した。
「よくわかったね。うまる達が初めて来たって……」
「職業柄、来る人の顔はすぐに覚えられるんですよ」
「へえ、凄いね……」
目の前にいる少女は自分より年下だというのにこんなにもしっかりしていて、素直にうまるは感心した。
「あ、ちょっといいかな」
あかりが小さく手を上げる。
「ご注文ですか?」
「ううん、ちょっと気になってて。ここのお店で働いている人……皆、若いけど。アルバイトの人なの?」
あかりが先程から気にしていた疑問をぶつける。少女は首を前に倒した。
「ええ、あそこのピンクと紫の制服を着ている人はここのアルバイトをしています。あっちの3人は、まあ……事情があって働かせています」
向こうで遊んでいる3人とは色々複雑な事情がありそうなのは、表情を見ればわかる。うまるは聞かない事にした。代わりにもうひとつの疑問を口にする。
「じゃあ、あなたは……見たところ。1番若く見えるけれど?」
「わたしの亡くなった祖父がここの喫茶店のマスターなんですよ。今は父が代わりに経営してて……だから、昼間はお手伝いしてるんです」
「そうだったんだ。ごめんね……変な話をさせちゃって」
祖父が亡くなってると聞いて、うまるは彼女に申し訳ない事をしてしまったと詫びる。
「いいですよ。お気になさらないでください。祖父は亡くなりましたが……皆さんがいますから」
少女は従業員を見て、微笑む。
「そっか、あなたにとってあの子達は大切な人達なんだね」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:48
「まあ、はい……」
恥ずかしいのか、少女は顔を少し赤くした。うまるはそんな彼女を見て、可愛いと思った。
「あの……。そろそろご注文を……」
「ああ、そうだよね。ちょっと待ってて!」
少女に言われてうまる達はここに食事へやって来た事を思い出す。メニューを開き、急いで注文する品を決める。
「えっと、うまるはキリマンジャロとこのパスタにしようかな。あかりちゃんは?」
「あかりはブルーマウンテンとココア特製トーストにするよ」
「よし、決まりだね。それでお願いします」
「かしこまりました。しばらくお待ちください」
言って、少女は厨房へと歩いていった。
それから数分後。うまる達のテーブルに注文した品が運ばれてくる。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」
「うん、ありがとう」
「それではごゆっくり……」
あかりが笑顔を向けると、少女は頭を下げてカウンターの方へ戻っていった。
「さあ、食べようか」
「うん、とっても美味しそうだね」
「うまる。お腹が鳴りすぎてて自分を止められないよ……それじゃあ、早速……」
フォークを手に取り、パスタの中へ突き刺し、巻き付けて適量な分を口の中へ運んでいく。
「っ!?」
うまるは目を見開いた。美味い。単純にそう思ったからだ。再び口に入る量を巻き付けて口の中に運んで咀嚼した。
「美味しい……。このパスタも美味しいよ」
「このトーストも美味しいよ。いい感じにサクサクふわふわだ」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:48
「いやぁ……いい店に入ったね。明日も来よう!」
「と、当初の目的を忘れないようにね」
「わかってるって」
もちろん公一郎の捜索も忘れない。うまるは微笑み返すと、コーヒーカップの中に砂糖を少量注いでかき混ぜた。
「砂糖入れるんだ」
「あはは……。まだ苦いの苦手で、砂糖入れないと飲めないんだよ」
うまるは苦笑しながら一口喉に流し込んだ。
「うん、ちょうどいい甘さになった」
「ふふ、それは良かったね。あかりも飲もうかな」
そう言って、あかりは砂糖を入れずに一口味わいながら啜った。親友が目の前でブラックコーヒーを飲んでうまるは目を見開いた。
「えっ! ブラック飲めるようになったの!」
「ふふ、そんなに驚く事かな。あかり達は、もう高校生だよ。これくらいは飲めなきゃ」
「そ、そっか……そうだよね。し、知らない間に味覚が大人になってたなんて……。これはうまるも頑張らないと……」
「………」
「ん?」
よく見ると、コーヒーを飲むあかりの額が汗でびっしょりと濡れていた。
「ね、ねえ……。あかりちゃん」
「なぁに?」
「もしかしてだけど、本当はブラック飲めないんじゃないの? 見栄張ってない?」
「そんな事はないよ……」
あかりは再度口に注いだ。今度は顔を青ざめていく。
「いや、絶対無理してるでしょっ!? ほ、ほら! 砂糖入れなって……!」
「だ、大丈夫……。これを飲み干せばあかりも大人の仲間入りだから……」
「ブラック飲めるか飲めないかの問題じゃないからそれっ! ああっ! 気絶したぁっ!!!」
遂に限界を向かえてあかりはテーブルに顔を突っ伏してしまった。うまるが呼んでも返事が来ない。まるで屍のようだ。
「何やってるんだ。あいつら……」
「さあ……?」
2人のやり取りを半眼を作って従業員が視線を送っていた。
その後。復活したあかりと食事を楽しみながら過ごし、店を後にして集合場所へと戻っていった。
◇
「あ、先に帰って来てたんだね」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:49
うまるが近寄って声をかける。。集合場所に来ると、既にベンチに座るまどかとかおるこの姿があった。
「はい。わたし達も着いたばかりなんです」
まどかはベンチから立ち上がった。
「そうなんだ。じゃあ、いいタイミングで戻ってこれたね。ところでそっちに公一郎さんの手掛かりは見つかった?」
あかりが質問すると、まどかは眉を八の字にした。
「ごめんなさい。手掛かり0です……」
「そうなんだ。こっちもだよ……見つかったのはせいぜい雰囲気のいい喫茶店だけだったし」
「ああ、さっき言ってたお店だね。なんて名前なの?」
互いに手掛かりは0だった。うまるが言った雰囲気のいい喫茶店。少し興味があったかおるこが店の名前を尋ねる。
「ラビットハウス。そんな名前でしたよ」
「ラビットハウス。ラビット……もしかして、ウサギが一杯いるのかな!」
子供のように目を輝かせる。つい数時間前に同じ反応をした者がいた。
誤解を解き、これ以上期待させない為にもうまるは心を鬼にして口を開く。
「いえ、看板ウサギが1羽いるだけで大量にいませんでした……」
「そ、そんな……」
事実を知ってかおるこはショックを受けた。頭を押さえて項垂れる。
「う、うまるちゃん……。言わない方が良かったんじゃ」
「ううん。言わない方が辛いって事もあるんだよ……」
「そ、そうなんだ……」
あかりは額から汗を垂らしながら、苦笑する。
「あ、そうだ。その喫茶店には公一郎さんはいたの?」
すぐに立ち直ったかおるこが聞いてくる。
「いなかったですよ。居たのは、うまる達と同年代の女の子ばかりでした」
「そうなんだ。じゃあ、その子達に公一郎さんの話はしたの?」
「「……あ」」
うまるとあかりは同時に声を発した。公一郎の事を聞こうと思ってたが、会話と料理に夢中で聞くのを忘れてしまっていた。
「その反応……。忘れてたんだね」
「うっ……全くその通りです……」
「今から引き返して聞いてきます……」
反応でかおるこにバレてしまった。忘れたのは自分達の責任だとうまるとあかりは再びラビットハウスに向かうと決めた。
「あ、あの……。ちょっといいですか?」
と、まどかは手を上げた。
「何、どうしたの?」
「いや、あの……気のせいかと思ってたんですけど、あの人さっきからこっちをチラチラと見てますよ……」
まどかは指を差す。その先を追うと、建物の物陰からこちらの様子をチラチラと見ている怪しい人影を発見した。
「……本当だ。なんだろうあの人」
「け、警察呼んだ方がいいでしょうか……」
「いや、大丈夫じゃないかな。見た感じだとうまると同い年くらいかも……それなら危険はないだろうし。警察呼んだのバレたら逃げるかもしれないよ」
「じゃあ、どうすれば……」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:49
「……うまる達で捕まえよう」
「ええっ!? 大丈夫なんですかわたし達だけでそんなことして!」
うまるのとんでもない発言にまどかは、驚きを隠せない。うまるはにしし、と笑う。
「冗談だよ。何も手荒な真似をしようって事じゃない。何でこっち見てるのか聞いてくるだけだって」
「そ、そうですか……良かったぁ」
捕まえると言う発言が冗談でまどかは心底ホッとした。
「何人も行ったら驚かせちゃうと思うし、うまるだけで行ってくるよ」
「本当に大丈夫。私もついていこうか?」
「平気ですって、ただ聞いてくるだけなんですから」
かおるこが心配している。ちょっと大袈裟過ぎると思いつつ、うまるは彼女の気遣いが嬉しかった。
微笑んで返した後。うまるは少女に向けて歩いていく。
「大丈夫かなぁ……」
かおるこは、まだ心配していた。
「さっきも聞いてくるだけって言ってたから、大丈夫だと思いますよ」
「そうなんだけど、何か嫌な予感がするんだよね……」
「い、嫌な予感て言いますと……」
「うーん。それが何かわからないんだけど……妙な悪寒を感じるの」
この悪寒は何なのだろうか、うまく言葉に言い表せないかおるこ。
「やっぱり気にしすぎじゃ……。あかりさんはどう思います?」
「……」
まどかはあかりに声をかける。しかし、返事が来ない。
「あかりさん?」
気になって視線を向けると、あかりは眉間に皺を寄せて隠れている少女を見ていた。
「あの、あかりさん!」
「え、ああ……。ごめんね。何かな?」
強く呼び掛けたら反応してくれた。まどかは続きを口にする。
「あの人の事をジーっと、見てましたけど。知り合いなんですか?」
「いや、知り合いじゃないけど……。どこかで会った気がするの」
「そうなの。それってどこ?」
少女に見覚えがあると聞き、かおるこは尋ねるとあかりが首を横に振った。
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:49
「すいません……。それがどこか覚えてないんですよ」
どこかで見た筈なのだが、それがどこでなのかを思い出せないでいるあかり。もう少しで思い出せそうなのだが、あと1つ……何かきっかけがあればと唸る。
「あ、うまるさんがあの女の人の所へ着きましたよ」
まどかの言葉にあかりとかおるこは、視線をうまる達の方へと向けた。
「ど、どうしよう……。着いてきちゃったけど。どうやって声をかけようか……」
少女は物陰に隠れて独り言を呟く。彼女はうまる達を追いかけて来たのは、ある理由の為……だが、初対面の相手にいきなり変な質問をしたら怪しまれるのではと、ここまで来て身を潜めている。
「うーん……どうしよう」
「あの、ちょっといいですか?」
「へ?」
声をかけられて振り向くとそこにはうまるがいた。
少女は彼女が近寄って来ているのを気づいていなかった。目を点にしてうまるを見る。
「さっきからこっちを見てたけど、何か用ですか?」
「……ば」
「ば?」
何がばなのか、うまるは小首を傾げて復唱する。すると………。
「ばれたぁああああああっ!!!!!」
と、叫んで回れ右をし、勢い良く逃げていった。
「え、何? どうゆうこと!」
「うまるちゃんどうしたの!」
何の事かわからない。理由を聞こうとしたがどんどん少女は離れていく。
異変を感じたあかり達が駆け寄ってきた。うまるは3人に事情を説明する。
「と、突然逃げたんですか……」
「うん、人の顔を見るなり逃げるなんて失礼しちゃうよね……」
「でも、何がバレたのかな?」
「もしかしたら……」
と、重々しくかおるこが唇を震わす。
「あの子はどこかのガンプラファイトのチームで、私達を探ってたんじゃないかな……」
「さ、探ってた……でも、どうしてわたし達がガンプラファイトをやってるってわかったんでしょう」
「あかりちゃん達は去年の優勝者。かおるこ先輩達は強豪校。まどかちゃん達は準決勝まで進むと思ってたチームを撃破した……皆、注目揃いのメンバーだからね。そりゃ探りたくもなるよ」
ここにいるのは実力揃いのファイター達。全員相手チームが警戒するのは無理もないとうまるは納得する。
「そうなると話が変わってくるね。あの子を捕まえてどこのチームか吐かせよう」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:50
「ええっ! そこまでしますかっ!」
「わかってないね。情報は相手チームにとって対策を練るのに相応しい材料だよ……。仲間の元へ辿り着く前に仕留めないと……」
「私も手伝うよ、生徒会長として自分のチームの情報漏洩は見過ごせないから」
「ありがとうございます」
と、言ってうまるとかおるこは拳を突き合わせて意気投合した。
「あのぉ……何もそこまでしなくても……」
「無駄だよ。もうあの2人は止まらない……ほら、もう走って行っちゃってる」
「はやっ!?」
既にうまるとかおるこは少女を追いかけて全力疾走をしていた。自分が少し目を離した間にかなりの距離を離されてしまった。このままでは取り残されてしまうと、まどかとあかりもその後を追う。
「はあ……はぁ……。びっくりしたなぁ。まさか私の完璧な尾行がバレてるなんて、相手も中々やるね……」
少女は少し行ったところで足を止めて息を整える。
「あ〜……逃げずに話を聞けば良かったかな。そうしたらちゃんと聞いてくれるかもしれなかったし……」
少女は今更逃げた事を後悔し始める。
「よし、戻ろっ! そして話をしてみよう!」
と、即座に決めて元来た道を戻ろうとする。
「見つけたっ!」
「ん?」
何やら遠くから声が、その方角を見るとうまる達がこちらに鬼の形相で走ってきているのが見える。
「逃がさないぞぉおおおおおおおっ!」
「い、いやああああっ!」
どうしてか身の危険を感じた少女は、再び逃走を始める。背後から迫る4人に捕まらないように手足を激しく動かす。
「な、何で追いかけて来るのっ!」
「それは自分の胸に聞いてみなよっ!」
「全然わかりません!」
「あなたどこのチームの人、素直に話してくれれば悪いようにはしないから!」
「チーム……私はどこにも入ってませんよ!」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:50
彼女達が何を言っているのかわからない。少女は否定するが……。
「口が硬いね。これは本気でやらないといけないよ」
「うわぁああああん! 信じてくれないよぉおおおお!」
少女は大泣きする。こうなっては意地でも捕まってなるものかと自分の心を震い立たせ、走る速度を早めた。
「あっ! 振り切るつもりだ。待てー!!!!!」
うまる達も速度を上げて追跡する。
「あかりさん。これ、いつまで続くんでしょうか……」
「さあ、でも、長くなりそうな予感はするよ……」
◇
少女が逃げて10分が経過した。
「あぁ……駄目だ……」
「あうぅ……」
体力の限界を向かえたうまるとまどかは壁を背にしてもたれ掛かっている。
「大丈夫……?」
「うん、無理。明日筋肉痛確定だよ……」
「普段あまり動かないのに走るからだよ」
あかりの言葉が心にグサリと刺さる。こんな思いをするのならば、日頃から少し運動しておけば良かったと思ううまるなのであった。
「かおるこさん。大丈夫でしょうか……」
自分のハンカチで額の汗を拭き取るまどか。
この場にかおるこの姿はいない。先にバテてしまった2人を休ませ、自分が彼女を捕まえると1人だけで追いかけていったのだ。あかりはもしもの時の為の連絡係りとしてここに残っている。
「大丈夫だと思うよ。ああ見えてかおるこさんは運動神経いいし、今頃捕まえてるかも……あ、噂をすれば」
かおるこが走っていった方向を見ると、うまるの視界に先程の少女を連れたかおるこがこちらに向かって歩いてきた。
「皆、お待たせ。捕まえたよ!」
「つ、捕まっちゃったぁ……」
結構な距離を走ったというのにかおるこは、汗1つも掻いていない。それに比べて少女は額から汗を流して疲れきった様子だった。
「さすがですね。どこで捕まえたんですか?」
あかりが聞くと、かおるこはあいている左手で少女を捕まえた方向を指差した。
「すぐそこだよ。疲れてたようで地面に倒れてたんだ」
「ああ、つまりうまる達と同じって事ですね」
彼女の疲労した表情を見ると、限界だった事が伺える。呼吸を整え、うまるは立ち上がった。
「ここじゃ何ですから、場所を変えましょう」
「うん、この子疲れてるし座らせてあげないと」
「あうう……天使様!」
少女はかおるこの気遣いが嬉しかったようで感激して泣いている。
うまるの提案通りに近くのベンチに移動して少女を座らせた。逃げられないように周囲を取り囲んで4人はジーっと視線を浴びせる。
「えーっと、何か落ち着かないんだけど……」
「こっちを尾行して話しかけたら逃げた人を怪しむなというのがおかしいよね?」
「で、ですよね……」
うまるに正論を言われて少女は言葉に詰まってしまった。
「あ、そうだ。この子……」
と、ここであかりはこの少女の事を思い出す。
「ねえ、うまるちゃん。この子、さっきの喫茶店でアルバイトしてた人だよ。ほら、あのラビットハウスっていう」
「え、そうだっけ?」
うまるは首を傾げる。どうやら忘れているようだ。
「ほ、ほら……最初にお店に入ってた時に声かけて来てくれた人だよ」
「あ、あああっ! 思い出したっ!」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:51
うまるは漸く思い出した。少女をよく見ると、アンゴラウサギを頭に乗せていた少女と同じ店の制服を着ている。
「その喫茶店って、確か2人が行ったウサギが大量にいる喫茶店だよね!」
「いや、1匹だけって言ってたじゃないですか……。捏造しないでください」
「うう……そんな事言わないでよぉ……」
そんなにウサギが1匹だけなのがショックなのか、あかりに捏造を正されたかおるこは肩を落とす。
「そっか、あの店で働いてた子か……。あれ、でも……この子途中から居なかったような……」
うまるは記憶の引き出しを開けて、喫茶店に入った時の事を思い出す。
最初に入って声をかけてきたのは彼女だが、その後の事は彼女が何をやっていたのか全く思い出せない。
「実は、あの時考え事しててお店の隅でボーッとしてたんだよねぇ〜」
「いや、接客業やってるんだからそれは駄目でしょ」
後頭部を掻いて苦笑いをする少女。うまるは頬に汗を垂らしながら呆気に取られていた。店の隅にいたなら気づかない筈だ。
「むう。わたしだってちゃんと考えてるんだよぉ〜」
と、少女は頬を膨らます。
「あの、もしかしてその考え事とわたし達を尾行していたのは関係あるんですか?」
まどかはその話が関連性があるのかと聞くと、少女は目をぱちくりとさせて振り向いた。
「おおっ! よくわかったね。あなたひょっとして探偵さんかな!」
「いえ、違います。ごく普通の中学2年生ですよ」
「2年生かぁ……。チノちゃんの1つ下だね!」
(チノちゃんて誰だろう……)
彼女の口から、唐突に出てきた名前にかおるこは首を傾げる。
「ひょっとして、頭にアンゴラウサギ乗っけてた子?」
「うん、香風智乃ちゃん。わたしの自慢の妹なんだよ」
と、胸を逸らして自慢気に言う。次に彼女はうまるに視線を向けて口を開いたの。
「実は……わたしの考えてた子ってチノちゃんの事なんだ……」
「そうなの、もしかして喧嘩しちゃったとか?」
少女の悩みは妹のチノとの喧嘩によるものではとあかりは考えたが、彼女は首を横に振った。
「違うよ。仲は良いよ。ただあまりあのお店に人が来ないから……どうやったら繁盛するのかいつも悩んでるの」
「そうなんだ。中学生でお店の繁盛を心配するって……」
初めて会った時から大人びているなぁとうまるは感じていたが、そのイメージはより強くなった。
「それで……お姉ちゃんとして何か手伝えないかなって悩んでた時に、この2人が気になる事を言ったの『大会』とか、『全国に中継』されるって」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:51
「「あぁ〜……」」
店を出ていく前に確かにそんな話をしていた。少女はその時の会話を聞いていたのだろう。
「2人は心当たりある?」
「はい、滅茶苦茶……」
「帰り際にうまるちゃんと話していました……」
かおるこに聞かれると、うまるとあかりは素直に答えた。
「えっと、質問するけど……ガンプラファイトって知ってる?」
「何それ?」
少女は首を傾げた。
「え、知らないんですかガンプラファイト。じゃあ、ガンプラは?」
「……??」
ガンプラファイトを知らないという少女。ならばガンプラなら知ってるだろうと聞いたまどかだったが、その問いも少女は表情を渋らせる。
「え、ええ……ガンプラファイトを知らない人がいるなんて……」
「まあ、ここはガンプラファイトシュミレーターが設置されるまでかなりの時間がかかったって言うし、知らない人が多いんじゃないかな」
「あ、なるほど……」
うまるの説明でまどかは納得する。
「ガンプラファイト……もしかして、それがあなた達が言ってた事なのかな?」
「そうだね。あー……その前にごめんね。変な疑いかけて……」
「え、何が?」
少女は目をぱちくりとさせてうまるを見た。
「あなたがどこかのチームの手の者かと思って追いかけちゃったからさ、怒ってるでしょ?」
「ごめんね。無駄な体力を使わせちゃって……」
自分達の誤解で追いかけ回した事を謝罪するうまるとかおるこ。少女の反応は……。
「ぜんぜん、むしろ理由説明しないで尾行してたわたしが悪いんだから、謝らなくてもいいよ。それよりも……」
少女は気にしてなかった。急に立ち上がって、うまるに顔を近づける。
「ねえ、そのガンプラファイトってどこで出来るの! 全国中継ってことはお店の宣伝できるかなっ!」
「おおうっ! 凄いやる気……!」
うまるは彼女の熱気に圧倒される。
「あはは、理由はどうあれ、ガンプラファイトに興味を持ってくれたようだね。うまるちゃん……ここは彼女に教えてあげた方がいいんじゃないかな。この子の妹に対する想い……真剣そのものだよ」
「……」
うまるは少女を見る。真剣な眼差しを向けてくる。妹の為に頑張ろうとする彼女の気持ちを……あかりが言ったように無視はできなかった。
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:51
「はぁ……。わかったよ」
観念してうまるは肩をおとした。
「本当っ! ありがとうっ!」
「ちょっ!?」
少女が抱きついてきた。不意打ちをくらってうまるは顔を赤くする。
「あらあら……」
「あばばば……」
少女の大胆な行動にかおるこはにやけ、まどかは両手で顔を隠すが指の隙間からがっちりと見ていた。
「うまるちゃん大人気だね」
ニコニコしながらあかりが言った。うまるは眉間にシワを寄せる。
「他人事だと思って……ちょ、ちょっと離れてくれるかな?」
「あ、ごめんね。嬉しくてつい……」
少女はうまるから離れた。うまるは肩を竦めると口を開いた。
「まあ、妹さんの為なら仕方ないけどね。えーっと、それであなた名前は?」
「あ、そういえば言ってなかったね!」
少女はパン、と両手を合わせて思い出す仕草をした。
「わたしは保登心愛。ココアって読んでね。あなた達はなんて呼べばいいの?」
「うまるは土間うまる。東京の荒矢田高校に通ってる2年生だよ」
「あかりは赤座あかり。富山の七森高校2年です」
「私は鹿苑寺かおるこ。東京の桜翠学園3年生で、生徒会長をしているの」
「さっきも言ったと思いますけど、中学2年の鹿目まどかです。通ってるのは東京の見滝原です」
全員自己紹介すると、ココアは全員を一瞥してから口を開いた。
「全員住んでる所と年齢がバラバラだね。どんな知り合いなの?」
「それは後で話すとして、うまる達はここに目的があって来たんだよ」
「それって何?」
「人探しだよ。友達のお兄さんがこの街に住んでるみたいなんだけど場所がわからなくて、皆で探してるんだ」
「そ、そうだったんだ。何か邪魔しちゃってごめんね……」
理由を聞いてココアは悪い事をしてしまったと気づき、皆に謝る。
「いや、いいよ。謝らなくてもココアちゃんが妹の為に頑張ろうとしているのは伝わったから、でも、そのお兄さんが見つかるまで待っててくれないかな」
かおるこが言う。ココアの相談に乗ってあげたいが、自分達にはやるべき事があると、先にそちらを片付けてから取り組みたいという話をする。すると、ココアが……。
「うん。そういう事なら、わたしも手伝うよ!」
突然の申し出に皆が目を丸くした。
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:52
「いやいや、手伝うって……何か巻き込んだみたいで悪いよ」
「いいよ気にしないで、わたしもタダで教えてもらおうとは思ってないから、もしかしたら知ってる人かもしれないからどんな人か聞かせてっ!」
意気揚々に鼻を鳴らすココア。どうやらやる気のようだ。
「……どうします?」
うまるは、かおるこに聞いてみる。
「そうだね。土地勘がある人がいると心強いよ。手伝ってもらおうよ」
「かおるこさんは賛成みたいだね。2人はどう?」
次にあかりとまどかに尋ねる。ココアの協力は全員に意見を聞いてから判断した方角がいいとうまるは考えた。
2人は首を前に倒す。
「あかりは、かおるこさんの考えに賛成だよ」
「わたしもです。一人でも多い方が助かりますよ」
2人からの賛成を得た。うまるは振り向いて、微笑む。
「皆、いいって言ってるから、よろしくね。ココアちゃん」
「まっかせて、さあ、どんな人か話してみるがよい……」
最初からやる気をみなぎらせるココア。頼もしいかぎりだと4人は微笑む。
「じゃあ、話すよ。名前は海老名公一郎。この街のどこかにあるレストランで働いているの」
「妹さんが言うには、ちょっとぶっきらぼうで怒ると怖い。だそうです」
あかりとまどかが情報をココアに伝える。これで何か手掛かりが掴めればいいと4人は願う。
公一郎の特徴を聞いて、ココアはこめかみに指を付けて唸り出す。しばらくその状態が続くと彼女は、ハッ、と目を見開いた。
「あ……確か、クラスの友達がそんな感じの人の話をしてた気がする」
「その人と連絡取れるのっ!」
先程と逆で今度はうまるがココアに詰め寄る。
「う、うん……連絡先知ってるから……」
「じゃあ、これで……見つかるかも知れないんですね。菜々さんのお兄さんが!」
「うん、ココアちゃんは私達の前に現れた天使だよ!」
まどかとかおるこが微笑む。これで漸く兄妹が再会できると思うとこっちまで嬉しくなってしまう。
「いやはや、どう致しまして……」
役に立てて誉められたから、ココアはにやけていた。
「ココアちゃん、早速その子に連絡してもらってもいいかな」
「うん、待ってて」
あかりに促されてココアは携帯電話を取り出し、その相手に連絡した。
「あ、いま大丈夫? あ、うんうん。そうなんだ……じゃあ、そっちに向かうね」
会話を終えてココアは携帯電話をポケットに閉まった。
「大丈夫だって?」
うまるが聞くと、ココアが笑顔で頷く。
「バイト終わった所だって、その子の働いてるお店にこっちから行くって話したよ」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:52
「そっか、ありがとう。案内してくれるかな?」
「もちろん、こっちだよ!」
連絡をしてくれたココアに感謝するかおるこは、彼女に道案内を頼むと快く引き受けてくれた。
ココアの案内のもと、その友人のアルバイト先へと歩き出す。
「あそこだよ!」
歩いてから10分。件の店はそれほど離れた場所にはなかった。立ち止まったココアが指差すその先にはお洒落な飾りが目立つお店があった。看板には大きくフルール・ド・ラパンと書かれている。
「凄い綺麗なお店だね。あれはどういったお店なの?」
「ハーブティーのお店だよ、どのハーブティーも美味しいから飲んでみるといいよ」
「ハーブティーか……。あんまり飲んだ事ないんだよね。飲んでみようかな……」
あかりが尋ねるとココアが応えた。話を聞いてうまるはハーブティーに興味を持ち始める。
「先にココアちゃんのお友達に話を聞いてからだよ」
「わ、わかってますよ……」
かおるこに注意されて、うまるは頬をぴくつかせる。
「で、ココアちゃん。その友達はお店の中にいるの?」
「ううん、外で待ってるって言ってたよ。ちょっと背が低くて青い髪の女の子がいたらその子だよ」
「あ、ひょっとしてあの人ですか」
真っ先にまどかが発見する。確かに背の低いカーディガンを着た青髪の少女がフルールの入り口付近に立っていた。
「ああ、うん。そうだよ。あおいちゃーん!」
ココアが手を振ってその名前を呼ぶと、少女はこちらに気づいて歩いてくる。
「あ、こっちに来る。可愛い子だね」
離れた位置からでも、少女の整った顔が見える。かおるこは少女を見て素直な感想を口にした。
「ねえ……何か、見覚えない?」
「奇遇だね。凄い見知った顔に見えるよね……」
近づいている少女に見覚えがあるうまるとあかり。それは2年前に知り合ったとある友人に似ていた。
「……久し振り。うまる。あかり」
というより、本人だった。中学時代の友人で転校してどこに住んでいるかわからなかった青山あおいがそこにいた。
「いや、反応薄いね……」
「……これでも驚いてるよ。そっちも日との事が言えない。せっかくの再会なのにそんなに驚いてるように見える……」
「それはあおいちゃんがあんまりにもすんなりと現れたから、反応に困ってるんだよ」
久々の再会がこんなのでいいのかと疑問を浮かべるうまるとあかり。
3人のやり取りを見ていて、他の3人は首を傾げる。
「え、知り合いなんですか?」
まどかが聞くと、3人とも首を前に倒した。
「そう。中学の時の友達だよ……。まさか、こんなところで会えるなんて……」
奇妙な偶然にうまるは驚きを隠せないでいた。
「そうだったんだ。2人の友達なら初対面の人に声をかけるより楽になるから、好都合だね」
「ですね。あおいちゃんなら気安く話せる中ですから、ホッとしてますよ」
かおるこの言葉にあかりは頷いた。
「話は聞いた。公一郎さんを探してるって……。そっちの2人は彼の妹?」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:52
「この2人は違うよ。その子とは別行動してる」
あおいは初対面のかおることまどかを公一郎の妹だと勘違いしている。
うまるが、訂正してここに来た経緯をあおいに全て話した。
「という訳なんだよ」
「……そう。そこの黒髪の人、どこかで見たと思ったら、桜翠の人だったんだ」
「ふふ、よろしくね。あおいちゃん。私は鹿苑寺かおるこっていうの」
「こちらこそ……。そっちのあなたは?」
あおいはまどかの方に視線を寄越した。
「あ、えと。鹿目まどかです。見滝原中に通っています」
「……よろしく」
と、静かにあおいは返した。
「な、何か反応薄いですね……もしかして、わたし。嫌われるような事を言っちゃったんでしょうか……」
「違う違う。あおいちゃんはいつもこんな感じだから、気にしなくていいよ」
失礼な発言をしたのではないかと不安にかられるまどかをあかりが優しく声をかけて安心させる。
そんな2人のやり取りをそっちのけにし、あおいはうまるに視線を向けて口を開いた。
「……その菜々って子に直接話がしたい。呼び出せる?」
「ちょっと待ってて」
うまるはスマホを取り出し、LINEアプリを起動して菜々にメッセージを送った。すると返事はすぐに返ってくる。
「お、早いね。なになに……今は、甘兎庵ってところにいるらしい」
「ああ、千夜ちゃんのところにいるんだね」
「知り合いかな?」
菜々のメッセージに書かれていた甘兎庵という場所をココアは知っているようだ。
かおるこがすかさず聞いてくる。
「わたしのクラスのお友達が働いている甘味処だよ。ここから近い場所だからそんなに時間はかからないね」
「んじゃ、次はその甘兎庵ってところに向かうとするか……」
「あ、ちょっと待って」
甘兎庵に行こうと提案したうまるをあかりが呼び止める。
「ん、どしたの?」
「向こうへ行くのは、あかりとかおるこさん。あおいちゃんの3人だけでいいよ。こんなに大勢で行く必要はないから」
「え、その間。わたし達は何をしてればいいんですか?」
と、まどかは疑問をぶつけてくる。
「まどかちゃんには重要な役割が残ってるよ」
「え、それって……」
「ココアちゃんにガンプラファイトの楽しさを教える。でしょ?」
うまるはウインクをして言った。
「そう。その通りだよ」
「言い出しっぺのうまるは最初から付き合う予定だったし、まどかちゃんは教え方が上手そうって理由かな?」
「そういう事。さすがに鋭いねうまるちゃん」
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:52
「え、そんな理由なんですか……」
「それだけじゃないよ。まどかちゃんはこの中で1番ココアちゃんに気に入られてるからね」
「そ、それは……はふっ!」
あかりの言葉を否定しようとした時、まどかは背後からココアに抱きつかれる。
「ちょっ! ちょっとココアさん。またですかっ!」
「はふぅ〜……やっぱりこの中で一番まどかちゃんがもふもふしてて、抱き心地がいいねぇ〜」
「や、やめてくださぃ〜」
出会った時からというもの。ココアはこうしてまどかを抱き締めてこれでもかというほど頬擦りをしてくる。
被害者は彼女だけでなく、他の3人もココアに抱きつかれた。その中でも1番まどかが気に入ったようなので、フルールに到着するまで幾度も抱きついてきた。
「これ、ほむらちゃんに見せられないね……」
「うん、見たら鬼の形相でココアちゃんに襲いかかりそう……」
怒り狂うほむらの姿を想像し、うまるとかおるこは頬をぴくつかせる。
「……ココアの事は、うまるとまどかに任せて。私達は甘兎庵に行こう」
「そうだね。待たせるのも悪いし。そういう訳だから2人とも、ココアちゃんにガンプラファイトの楽しさを教えてあげてね」
「ん、了解任せて〜」
「え、あっ! 待ってください! ちょっと助けてくださいよぉおおおっ!」
あおい。あかり。かおるこの3人は甘兎庵に移動を始める。うまるがひらひらと手を振っている隣で現在進行形で抱きつかれているまどかが救いの手を求めるが、その声は届く事はなく。3人の後ろ姿はみるみる内に遠ざかっていくのだった。
「っで、皆が言ってるガンプラってなんなのかな?」
3人が行った後。街中を歩くうまる達。ココアがガンプラがなんなのかと質問してくる。
「機動戦士ガンダムってアニメ作品に出てくる。ロボットの模型の事をガンプラって言うんだよ。その模型で戦うのがガンプラファイトだよ」
うまるがわかりやすいように説明する。ココアは首を傾げた。
「模型で戦う……。どうやって?」
「専用の筐体にインストールして、自分で操って戦うんだよ。まるで実際のガンダム作品のように戦えるんだ」
「またまたぁ……。わたしは騙されないよ。模型が動くわけないよ」
ココアはうまるの話が信じられないようだ。仕方ないとうまるは肩を竦める。
「これは、実際見てもらわないと信じてもらえないね」
「ですね。じゃあ、模型店に行きましょう」
うまるとまどかは頷き合うと、ココアに視線を向けた。
「ココアさん。この辺りに模型店がありますか?」
「うん、少し歩くけどいいかな」
「じゃあ、そこへ行きましょう。案内のお願いします」
「はぁーい!」
ココアが声を弾ませる。彼女の案内で近場の模型店に足を運ぶ3人。
歩いて5分。その模型店に到着。中へと入る。
「わたし、模型は作った事がないんだよね。チノちゃんはボトルシップ作るのが趣味なんだけど……」
「随分と渋い趣味だね……」
本当に中学生なんだろうかと思った後に、うまるは微笑みながら口を開く。
「作った事がなくても大丈夫だよ。簡単だし、うまる達が教えてあげるよ」
「本当っ! ありがとうっ!!!!!」
「って、あのここ店の中っ!?」
店内なのにも関わらずココアが抱きついてきた。周囲にいる他の人達は、2人に視線を向けてニヤニヤしている。
「……わかりました。わたしの気持ちが」
(まどかちゃんが虚ろな目をしてる……)
これまで幾度もココアに抱きつかれていたまどか。光を失った目で乾いた笑いを浮かべる。それほどまでに辛かったのかとうまるは今度から助けてあげようと考え直した。
「とりあえず離れてくれるかな?」
「はぁーい」
ココアは素直にうまるから離れた。
「ココアちゃん。ガンプラファイトをするにはガンプラを作らなきゃ駄目だよ。この中から好きなのを選んで」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/15/18:52
「好きなのかぁ……これだけ多いと迷うね」
「単純にココアちゃんが一目見て、気に入ったものを選べばいいんだよ」
「自分の直感を信じろって事だね。わかった!」
ココアは自分のガンプラを探し始めた。
「うまるさんは、ココアさんがどんなガンプラを選ぶと思います?」
取り残された2人。まどかはココアがどういったガンプラを持ってくるかをうまるに尋ねる。
「あの子の性格からして、可愛いガンプラとか選びそうだよね。SDタイプの機体とかありそうかもよ」
「なるほど、確かにありそうです。でも、わたしは……ベアッガイやノーベルガンダムのような機体かなって思ってるんです」
「その線もあったかぁ〜」
互いにココアがどんなガンプラを選ぶかで、話を盛り上げる2人。すると、すぐにココアは1つの箱を持って帰ってきた。
「2人とも〜。決めてきたよ〜」
「は、早いですね……何を選んだんです?」
「これこれ、何か可愛いからこれに決めちゃった!」
「こ、これは……」
ココアが見せてきた箱を見てうまるは顔をひきつらせた。まどかも目を点にする。
箱には少女のイラストが描かれていて『フレームアー○ズガール轟○』と書かれていた。
「ねえねえ、この子可愛いよね!」
「うん、そだね……あのさ、悪いんだけど……。それ、ガンプラじゃないよ」
「ええっ!?」
自分が持ってきた物がガンプラではないと知って、ココアは驚愕した。
「そ、そんな……違うなんて……」
「それでも戦えなくはないんですけど、別のお話になっちゃうんで諦めてください……」
「別の話って?」
「ま、まあ……その話は今度って事で、これは返して別のにしようよ」
「うん、そうする……」
ココアは肩を落として元あった場所へ箱を戻しに行く。
「……ココアさんに悪い事をしちゃいましたね」
「うん、でもさ……作品が違うからしょうがないよ」
「皆、持ってきたよ〜」
「「はやっ!?」」
10秒と経たずにココアは戻ってきた。先程あれだけ落ち込んでいたのに、もう元気を取り戻している。それだけいい物が見つかったのだろう。
「今度はどんなのにしたの……?」
「これだよ」
次はどんなのが来るのかと身構えたうまるだったが、今度は普通のガンプラだった。
ベアッガイファミリーというベアッガイのバリエーション機体だ。
「あ、今度は普通だ。ベアッガイファミリーにしたんだね」
「うん、この子凄く可愛くて……一目見て、これだって直感したよ」
「ああ、わかります。可愛いですよねベアッガイ。わたし全種類持ってますよ」
「え、全部ってプチッガイも……?」
「はい。黒い三連星や限定のゴールドとシルバーもあります」
(すげぇ……)
改めてまどかのガンプラ愛の凄さを感じたうまる。さすがあかりを尊敬するだけはある。視線をココアに戻してうまるは口を開く。
「えと、そのベアッガイファミリーで決まりでいいんだよね?」
「うん、この子にするよ!」
「じゃあ、レジに行こうか、買った後は作業スペースで組み立て始めるよ」
「あ、ねえ。組み立てるのに何か必要なものってある?」
「ああ、そうだね。ニッパーやピンセットは必要だね。それもないと組み立てられないよ」
「うう……大丈夫かな。お金……」
ココアは自分の財布を取り出して中を見ようとするが、
「それなら心配ないですよ。わたし、持ってますから」
おもむろにまどかは、ポケットからニッパーとピンセットを取り出す。
「え、何で持ってるの?」
「何でって、ビルダーなら常に持参しているの当たり前じゃないですか」
「ああ、そうなんだ……」
全員がそうじゃない! と、内心でうまるはつっこんだ。
「それがあれば作れるんだね。ありがとうまどかちゃん!」
「ウェヒヒ、どういたしまして」
喜ぶココアを見ていたら、まあいいかという気持ちになうまる。
「じゃあ、買ってさっさと作ろうか!」
「はい!」
「おー!」
3人はレジへ行ってベアッガイファミリーを購入し、作業スペースで組み立て始める。初心者のココアにレクチャーし、うまるとまどかの協力も得て小一時間でベアッガイは完成する。
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607
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プラネテューヌ親衛隊
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607
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/29/20:53
「やったぁ! 出来たぁ〜!!!!」
両手を上げて子供のようにはしゃぐココア。テーブルの上には彼女達が作った白いベアッガイともう1体のガンプラが見上げるように立っている。
「こっちの子も可愛いね」
ココアはもう1体の小さなベアッガイを手の上に乗せて顔の前まで持っていく。
「それはプチッガイって、言ってこのベアッガイとは親子関係にあるんですよ」
「だから、ファミリーなんだね。うーん……私としては親子より姉妹のがいいんだけどなぁ」
「そこに関して凄い拘りだね……」
うまるは苦笑いを浮かべた。
「ガンプラも完成した事だし。早速ビルダーズシティへ行こうか」
「それって、どうやって行くの?」
「ああ、それはーーー」
「あ。そこの君達」
うまるが説明しようとしたところで誰かに呼ばれる。
3人が振り向くと、エプロン姿の30代くらいの男性が立っていた。うまるは彼に見覚えがある。
「店員さん? どうかしたんですか?」
そう。彼はここの店の店員。先程ベアッガイファミリーを買った時、レジ担当をしていたのが彼だった。
「君達、初めて見る子達だからね。ちょっと聞こうと思って」
「何をですか?」
まどかが聞き返すと、男性はにっこりと微笑んで口を開く。
「ビルダーズシティへの登録はしてるのか、それを聞きたかったんだよ。ついさっきメンテナンスが終わったからバージョンアップしたんだ」
「え、そうなんですか……。まどかちゃん聞いてる?」
「はい。と言うか、うまるさんは知らなかったんですか……?」
「こ、ここのところ公式サイトを見てる余裕がなかったんで……」
大会へ出る為に多くのファイトをこなしていたうまる。公式サイトをチェックを怠ってしまい。激しく反省している。
「今回は、どんなバージョンアップしたの?」
「聞いた話だと。いままでのビルダーズシティはβ版で、多くのファイター達の意見を聞いて改良したんだそうですよ」
「あ、あの出来でβ版だったんだ……」
あれよりどう改良されたのか、想像すら出来ない。
うまるはただただ驚くばかりだ。
「その子の言った通り。大幅な調整が入ってね。今回からログインするのにこれを使うんだ」
店員が持っているのは、六角形の台座のようなものだ。
「それは何ですか?」
「これはビルダーズギアって言って、新しいシュミレーターを起動するのに使用する装置だよ」
うまるの問いに店員は丁寧に説明した。そして、3人にビルダーズギアを手渡す。
「ありがとうございます。えっと、使用する時には店員さんに言って借りればいいんですか?」
気になったうまるは更に質問する。店員は首を横に振った。
「いや、それは全てのファイターに無償でプレゼントしてるんだ」
「む、無償でですかっ!?」
話を聞いてまどかは目を見開く。
「そう。全てのファイターに楽しんでもらいたいっていうプラフスキー社の心意気だよ」
(あおばさん太っ腹だなぁ〜)
あおばの懐の深さにうまるが素直にそう思った。
「β版をやったなら、シュミレーターにビルダーズギアをセットすれば、以前のデータは引き継がれるから安心してね」
「あ、そうなんだ。良かったね」
「はい。そんな難しくなさそうで安心しました」
「あのぉ。初めての人はどうすればいいの?」
うまるとまどかはセットすればそのまま開始できるが、初めてのココアの場合はどうなるのか? ココアは店員に質問をする。
「初めての人でも大丈夫。アバターを製作するだけですぐにログインできるよ」
「アバター……?」
ココアは首を傾げる。どうやら彼女はアバターという言葉を知らないようだ。
「ビルダーズシティで使用するキャラクター。解りやすく言うと自分の分身ですよ」
「ああ、なるほどね〜」
どうやらココアは納得したようだ。
「まあ、実際やってみた方が早いよ。やり方教えてあげるからついてきて」
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プラネテューヌ親衛隊
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608
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プラネテューヌ親衛隊
2018/04/29/20:53
「よろしくお願いします」
うまるが店員に頭を下げると、それに合わせてまどかとココアも下げた。
店員に案内され、3人はシュミレータールームへと足を運んだ。
「前のと変わらないんですね」
中へ入ると数人が既にプレイしていた。シュミレーターの一台を見て、変化がみられない事に気づいたまどかが口にした。
「外見は変更されてないんだ。変わったのは内部とビルダーズシティぐらいだよ」
「ああ、そうなんですか」
「なんだ……外見もめっちゃ変わってると思ったのに残念……」
システムも改良したなら、きっと外装も変わっている。と、思っていたようだが見当違いでがっかりし、うまるは唇を尖らせた。
「まあ、肝心なのは中身の方だよ。ささ、入ってみて」
うまるの反応に店員は苦笑いを浮かべた。
すぐに表情を柔和な笑みに戻してシュミレーターに入るように促す。
「そんじゃあ、早速……」
うまるが1番ノリに中へ入った。コックピット内部もあまり変化はないと思われていたが少し形状が変わっていて中央部分に台座があり。そこに六角形の窪みが確認できた。
「ここにビルダーズギアをセットすればいいんですか?」
「そうだよ。そしてその上に自分のガンプラを置いてヘッドギアを装着すれば始まるよ」
「前とあまり始め方変わらないんですね。それは助かります。じゃあ初めて見ますか、先に行ってるよ」
「はい。わたし達もすぐに追いかけますね」
「待っててね〜」
まどかとココアに先に行くと告げる。彼女達もそれぞれのシュミレーターの元へと移動した。
それを見届けてから座席に深々と腰掛け、店員に言われた通り中央の窪みにビルダーズギアをセットし、その上に自分のガンプラを乗せる。
そして、うまるはヘッドギアを装着した。
目の前の景色が一瞬の内に電脳空間の光景へと変わる。
うまるは何か変化はないか周囲を確認する。
「ん、あんなのあったかな……?」
うまるはすぐに変化に気づいた。
いつもログインするとセントラルエリア内の施設に出てくるのだが、見慣れないものが中央にあった。
「あ、うまるさん!」
背後から声。振り返るとまどかが立っていた。
彼女も今来たようだ。
「やっほ、まどかちゃん。相変わらず可愛いアバターだね」
「え、あぁ。ありがとうございます……」
急にアバターを誉められてまどかは顔を赤くする。
その仕草が何だか愛らしく見えた。
(可愛いなぁ。ほむらちゃんやココアちゃんが夢中になるのもわかるよ……)
染々そう思っていると、うまるは気づいた。ココアがいない事に……。
「あれ、そういえばココアちゃんは?」
「わたしとほぼ同時にシュミレーターに入ったのは見ました。もしかしたら、初めてだからキャラ作成に息詰まってるのかもしれませんね」
「ああ、わかる……そういうのって自分の拘りが出てついつい時間かかちゃうんだよね〜」
うんうん、とうまるは首を何度も縦に振った。
「おーい!」
どこかで聞いた事のある声がする。
「うまるちゃーん! まどかちゃーん! どこにいるの〜! 返事をしてー!!!!」
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