魔界幽鬼ディスガイア
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/05/05/22:16
優樹「うーん…」
優樹(おかしいな……確かにあたしは死んだはず。でもなぜかまったく知らない場所に、元通りの姿でこうして立ってる…)
優樹(……)
優樹「もしかしてここ、あの世?」
< おーい、誰かー!
優樹「ん?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/08/18/23:26
フーカ「違うもん、違うもん。死んでないもん、生きてるもん」フルフル
晃「ちょっと言い過ぎてしまいましたかね?」
八牧「15以上ならもう大人だ。現実は受け止めなければならん」
優樹「八牧さん、たぶんそれ江戸時代の考え方ですよ」
ラハール「おいフーカ、ヴァルバトーゼはどこだ? 話があるんだ」
フーカ「…ヴァルっちだったらフェンリッちと一緒にでかけたっきり帰ってこないわよ」
ラハール「何っ!? 何故だ!」
フーカ「プリニーが一匹逃げちゃったのよ。それで探しに行った」
ラハール「どんなプリニーだ! 俺様も探す!」
晃「探すってどうやってですか。見分けつくんですか?」
ラハール「教育施設から逃げ出すようなプリニーは、生前の面影を強く残した我の強い個体だ。フーカを見ればわかるだろ」
優樹「え、あなたプリニーなの?」
フーカ「ちっがーうわよ! 私はペンギンの形をした牛革を被った罪人の魂なんかじゃないんだから!」
八牧「なぜプリニーを探す必要がある。ヴァルバトーゼとかいうやつを、引っ張ってくればいいだろう」
ラハール「ヴァルバトーゼは約束は絶対に守ることを心情としている。プリニー教育係として、逃げたプリニーを見つけるまで絶対に帰ってこない」
ラハール「だったら俺様がそのプリニーを見つけて、捕まえた方が手っ取り早い。フーカ、そのプリニーの特徴は?」
フーカ「ちょっと赤っぽい茶色の体をしていたわ。あと『僕をおまえたちみたいな化け物と一緒にするな!』とか言ってた」
優樹「うわぁ、高橋くんだぁ」ゲンナリ
ラハール「やっぱりおまえの知り合いがいたか…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/08/18/23:28
スタスタ
ラハール「で? その高橋っていうのはどんなやつなんだ? プリニーになっているということは、罪人なんだろうが」
優樹「高橋幸児くんはね、20人以上の人間を殺した有害指定生物だよ。あたしと同じダブルブリッドだけど、人間を殺したから事実上人権は認められてない」
ラハール「ほう、20人以上も殺したのか。そしておまえと同じダブルブリッド。ならば化け物呼ばわりされて当然だな」
晃「あんなろくでなしと姉さんを一緒にするな」
優樹「いいんだよ晃。もうあたしは気にしてないから」
八牧「……………」
ラハール「腹違いの弟かお父さんぽい鬼と言っていたが、高橋はどっちなんだ?」
優樹「弟だよ。向こうは知らないけどね」
優樹「彼が死んだ後に、あたしたちが異母姉弟だってわかったんだよ」
ラハール「そうか。会ったら教えてやるか?」
優樹「いや、止めておくよ。高橋くん、あたしのことが大嫌いだから。そんなこと教えたらますます怒り狂っちゃう」
ラハール「ならその高橋をけら……協力者に加えても揉め事を起こすだけか。今回は諦めよう」
優樹「そうしてくれると助かるよ……ところで今、家来って言おうとしなかった?」
ラハール「気にするな」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/08/25/23:22
優樹「…ん?」ピクッ
八牧「狼の臭い…」
ラハール「何? フェンリッヒか」
フェンリッヒ「嗅ぎ覚えのある臭いがすると思って来てみたが……おまえだったか、魔王ラハール」
フェンリッヒ「まわりにいるのは、新しい家来か?」
ラハール「そうだ……と言いたいところだが、違う」
晃「ラハールさん、彼は…」
ラハール「フェンリッヒ。ヴァルバトーゼの忠臣である人狼だ」
ラハール「ヴァルバトーゼはどこだ? おまえがやつの側から離れることは無いはずだ」
フェンリッヒ「閣下なら今、休憩を取られている。要件があるなら、俺が聞こう」
ラハール「フーカから聞いた。逃げたプリニーを探しているのだろう? 手伝ってやるから、俺様に協力しろ」
フェンリッヒ「何?」
◆
ヴァルバトーゼ「…なるほど、話はわかった」
ヴァルバトーゼ「いいだろう。逃げたプリニー――いや、高橋幸児をおまえたちが見つけることができたら、ラハールが玉座に戻れるよう協力すると約束しよう」
ラハール「よっしゃあ!」
フェンリッヒ「閣下! わかってましたけど二つ返事でOKしないでください!」
ヴァルバトーゼ「よいではないか、フェンリッヒ。予期せずしてあのプリニーの生前の情報が手に入った上に、探すのも手伝ってもらうのだ」
ヴァルバトーゼ「ラハールの頼みに応じるのは、当然のことだろう?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/01/22:14
フェンリッヒ「しかしっ…!」
ヴァルバトーゼ「もう決めたことだ。食い下がるな」
フェンリッヒ「………はい」
優樹「あのー、質問いいですか?」
ヴァルバトーゼ「何だ?」
優樹「プリニーの生前の情報って、教育係のあなたにも知らされないんですか?」
ヴァルバトーゼ「ああ、プリニーは生前の罪を償うための姿。転生すれば、前世の記憶は普通無くなるからな。教育係には必要ない」
優樹「そうですか…」
ヴァルバトーゼ「よし、いくつかのグループに別れて高橋幸児を探すぞ。今俺たちは6人だから、二人一組だな」
フェンリッヒ「無論、私は閣下と共にあります」
晃「僕は姉さんと一緒がいいです」
ラハール「…ちょっと待て。ということは俺様は…」チラッ
八牧「……………」
ラハール(高橋幸児が見つかる前に死ぬかも知れん)ゴクリ
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/01/22:16
ヴァルバトーゼ「さて、別行動を取ったわけだか」
ヴァルバトーゼ「フェンリッヒ、聞いてもらいたいことがある」
フェンリッヒ「はい。何でしょう」
ヴァルバトーゼ「実は、俺はあの八牧という男と優樹という女を知っている」
フェンリッヒ「は?」
ヴァルバトーゼ「俺がおまえを従者として迎えるよりも以前からの知人に、シームルグ――今は大田真章だったか。とにかく、そういう名前の男がいる」
ヴァルバトーゼ「長い間疎遠だったのだが、 ついこのあいだ、大田から連絡があったのだ」
ヴァルバトーゼ「『もし僕の死んだ友人に会うことがあったら、仲良くしてほしい』と」
ヴァルバトーゼ「話題から脱線を繰り返して延々と喋るあの男が、要点だけを伝えてきたことに、ただならぬ雰囲気を覚えてな。友人の特徴を聞いた上で約束した」
ヴァルバトーゼ「ラハールに協力すると約束したのは、優樹と八牧に接する機会を得るためでもあったのだ。そこを理解してほしい」
フェンリッヒ「それはわかりましたが……閣下、何故そのことをあの二人に説明なさらないのですか?」
ヴァルバトーゼ「大田に口止めされたのだ。イワシ10匹で」
フェンリッヒ「安っ!?」ガビーン
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
2019/09/01/22:17
晃「…姉さん」
優樹「何だい?」
晃「高橋幸児のこと、本当に気にしてないんですか?」
優樹「うん」
優樹「何て言うかな、死んで頭が冷えたのかな。高橋くんのこと、かわいそうだとは思うけど、生前の頃ほど深く考えないようになったんだよ」
優樹「死んでバカが治るって本当だったんだね」アハハ
晃「姉さんはバカなんかじゃないですよ!」
優樹「……」ポカーン
優樹「ありがとう、君は高橋くんと違ってかわいい弟だね」ニコ
晃「か、からかわないでください!」
優樹「顔にやけてるよ」
◆
ラハール「……」
八牧「……」
ラハール「…おい」
八牧「何だ」
ラハール「高橋幸児はどうして殺人を犯したんだ?」
八牧「知らん」
ラハール「…質問を変える。おまえから見て、高橋幸児はどんなやつだったんだ?」
八牧「おかしなやつだ。俺たちに捕まって、『さっさと殺せ』だの『殺してやる』だの喚いていた」
ラハール「…何だそれは?」
八牧「俺たちアヤカシは、基本的に同種を食ったり殺したりはしない。俺たちを化け物と呼んで殺そうとするのは、人間だけだ」
八牧「だから俺たちは高橋を『人間』として扱い、全ての始末を人間に任せた」
八牧「…今思えば、失敗だったかもしれん」
ラハール「……」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/08/22:30
八牧「…!」バッ
ラハール「八牧!?」
八牧「ふん!」岩ボコォン
赤茶色のプリニー「…っ!」
ラハール「赤茶色のプリニー! おまえが高橋か!」
高橋「白髪犬の仲間の化け物! なぜおまえがここにいる!」
八牧「おまえと同じだ。死んだんだ」
高橋「じゃあ何で元の姿のままなんだっ! 僕はこんなペンギンみたいな姿になったのに!」
ラハール「プリニーは罪を犯した人間がそれを償うための姿。おまえは八牧と違って半分人間だから、殺人の罪を償わなければならなくなったというわけだ」
ラハール(そしてそのルールは俺様にも適応される……嫌な話だ)
高橋「…ふざけるなぁぁぁぁあああ!!!」バッ
八牧「……」頭ガシッ
高橋「あいつらが僕を認めないから殺した! 僕を化け物扱いしたから殺した! それの何が悪い!!」ジタバタ
ラハール「魔界では悪くはない。だが人間界では悪いことなのだろう?」
八牧「人間が勝手に決めたルールだ。俺にとってはどうでもいい」
八牧「だが……アヤカシは殺しに責任を持つ。相手が人間なら死体を食うなり埋めるなりする」
八牧「おまえはそれをしなかった。おまえはアヤカシのルールも、人間のルールも守れないダメなヤツだ」
高橋「うるさい! 化け物が僕に説教するな! 僕を化け物扱いするなあああああ!」
ラハール「なぜ化け物扱いされることを嫌がる? 俺様は悪魔と人間のハーフで、人間扱いされたことなど一度も無いが、不満に感じたことは無いぞ」
高橋「な…に…!?」ピタッ
八牧「こいつは自分の生まれに自信と誇りが持てないんだ。人間として生きたいなら胸を張ってそうすればいい。それができなかったからこうなったんだ」
ラハール「全ての異種族とのハーフが、俺様のように生きられるわけではないということか…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/15/22:08
高橋「……………!」
ラハール「何だその目は。俺様が憎いのか?」
高橋「この悪魔め、僕と同じ苦しみを味あわせてやる…!」
ラハール「ほう。どうやってだ? 八牧の手から逃げ出せなければ俺様に触れることは叶わんし、もし八牧が気紛れでおまえを手放したとしても、おまえでは俺様を苦しめることはできんと思うが」
高橋「嘗めるな! 僕はな、自分の母親すら殺したんだ。やってやれないことは無い!」
ラハール「…今、何と言った?」ゴオッ…
高橋「!?」ビクッ
ラハール「自分の母親を殺した、と言ったか?」
高橋「あ、ああそうさ! 殺した! あいつは僕を抱き締めるどころか目さえも合わせなかった! 僕のことを嫌っていたんだ! だから殺した!」
ラハール「……」
ラハール「八牧、そいつを投げろ」
八牧「何?」
ラハール「プリニーは投げると爆発してHPが0になる。ただ運ぶなら、その方が効率的だろう? 治療費も1ヘルしかかからないしな」
八牧「なるほど。わかった」ブンッ
高橋「!? やめ(ry」ヒュー
ボッガーン!
ラハール「よし、高橋を回収して、優樹たちと合流するぞ」
八牧「ん」
ラハール(母上…)
◆
プリニー教育施設
ヴァルバトーゼ「ありがとうラハール。協力を感謝する」
ヴァルバトーゼ「それでは約束通り……フェンリッヒ、出発の準備を」
フェンリッヒ「は…」
ラハール「いらん」
ヴァルバトーゼ「何?」
ラハール「約束は破棄する。おまえはプリニー教育係として、高橋をしっかり教育するといい」
ヴァルバトーゼ「…いいのか?」
ラハール「ああ。高橋と話してみて、こいつには色々と教育が必要だとわかった。一刻も早く一人前のプリニーにしてやれ」
ヴァルバトーゼ「わかった。では仕事を優先させてもらおう」
優樹「ラハールくん、いいの?」
ラハール「ああ、と言っただろ。行くぞ」
スタスタスタ…
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/22/22:37
ラハール魔界
ラハール「ふっふっふっ……ハーッハッハッハッハッ!!」
ラハール「戻って来たぞ! 覚悟しろエトナ!」
晃「…で、僕たちどうすればいいんですか?」
ラハール「暴れろ。以上だ」
優樹「いいの? お城崩れるかもよ?」
ラハール「構わん。このままエトナに奪われるよりマシだ」
優樹「…後で泣いても知らないからね? 八牧さん、お願いします」
八牧「ん」
八牧「―――――」スゥ
八牧「ウオオオオオオオオオオ!!!!」ドドドドド!
ドゴーン!!
◆
城内
プリニー「エトナ様ー! 敵襲ッスー!」
エトナ「言われなくてもわかってるっつーの。数は?」
プリニー「一人ッス! 外に殿下がいたから、間違いなくその協力者ッス!」
ドッガーン!
プリニー「だぁあ! 来たッス! おしまいッス! 逃げるッス!」
八牧「おまえがエトナか」
エトナ「そうだと言ったら?」
八牧「優樹のためだ。倒す」
エトナ「はっ! できるもんならやってみな(ry」
八牧 の 鉄拳!
エトナ は HP が 1 になった!
エトナ「!?!?!?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/09/29/22:48
エトナ(あの後すぐに捕まりました…)
八牧「これでいいのか」
ラハール「よくやったぞ、八牧」
ラハール「さて、エトナよ。今回の不敬、おとなしく謝罪すれば許してやってもよいぞ?」
エトナ「いやーさすが殿下。相変わらずお優しい」ニコ
エトナ「だが断る」
ラハール「何ッ!?」
エトナ「元はと言えばー、殿下があたしの極上スイーツ盗み食いしたのが悪いんですー」ベー
優樹「えっ」
ラハール「ふざけるな! その前におまえが俺様のプリン食ったからおあいこだろ!」
晃「は?」
エトナ「そーんな昔のこと覚えてませ〜ん」
ラハール「こいつ…!」
優樹「ちょ、ちょっと待って。ラハールくん、極上スイーツとかプリンとか…」
優樹「もしかして事の発端って……『食べ物の恨み』?」
ラハール「そうだ」キッパリ
晃「姉さん、殴ってもいいですか?」
優樹「晃、気持ちはわかるけど落ち着いて」
優樹「…八牧さん」
八牧「…菓子を作ればいいんだな?」
〜数時間後〜
八牧「最近流行りのタピオカだ」
八牧「食え。それで水に流せ」
エトナ「はぁ? あんたみたいな毛むくじゃらが作ったもんなんか食えるかっつーの!」
ラハール「それは残念だ。こいつはあのチャンプルも認める凄腕料理人だというのに」パクッ
エトナ「えっ」
ラハール「うおー! うまいぞー!」口からビーム
エトナ「えっ」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/10/06/22:07
エトナ「……」
パク
パァァァァッ
エトナ「天使にジョブチェンジしよう…」
ラハール「そこまで言うか!?」
八牧「……」
優樹(あ、何か嬉しそう)
フロン「あれ、もう終わってる!?」
優樹「やあ、フロンちゃん」
フロン「てっきり喧嘩両成敗で終わると思ってたのに。回復アイテムが無駄になっちゃいました…」
ラハール「おまえ、そんなこと考えてたのか」
八牧「食ったな。なら、これで終わりだ。俺はチャンプルの所へ行く」
ノッシノッシ…
エトナ「……」
ラハール「……」
フロン「…ラハールさん、エトナさん。八牧さんの言う通りにしましょう?」
ラハール「…そうだな。食べてしまったから仕方ない」
エトナ「そうですね。食べちゃいましたから」
アッハッハッハッハッ…
晃「これでいいんですか…?」
優樹「穏便に済んだからいいじゃない」
優樹「それに、また喧嘩するようなら、その都度あたしたちが止めればいいんだよ」
晃「……」
晃「って姉さん、三途の川はどうするんですか?」
優樹「え? うーん…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/10/13/22:03
数日後、人間界
ヴァルバトーゼ「失礼する。大田、いるか?」
大田「いる、と問われればいると答えよう。さすがに当人が目の前にいるのに「いると思うかね?」と訪ねるのはおかしな話だ」
フェンリッヒ(回りくどい返答を…)
ヴァルバトーゼ「まずは土産だ、受け取ってくれ。魔界名産の暗黒ピーナッツだ」
大田「ありがとう。従者ではなく自分で手渡す君の誠実な所は高く評価できる」
フェンリッヒ「なぜ、俺が閣下の従者だと?」
大田「なぜだと思うかね?」
フェンリッヒ「何?」
ヴァルバトーゼ「乗せられるなフェンリッヒ。こいつはこうやって楽しむんだ」
フェンリッヒ「…いい性格してますね」
ヴァルバトーゼ「慣れれば面白いやつなんだがな……慣れるまで数百年かかるが」
大田「それは君がそうだったというだけのことだよ。何事にも個人差というものがある。例えば――」
ヴァルバトーゼ「長話は止めてくれ。俺の用件がまだだ」
大田「おっと、これは失礼したよ。それで、君の用件とは何かな?」
ヴァルバトーゼ「俺が住んでる地獄に、おまえの友達がやってきた」
大田「…そうか」
ヴァルバトーゼ「一応言っておくが、地獄に堕ちたわけではない。別の魔界で生活している」
大田「だろうね。優樹もゲンさんも、地獄に堕ちるようなアヤカシじゃない」
ヴァルバトーゼ「そして俺はおまえとの約束を守った。これからも、あいつらが俺を頼るようなことがあればできる限りのことはしよう」
大田「ありがとう。君を頼って正解だった」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/10/20/22:13
ヴァルバトーゼ「そして今日は、その優樹に頼まれておまえの所にやってきた」
ヴァルバトーゼ「受け取れ。おまえへの手紙だ」スッ
大田「…!」
大田「わかった、受け取ろう」ハシッ
ピラッ
『先生、お久しぶりです。優樹です。嘘だと思うかもしれませんが、私は今、魔界で生活していす。』
『そこにいるヴァルバトーゼさんは、私が知り合った魔界の住人の中でも特に誠実な方なので、信用してあげてください。』
『本当は自分で報告したかったのですが、魔王城での生活に慣れるまで時間がかかりそうなので、こうして手紙を書くことにしました。』
『ひょんなことからラハールという名前の悪魔と出会ったのですが、彼は私が堕ちてきた魔界の王だったのです。まあ魔王といってもまだまだ子供で、やってることも度が過ぎたイタズラ程度のことがほとんどなのですけど。』
『私は今、彼の下で働いています。当人は雑用を押し付けてるようですが、お世話係みたいなものですね。』
『ラハールくん、性格が性格だから人望があまりなくて、私がいて喜んでるみたいです。私もなんか彼のことが放っておけなくて……たぶん彼が私と同じで、人間の血が混じってるからだでしょう。』
『…なんか、高橋くんの事件から変わってないみたいですけど、ラハールくんは高橋くんと似てるようで全然違うので誤解の無きようお願いします。』
『それと、弟に出会いました。初めて出会った時にはもう遅かった弟です。今は、一緒に生活しています。』
『八牧さんにも出会いました。こっちに来ても料理に精を出しています。』
『最後に、虎くんと夏純ちゃん、赤川さん、山崎くんとみっちゃんは元気でしょうか? 先生なら浦木さんと飯田さんのことも知ってそうですが、あえて訊かないことにします。』
『できればお返しの手紙をください。それでは。』
大田「優樹…」
ヴァルバトーゼ「……」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/10/27/22:15
大田「ヴァルバトーゼ、少し、待ってくれないかな。僕は優樹に返事を書かねばならない」ゴソゴソ
フェンリッヒ「閣下は(ry」
ヴァルバトーゼ「よせ、フェンリッヒ」
フェンリッヒ「は…」
ヴァルバトーゼ「大田、手紙は処分しないのか?」
大田「処分すると思うかね?」サラサラ
ヴァルバトーゼ「思う。おまえは2700年程生きているが、記憶力に優れ、一度見聞きしたものは決して忘れない。だから一度読んだ手紙はその場で燃やしてしまう」
ヴァルバトーゼ「それが俺の知る大田真章――古代ペルシャの霊鳥シームルグだ」
大田「……」
大田「確かに、普段なら僕はこの手紙を燃やしただろう」
大田「だが、優樹は多くのアヤカシと僅かな人間から愛されていた。この手紙を読みたいと思う人は多いだろう」
大田「だから、残しておくことにしようと思う」
ヴァルバトーゼ「……」
ヴァルバトーゼ「ならば、そいつら全員で魔界へ行けばいい。俺が連れていってやろう」
大田「いいのかい?」
ヴァルバトーゼ「遠慮するな。何年おまえの友人をやっていると思っている」
大田「ありがとう、ヴァルバトーゼ。君は本当にいい人……いや、いい吸血鬼だ」
フェンリッヒ「……」ムスッ
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/11/03/22:12
ラハール魔界、魔王城
プリニーA「いや〜殿下もエトナ様も大人しくなった(当社比)ッスね〜」
プリニーB「それもこれも優樹さんと八牧の大将のおかげッスよ〜」
プリニーA「フロンさんが『何か自分の仕事取られた気がする』って呟いていたッスけど、些細なことッスよね」
プリニーB「その通りッス」
優樹「おーい、そこのプリニー君たち、ラハールくんやエトナちゃんに見つかる前に仕事に戻るんだよー」
プリニー×2『ラジャーッス〜』ヒラヒラ
スタスタ…
優樹「…よし、この辺の見回りはもういいな」
ドドドドド!
優樹「ん?」
虎司「団長ぉー!」
夏純「優さーん!」
優樹「え、ええ!?」
ドッカーン!
虎司「会いたかったぜ、団長ぉ!」
夏純「優さんだ! 本当に優さんだ!」
優樹「虎くんに夏純ちゃん、どうして魔界に!?」
ヴァルバトーゼ「俺が連れてきた」
優樹「ヴァルバトーゼさん!?」
大田「やあ優樹、変わりないようで何よりだ」
未知と呼ばれていた幼女「優さん…!」
優樹「先生! みっちゃんまで!」
大田「優樹、僕とヴァルバトーゼは古い友人なんだよ。だから、僕とみんなを魔界に連れていくよう頼んだんだ」
優樹「そうだったんですか…」
優樹「……」
大田「優樹、君が今思い浮かべているであろう生き物は、殺人の罪で拘留されている。僕の力で檻から出すことはできないし、僕は彼を出すつもりは無い。理由は聞かずともわかるだろう」
優樹「……………はい」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/11/03/22:14
虎司「なあ団長、ヤマの大将は?」
夏純「ヤマさんは一緒じゃないの?」
未知と呼ばれていた幼女「やまきのくまさん」
優樹「八牧さんは別の魔界にある邪悪学園にいるよ。たまにこの魔界に来るの」
虎司「よし鳥頭、火蜥蜴、ちっこいの、大将に会うまで帰らねえぞ!」
夏純&未知「「おー!」」
大田「虎くん、学校はいいのかい?」
虎司「あっ、しまったぁ!」
ラハール「おい優樹、さっきの物音は何だ?」
夏純「あ、ゴキブリだ」
ラハール「何だと貴様ァ――ってギャアアアアア!? ムチムチー!」
夏純「?」←魔法剣士とかと大差無し
虎司「団長、なんでえあのガキは」
優樹「ラハールくん。この魔界の王様だよ」
大田「へぇ、彼が…」
ラハール「優樹……こいつら、おまえの知り合いか?」
優樹「うん。あたしが生前に勤めてた職場の同僚で、大田真章先生、相川虎司くん、帆村夏純ちゃん」
優樹「それと、一時的に面倒を見ていた八牧さんの非常食、みっちゃん」
未知と呼ばれていた幼女「……」
ラハール「ひ、非常食?」
優樹「夏純ちゃん、ラハールくんはおっぱいが大きな女の人が苦手なんだよ。少し離れて」
夏純「は〜い」
虎司「あんな脂肪の塊が怖いのか?」
ラハール「怖いんじゃない! 苦手なだけだ! なぜかわからんが!」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
2019/11/10/22:29
八牧「……」ノッシノッシ
八牧「…ん?」
優樹「あ、八牧さ――」
虎司「大将ぉー!」
夏純「ヤマさーん!」
未知と呼ばれていた幼女「やまきのくまさーん!」
八牧の腹 < ぼふっ
ラハール(腹に突っ込んだ…)
八牧「おまえたち…」
大田「やあ、ゲンさん」
八牧「俺の名前は巌だ。大田、おまえが連れてきたのか?」
大田「連れてきたと思うかい?」
ヴァルバトーゼ「俺が連れてきたんだ」
大田「ヴァルバトーゼ、いきなり答えを言わないでほしいな。こっちは僕なりにゲンさんとの再開を喜び楽しもうとしていたところだったのに」
虎司「鳥頭、長話で大将を独占しようとすんじゃねえ!」
夏純&未知「「そうだそうだー!」」
八牧(ちび、喋れるようになったのか)
八牧「…これでは足りんか」
夏純「何が?」
八牧「チャンプルから面白い料理を教わった。優樹たちにも食わせてやろうと思ったんだが、おまえたちがいたら材料が足りん。買い足しに行かなきゃならん」
虎司「あ、じゃあ俺も行くぜ!」
夏純「あたしも!」
未知と呼ばれていた幼女「あたしも!」
八牧「勝手にしろ」
ノッシノッシ…
大田「…さて、ラハール王。ゲンさんが帰ってくるまで僕の相手をしてもらえないだろうか? 実はヴァルバトーゼ以外の悪魔とはほとんど交流したことが無くてね、少しわくわくしているんだ」
ラハール「ラハール『王』…?」パァァァ
優樹(あ。すごく嬉しそう)
ラハール「ふん、いいだろう。俺様も優樹の知り合いに興味がある」
優樹「ラハールくん、あまり失礼の無いようにね? 先生、君の倍以上の年齢だから」
ラハール「何っ!?」
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2019/11/10/22:30
人間界、とある刑務所の罪人面会室
赤川「久しぶりだな、山崎」
太一郎「はい……何のようですか、隊長」
赤川「……」
赤川「山崎、おまえ……あの世というものを信じるか?」
太一郎「は?」
赤川「魔界や悪魔の存在を信じるか?」
太一郎「何を言ってるんですか、隊長」
赤川「……」
スゥ…
見張り「ぐはっ!?」
太一郎「何だ!?」
フェンリッヒ「おまえが山崎太一郎だな?」
太一郎「誰だあんた、どこから現れた!?」
フェンリッヒ「騒ぐな。他の人間に見つかると面倒だ」
フェンリッヒ「俺の名はフェンリッヒ。暴君ヴァルバトーゼ閣下にお仕えする人狼……狼男だ」
太一郎「狼男? アヤカシか?」
赤川「違う。魔界に住む悪魔だ」
太一郎「は!?」
フェンリッヒ「閣下の指示で、この手紙をおまえに渡そう。本来ならおまえに宛てられたものではないが、これは閣下のご友人であるシームルグの意思でもある」
太一郎「大田が……誰からの手紙だ?」
赤川「片倉巡査部長のものだ。いや、今は二階級特進で片倉警部か」
太一郎「優樹さんの!? そんな、彼女は死んだんだ!」
フェンリッヒ「そうだ。彼女は死んで、魔界の住人となった」
赤川「鑑識に筆跡鑑定をしてもらったが、片倉警部の筆跡で間違いないそうだ」
太一郎「…!」
フェンリッヒ「早く受け取れ。渡すまで帰ってくるなと閣下に命じられている」
太一郎「……」…ハシッ
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2019/11/10/22:31
フェンリッヒ「受け取ったな。では、俺は帰らせてもらう」
シュンッ
太一郎「……」ピラッ
太一郎「……」
赤川「どうだ、山崎」
太一郎「…わかりません。俺、あの人の文字をよく見たこと無いので…」
太一郎「ただ…」
赤川「ただ、何だ?」
太一郎「大田に伝えてください。『山崎太一郎という生き物が、喜んでいた』と」
赤川「…ああ、わかった」
◆
ラハール魔界、魔王城
八牧「出来たぞ。クザクザ・ロ・グマだ」
優樹「ただのマグロの丸焼きにしか見えないんですけど」
八牧「包丁を刺したマグロをそのまま丸焼きにし、包丁で豪快に切り刻んで食べる料理だそうだ」
優樹「はぁ…」
夏純「ヤマさん、もっとドーンと焼こうよ! 生の部分あるじゃん」
八牧「それを楽しむのも、この料理の醍醐味だ」
虎司「俺は生でも焼き魚でも大歓迎だぜ!」
夏純「虎くんはそーだけどさー」
優樹「…晃、みっちゃん、取り分けてあげようか」
晃「自分でできますよ」
未知と呼ばれていた幼女「わたしはおねがいする」
優樹「ん。ちょっと待っててね」
エトナ「何かいいにおいがする――って、あー! なにあたし差し置いてうまそうなもの食べようとしてるのよ!」
優樹「あ、エトナちゃん。ハナコちゃんとの修行から帰ってきたんだ」
八牧「食いたいなら食え。まだまだある」
エトナ「おっしゃー!」
晃「…フロンさんに声かけてきます」
優樹「そうだね。仲間外れにしたら可愛そうだし」
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2019/11/10/22:32
ワイワイガヤガヤ
マンティ「まさかあの珍味、クザクザ・ロ・グマを食べられる日が来るとは……魔王城に残ってて良かった」
ゴレッグ「ですねー」
ガーゴ「タッパーに入れて、家族のお土産にしよう」
ゴース「冷めちゃうけどいいの?」
ゾンちゃん「あー、ほっぺが落ちそう」
ドラッチ「もうそげ落ちてるじゃない」
フロン「マグロにこんな食べ方があったなんて…」
エトナ「びっくりだよねー。おいしいからいいけど」
ハナコ「うんうん」
虎司「おい火蜥蜴、なに更に焼こうとしてんだ」
夏純「いいじゃん、自分の取り分なんだから」
八牧「やはり、もう少し研究が必要か」
未知と呼ばれていた幼女「わたしはとってもおいしいとおもうよ。やまきのくまさん」
優樹「……」
晃「姉さん、どうかしましたか?」
優樹「いや、なんていうか…」
優樹「死んで良かった、そう思ってる自分がいることに驚いてね…」
晃「そうですか。僕も、同じことを考えていましたよ」
優樹「……」
優樹「これも幸せ、なのかな…」ボソッ
ヴァルバトーゼ「おい」
優樹「ヴァルバトーゼさん、どうかしましたか?」
ヴァルバトーゼ「まとめたところで悪いが、あれ、止めなくていいのか」
優樹「…あ」
大田「――ということがあって僕とヴァルバトーゼは友達になったわけだよ。まあ、悪魔である君には少し理解しがたい内容だったかな? おっと、君は半分人間だったね。ということは僕の体験談も多少なりとも理解してくれるのかな? 僕としてはその方がありがたいのだが、やはり君は悪魔として生きているのだから難しいのかな? そうそうヴァルバトーゼと言えば吸血鬼なわけたが、実は人間界にも吸血鬼がいてだね――」ペラペラ
ラハール「」ゲッソリ
魔界幽鬼ディスガイア 完
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