ほむら「あなたをさらいに夜がくる」
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1
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
Lv.13
SHV41
09/13 22:28
夜の見滝原
ほむら「……………」
ほむら(今回の時間軸、今までの時間軸と比べて魔女の数が少ない)
ほむら(当然ストックできるグリーフシードの数も少なくなるわけで、このままじゃ今回もワルプルギスの夜を越えられない…)
ほむら(見滝原中学への登校は明日。今夜のうちに、一つでも多くのグリーフシードを集めないと――)
よまわりさん「……………」ぬっ
ほむら「何!?」
ガバッ
『魔法少女まどか☆マギカ』×『夜廻シリーズ』
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/08 22:24
――ドゴンッ!!
真シャルロッテ「ギャアアアアア!!?」ズドーン!
ほむら「え…?」
マミ「あ…!」
よまわりさん「…!」ズリッ ズリリッ
さやか「何!? あの心臓に手足が生えたみたいなやつ、新手の魔女!?」
QB「あれはよまわりさんだよ!」
さやか「え、あれが!? あれがよまわりさんのもう一つの姿!?」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫!?」
ほむら「え、ええ…」
ほむら(よまわりさんが、魔女を体当たりで吹っ飛ばした…)
ほむら(私は……助けられたの…?)
真シャルロッテ「〜ッ!」キッ
真シャルロッテ「ガアアアアアッ!!」
さやか「うわ、すごい雄叫び!」ビクッ
QB「ビリビリくるね」ビリビリ
よまわりさん「……」
よまわりさん「――!!」オォォォオオッ!!
真シャルロッテ「っ!?」ビクッ
さやか「あ、魔女が迫力負けした!?」
まどか「すごい……まるで――」
まどか「『夜の王様』…!」
推奨BGM「magia」
https://youtu.be/sj3fy3J5EHI
真シャルロッテ「――ジャッ!」ビュンッ
よまわりさん「!」ドシンドシン
さやか「真正面からぶつかるつもり!?」
真シャルロッテ「ガアッ!」ガブッ!
まどか「よまわりさんに噛みついた!」
よまわりさん「――!」ドシンドシン
ドゴンッ!
さやか「無視して柱に激突したー!?」
ドゴンッドゴンッドゴンッドゴンッ!!
真シャルロッテ「グギギガアガガガッ!?」
ほむら(柱が次々にへし折れていく……あれでは魔女もただではすまない!)
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33
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/08 22:25
マミ「暁美さん、大丈夫!?」タタタッ
ほむら「ええ……それより、魔女が」
よまわりさん「……………」ズッシリ
真シャルロッテ「グエエエ」ミシィ
マミ「頭を踏み潰されて、口が開かないようにされているわね」
ほむら「そうね。今のうちに、とどめを刺しましょう」ジャコン
まどか「よまわりさんを巻き込んじゃうよ!?」
マミ「鹿目さん、よまわりさんが魔女を倒した後に、私たちを攻撃してこないという保証は無いの」
マミ「残念だけど、万が一に備えてよまわりさんにも痛い目にあってもらうわ」
まどか「そんなぁ、助けてもらったのに…」
さやか「いや、結果的にそうなっただけかもしれないし」
QB「よまわりさんが正体も目的も不明である以上、仕方ないよ」
ほむら「じゃあ、いくわよ」カチリ
マミ「ええ。ティロ・フィナーレ!」ドンッ!
真シャルロッテ「!?」
よまわりさん「……………」
ボッガアアアアン!
QB「さやか、『やったか』って言ったらダメだからね」
さやか「何であたしに言うの!?」
シュウウ…
マミ「結界が消えた……暁美さん、グリーフシードは?」
ほむら「見つけたわ。魔女は倒せたようね」
まどか「…よまわりさんは?」
ほむら「…! あそこ!」
よまわりさん「……………」
さやか「あ、芋虫の方に戻ってる」
よまわりさん「……………」スゥ…
マミ「消えたわね。今回も見逃してくれるみたい」
マミ「さ。よまわりさんの気が変わらないうちに、私たちも家に帰りましょう」
さやか「あー……入院してる友達の安全を確認したいんですけど」
よまわりさん「」ガバッ
ほむマミQB「あっ」
まどか「さやかちゃああああん!?」
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34
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/14 22:15
翌日
ハル「ええ!? さやかお姉ちゃん、大丈夫だったの!?」
ほむら「ええ。しっかり廃工場から助け出したわ」ファサッ
ハル「よかったぁ…」ホ…
ほむら「それで、ハル。頼みたいことがあるのだけれど」
ハル「なに?」
ほむら「今日、上条恭介のお見舞いに行くの。一緒に来てもらえないかしら」
ハル「上条恭介?」
ほむら「クラスメートなの。事故にあって、入院しているわ」
ハル「もしかして、昨日まどかお姉ちゃんたちが会おうとした人?」
ほむら「ええ」
ハル「どうしてわたしも一緒がいいの?」
ほむら「…彼、事故のせいで手が動かなくなっているのよ」
ハル「!」
ほむら「隻腕のあなたなら、彼を励ますことができるかもしれない――そう思ったの」
ハル「…わかった。わたしも行く!」
ほむら「ありがとう」
ほむら(お菓子の魔女が巴マミではなく、まどかたちを狙ったのは予想外だった)
ほむら(これまでのことも踏まえて、私も積極的にイレギュラーな事態を引き起こすとしましょう)
ハル「でも……『せきわん』ってなに?」キョトン
ほむら「…片腕が無い、という意味よ」
ハル「じゃあ何でそう言わないの?」
ほむら「それは……そっちの方が文字が少なくてすむから?」
ハル「そうなんだ」
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35
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
SHV41
11/14 22:16
病院
さやか(さーて、今日こそちゃんとお見舞いして……って、おりょ?)
ほむら「……」スタスタ
ハル「……」トコトコ
さやか(転校生とハルちゃん?)
さやか(あっちは恭介の病室……まさか!?)
◆
ほむら「はじめまして、私は暁美ほむら。先日引っ越してきたの」
恭介「はじめまして。君のことはさやかから聞いてるよ。わざわざ挨拶に来てくれてありがとう」
ほむら「挨拶だけじゃないわ。あなたに会わせたい人がいるの」
恭介「え?」
ほむら「…ハル、入ってきて」
ハル「うん」スッ
恭介「…ッ!?」ビクッ
ハル「はじめまして、ハルっていいます」ニッコリ
恭介「あ……うん。はじめまして…」
さやか(やっぱしー!? 恭介とハルちゃんを会わせるとかなに考えてんのよー!!)コソッ
さやか(落ち着け! 落ち着けあたし! ここは病院、荒事はダメ!)スーハースーハー
ハル「ねえ、手、触ってもいい?」
さやか(ちょっとー!?)
恭介「う、うん」スッ
ハル「ありがとう」ソッ…
ピトッ
推奨BGM「深夜廻のBGM(正式タイトル不明)」
https://youtu.be/tqoUD4ayWME
ハル「…嫌だよね」
恭介「!」
ハル「諦めたくないよね…」
ハル「わたしも、できれば諦めたくなかったよ…」
恭介「……」
ポロッ
恭介「わっ!? ごめ…!」
ハル「いいんだよ。泣いても」
ハル「泣くって、悪いことじゃないよ」
恭介「…!」
ポロッポロポロッ
恭介「くふっ……うぅ…!」
ほむら「……」
さやか(恭介…)
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36
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/15 22:07
恭介「……ごめん。もう大丈夫」グスッ
ほむら「謝る必要は無いわ」
ハル「そうだよ」
恭介「…あのさ、実は僕、お医者さんに言われちゃったんだ。『現代の医学でその腕は治らない。諦めた方がいい』って」
さやか(!!)
恭介「…ハルちゃんは、どうして左腕を諦めたの?」
ハル「…わたしの友達を助けるには、これしかなかったから」
ほむら(…え? この前は、『左腕と一緒に友達を失った』って…)
ハル「言っても信じてもらえないかもしれないけど、言うね」
ハル「わたしが前に住んでいた田舎の山には、大きな蜘蛛みたいなおばけが住んでいた」
ハル「わたしの友達――ユイはそいつに殺されて、それだけじゃなくて、そいつはユイを使ってわたしまで殺そうとした」
ハル「それが、あいつにとっての『遊び』だったから」
ハル「わたしは、このハサミであいつの糸を切って、あいつを穴の底に落とした。そしたらあいつは、今度はわたしを糸で捕まえて、ユイを操ってわたしを殺そうとした」
ハル「糸はわたしの左腕に巻き付いていた。もう――」
ハル「ユイとわたしが助かる方法は、『わたしの左腕ごと、ユイとわたしの縁を切る』しかなかった…」
ハル「だから、コトワリさまに――」
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37
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/15 22:09
カバッ
ハル「ほむらお姉ちゃん…!?」
ほむら「あなたの気持ち……痛いほどよくわかる…!」グスッ ヒグッ
ほむら「辛かったよね…! ずっと一緒にいたかったよね…!」
ハル「……………」
ハル「……………うん」ジワァ
恭介「……………」
恭介(何を言っているのか、よくわからなかったけど)
恭介(この涙は、嘘なんかじゃない…)
コォオ…
恭介「…あれ。ハルちゃん、何か光ってるよ?」
ハル「え? あれ、またハサミが…」
◆
屋上
さやか「はぁっ、はぁっ!」
QB「やあさやか、来たんだね」
さやか「すぅ、はぁ……うん、願い事、決まったよ」
QB「そうかい。じゃあ契約をしよう。君の願いは?」
・・・・
さやか「あんな恭介を見るのはもう嫌だ! キュゥべえ、恭介の手を――」
ジョキン
QB「きゅっぷい」
さやか「え?」
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38
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/15 22:10
QB「」グチャア…
さやか「うそ……なん、で…?」
ユラッ
さやか「あ!?」
コトワリさま「……………」
さやか(口のある赤黒い球体、大きなハサミ……あれがコトワリさま!?)
さやか「あ、あんた! なんてことを…!」
コトワリさま「……………」スゥ…
さやか「消えた!?」
QB(2体目)「ああ、びっくりした」ヒョッコリ
さやか「えーーー!!?」
QB「あれがコトワリさまか。もったいないことをしてくれる」
モグモグ
QB「きゅっぷい」
さやか「共食いしたぁーーー!!?」
QB「しかし、対策を練る必要があるな。今のでさやかの魔法少女としての因果が断ち切られてしまった」
さやか「えっ…?」
QB「コトワリさまを、よまわりさん以上の脅威として認識しよう。調査開始だ」ピョン
さやか「あっ、待っ…!」
タタタッ…
さやか「…!」
さやか「あたしの魔法少女としての因果が断ち切られたって…」
さやか「もう、願いは叶えられないって、ことだよね…?」
ガチャ
恭介「あれ、さやか? 今日も来てくれたの?」車椅子 < カラカラ
さやか「ひう!?」ビクッ
さやか「恭介……に、転校生にハルちゃん…! 何で…」
ほむら「空気が吸いたいって言うから連れてきたのよ」
さやか「……………」
ポロポロポロ
恭介「ええっ!? 今度はさやかが泣いた!?」
ハル「どうしたのさやかお姉ちゃん!? どこか痛いの!?」
さやか「ごめん恭介! 助けてあげられなくて! ごめん、ごめんね…!」グスッ ヒグッ
恭介「え、ええ…?」
ほむら(まさか…)
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39
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灰色ねこ◇4aH6a11ZwA
SHV41
11/15 22:12
ほむら(上条恭介は病室に帰してきたわ)
ハル「ええっ!? コトワリさまに、魔法少女になれなくされた!?」
さやか「うん…」グスッ
ほむら「その割には、ハルと違って五体満足のようだけれど」
さやか「あいつ、あたしじゃなくてキュゥべえを切ったんだよ…」
ハル「キュゥべえを!?」
ほむら「ハル、驚かないで。あいつ、残機無限で不死身だから」
ハル「ええっ!?」
ほむら「でも、どうしてコトワリさまはキュゥべえを切ったのかしら?」
ハル「コトワリさまは、本当なら縁を切る時に、手と足と頭のあるものを願い事をした人の代わりに切るの」
ほむら「つまり、コトワリさまはキュゥべえを対価と判断したわけね」
さやか「あたしはコトワリさまに願ってなんかいないのに…」
ハル「…さやかお姉ちゃん、もしかして、『もういやだ』って言った?」
さやか「え?」
さやか『あんな恭介を見るのはもう嫌だ!』
さやか「言った……うん」
ハル「やっぱり…」
ほむら「やっぱり?」
ハル「『もういやだ』は、コトワリさまにとって『助けて』っていう意味なんだよ」
ハル「わたしが住んでいた町でなら、どこで『もういやだ』と言ってもコトワリさまは来たけど……たぶん、今はこのハサミが光ってる時に『もういやだ』って言うと、コトワリさまが来るんだと思う」
ハル「そして、コトワリさまは、さやかお姉ちゃんが魔法少女になることが、一番切らなくちゃいけない悪い縁だと思ったんだ」
ほむら(だとしたら大正解ね)
さやか「そんなことあるわけない! せっかく恭介の手を治せるチャンスだったのに、コトワリさまはそれを台無しにした!」
さやか「あたしは、コトワリさまを絶対に許さない…!」
ハル「さやかお姉ちゃん…」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
11/15 22:14
風見野市
「おやおや、誰かと思えばキュゥべえではありませんか」
「久し振りですねぇ。確か最後に会ったのは半年前でしたっけ?」
QB「正確には、半年と二十日前だね」
「そうですかそうですか。しかし、今さら私に何の用で?」
QB「…そろそろ、魔女を操るだけでは物足りなくなってきたんじゃないかと思ってね」
QB「優木沙々――神様を操ってみないかい?」
沙々「ほほう…?」
◆
ちなみにその頃、箱の魔女は
よまわりさん「……」ドシーンドシーン
エリー「ギャアアアアアッ!!!!」グシャアアアッ
仁美「ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ! 恐ろしい、恐ろしいですわぁああああ!!!」ガタガタ
まどか「落ち着いて仁美ちゃん! よまわりさんは私たちを助けてくれてるんだよ! きっと! たぶん!」
よまわりさんに念入りに踏み潰されていた。
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41
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
12/06 22:08
翌日
まどか「ええっ!? さやかちゃんがコトワリさまに『魔法少女になるための縁』を切られた!?」
ほむら「ええ」
マミ「私が鹿目さんたちを助けるために廃工場に行ってるあいだに、そんなことが…」
ほむら「…鹿目まどか、よまわりさんに捕まったの?」
まどか「うん……あのね、仁美ちゃんが魔女に操られちゃって、一緒についていったの。それで」
ほむら(箱の魔女のことね…)
まどか「またよまわりさんに助けてもらっちゃった」ティヒヒ
ほむら(そしてよまわりさんが箱の魔女を倒して、自分の縄張りにまどかとワカメを連れていったと)
ほむら(…そう言えばあのワカメ、名前なんていうのかしら)
マミ「鹿目さん、連絡先を教えるのを忘れた私にも非はあるけど、よまわりさんは『危険な存在』よ。もう少し危機感を持ってちょうだい」
まどか「ご、ごめんなさい」ペコッ
ほむら「…それで、美樹さやかのことなのだけれど」
まどか「うん、どうしよう…」
マミ「……………」
マミ「暁美さん、美樹さんは、『コトワリさまを絶対に許さない』と言ったのよね?」
ほむら「ええ、言ったわ」
マミ「ハルちゃんが言っていたわよね、コトワリさまは神様だって」
まどか「はい、言ってました」
マミ「二人とも、今日の放課後、私の家に来てもらえるかしら」
ほむら「別にかまわないわ」
まどか「いいですけど、さやかちゃんは?」
マミ「もちろん、連れてきて」
◆
数時間後、佐倉家
モモ「お姉ちゃーん、マミさんから電話ー!」
杏子「え?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
12/06 22:09
杏子「あたしが魔法少女になった時のことを話す?」
マミ『ええ、手伝ってほしいの』
杏子「…嫌だ。言いたくない」
マミ『…お願い。あなたと同じ轍を踏みそうな子がいるの』
マミ『コトワリさま――神様に強い怒りを抱いてる』
杏子「…っ!」ビクッ
杏子「――わかった。行くよ」
マミ『ありがとう。それじゃあ、ね』
杏子「ん」ピッ
モモ「お姉ちゃーん」
杏子「今度は何だ?」
モモ「お友達が来てるよー」
◆
杏子「優木沙々が見滝原に向かった?」
モブ魔法少女A「そうみたいなんだよ」
杏子「あの野郎……最近大人しくしてると思ったら、また悪巧みしてやがるな?」スクッ
モブ魔法少女K「行くの?」
杏子「ああ。マミのやつ、まだあたしのこと気にしてるみたいだからな。その隙を突かれてコロッと操られるかもしれねー」
杏子「…おまえら、一応言っておくけど、あたしがいないあいだに――」
モブ魔法少女A「何もしないって」
モブ魔法少女K「おばけとかよまわりさんとか、杏子ちゃんには何度もお世話になったからね」
杏子「…そっか。疑って悪かった」
杏子「じゃあ、行ってくる」
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43
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
12/06 22:10
日本。それは、八百万の神々と千万の悪鬼が住まうお伽の国。
ありとあらゆるモノに神が宿り、住まい、人々と常に共にあった。
人々が神を信じた理由。それは一重に、人が自然現象を、不可解なモノを恐れたからである。故に、神とモノノケの起源は同じであった。
だが、文明の発達によって、人々は「わからないもの」を無くしていき、
神も、モノノケも恐れなくなり、信じなくなった。
居場所を失ったモノたちは、こう思った。
「さびしい」――と。
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44
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
12/19 22:10
まどか「さやかちゃん、マミさんがみんなに集まってほしいって言ってるよ」
さやか「…ごめんまどか、しばらく一人にして」
まどか「じゃ、じゃあさあ、昨日の仁美ちゃんのことを教えてあげるから。それだけでも聞いて!」
さやか「それなら…」
まどか「…ワカメの呼吸」ボソッ
さやか「えっ」
まどか「13(ひとみ)の型」スウッ
さやか「ちょ、ちょっと? まどかさん!?」
まどか「"腹パン"!!」(マ)ドカァ!
さやか「おぎゅーーー!!?」
ドサッ
まどか「ごめんね、さやかちゃん」
ほむら(さすがまどか、やる時はやるわ…)
仁美「あの、まどかさん? 私、本当にそのようなことをしたのですか?」ピクピク
まどか「うん」
ほむら(箱の魔女の趣味ね)
まどか「じゃあほむらちゃん、さやかちゃんを運ぶのを、手伝ってくれる?」
ほむら「任せなさい」ファサッ
中沢(き、貴重な男キャラとしての立場が…)ピクピク
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45
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
12/21 22:28
マミホーム
ハル「お姉ちゃんたち、遅いね」
マミ「佐倉さんはとなり町に住んでるし、鹿目さんたちはおそらく、美樹さんのことで手間取ってるんでしょうね」
ハル「……」
マミ「…ねえ、ハルちゃん。みんなが来る前に、一つだけ確認してもいいかしら」
ハル「え?」
マミ「コトワリさまは、悪い神様じゃない。そうなのよね?」
ハル「うん」コクッ
マミ「…わかった。じゃあ、私もコトワリさまを信じる」
マミ「神様に必要なのは、信じる心だもの」ニコ
ハル「ありがとう。コトワリさまも、きっと喜ぶと思う」ニッコリ
ガチャ
杏子「おーす、邪魔するぜマミー」
マミ「いらっしゃ(ry」
まどほむ「「お邪魔しまーす」」ワッセワッセ
さやか「」ブラーン
マミ「えー!? 何事ー!!」
まどか「一人になりたいと言うので強行手段に出ました」キッパリ
マミ「あなた、意外とアグレッシブなのね!?」
ハル(まどかお姉ちゃんって、私に似てるかも…)
ハル「あれ? 今日は中沢お兄ちゃんはいないの?」
ほむら「ええ」
まどか「さやかちゃん、もう起きていいよー」ユサユサ
さやか「う、うーん……雪国まいたけ……はっ!?」
マミ「美樹さん、大丈夫?」
さやか「マミさん…」
マミ「ごめんなさいね。今は、一人になりたいでしょうけど、これは本当に聞いてほしい話なの」
さやか「…話ってなんですか?」
杏子「あたしが魔法少女になった夜の話だよ」
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46
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/01 08:56
あれは、あたしがまだ小学生だった頃のこと。
杏子『ただいまー!』
シーン…
杏子『…あれ?』
杏子『親父? 母さん? モモ?』キョロキョロ
杏子『出掛けてるのかな…?』
だけど、真夜中になっても誰も帰ってこない。それで、電話をかけようとしたら。
『■■■■■■■■■■ッ!!』
杏子『ッ!?』
声とも呼吸音ともつかない音が聞こえてきた。
前にも言った通り、あたしには霊感がある。これが普通じゃないってすぐにわかった。何かが起きたんだって。
杏子『探さなきゃ…!』
そこから先はもうさんざんだったよ。懐中電灯を点けた途端になんかでかい毛むくじゃらにおいかけられたと思ったら、街中おばけだらけになってたんだ。
あたしにはまだ、親父みたいに祓う力は無かった。だから逃げるしか無かった。
逃げて、逃げて逃げて逃げて――
よまわりさん『……』ガバッ
杏子『わ…!?』
よまわりさんに捕まった。
そして、廃工場から脱出しようとしてる時に、マミとキュゥべえに出会ったんだ。
QB『僕と契約して、魔法少女になってよ!』
魔法少女について手短に説明してもらって、ソウルジェムが魔法少女の魂だってことにひと悶着あったけど。
こうしてる間にも、あたしの家族は怖い思いをしている。だがら、
杏子『家族を助ける力が欲しい!』
あたしは、魔法少女になることを選んだんだ。
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47
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/01 08:56
マミと協力して、廃工場から脱出した後、よまわりさんがあたしたちの前に現れた。
今度はよまわりさんは、あたしたちをさらうこと無く、すぐに姿を消した。残ったのは一枚の紙切れ。
クレヨンで書かれた何処かの風景と、『たすけて』の文字。モモの字だった。
マミ『これ、もしかして…』
杏子『知ってるのか!?』
マミの案内でやってきたのは、見滝原市にできたばかりのデパートだった。
最上階に行くと、そこにはあたしの家族と、
『■■■■■■■■ッ!!』
身の毛もよだつ化け物がいた。
杏子『てめえが……てめえがあたしの家族を!』
でもあたしは怖くはなかった。マミがいたし、何より、家族を助けないと、それしか頭になかった。
だけど、
杏子『ッ!?』ハッ
マミ『佐倉さん、どうしたの!?』
戦ってる最中に気づいたんだ。
杏子『こいつ、魔女でもおばけでもねえ! こいつは』
見滝原の土地神だった。
QB『そう言えば、このデパートは元々、ここにあった神社を取り壊して建てられたものだったね』
信仰を失い、居場所まで奪われた神の怒りと悲しみ。状況を理解してしまったあたしに、土地神の思いが押し寄せてきた。
『嫌だ、嫌だ、嫌だ。消えたくない、消えたくない、消えたくない』
『どうしてこんな目にあわねばならない。土地を豊かにしてほしいと願ったのではなかったのか。土地を潤してほしいと望んだのではなかったのか』
『そのためにこの地に迎え入れたのでなかったのか』
『願いをかなえたではないか。望みをかなえたではないか』
『これからもずっとおまえたちと寄り添い、共にあり続けると思っていたのに』
『願いがかなったから、望みがかなったから、捨てるのか』
杏子『…!』
やっぱりというか、この世のものの声じゃなかった。聞いてるだけで何処かに針が刺さったかのような感覚に襲われる。
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48
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/01 08:57
忘れられて、孤独になって、必要とされなくなって。
土地神は、信心深いあたしの家族に助けを求めた。それが真相。
でもそれは、あたしの家族を生け贄にするということ。
それを避けるにはどうすればいい。あたしは考えた。
そして、
杏子『神様!』
杏子『あなたをうちの神社で、うちの神様と一緒に祀ります! だから、あたしの家族を返してください!』
杏子『頼みます…! この通りですから…!』
自然と頭が下がって、土下座してた。
『…………………………』
『…忘れるな。忘れてはならない』
『神は。神だけではない。人ならざるものは、常に人のそばにいる』
『忘れるな、忘れるな、忘れるな…』
ズキッ
杏子『あぐっ!?』
マミ『佐倉さん!』
◆
杏子「神様は鎮まり、あたしの家族は無事に帰ってきた」
杏子「でも神様は、あたしが忘れないように、あたしの視界を、常に夜と同じにした」
ほむら「それって、どういうこと?」
杏子「見えるんだよ。いろんなものが。朝でも夜でも関係なく」
杏子「視界を真夜中の世界に持っていかれた。おかけで人がまともに見えないんだ」
杏子「まどかにさやか、そしてほむらにハル。あたしは、おまえたちがそこにいることはわかるけど、どんな顔で、どんな髪型で、どんな格好してるか、全然わかんねえんだよ」
まどか「そんな……じゃあ、せっかく助けた家族のことも、よく見えないの?」
杏子「ああ…」
まどか「酷い…」
杏子「ああ、酷いよ」
マミ「……」
ほむら(それが、この時間軸で佐倉杏子が払った代償)
ほむら(他の時間軸では、家族が死んでいたから佐倉杏子は家族に会うことができない。この時間軸では、家族が生きているけど、もう見ることができない)
ほむら(どちらにせよ、生き地獄)
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49
]
灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/01 09:00
さやか「何で…」
さやか「何でだよ! 何で落ち着いてるんだよ!」
さやか「家族をさらって、生け贄なんかにしようとしたんだろ!? 倒せばよかったのに!」
杏子「そんなことしたら、祟りで見滝原が滅びるぞ。土地神を失った土地は必ずそうなる」
杏子「…あのな、100%人間に都合のいい神様なんていないんだよ。少なくともこの国には」
杏子「日本の神様には、和と荒という二面性がある。和は人間に対して優しい性格。雨や日光の恵みとか、神様の優しくて平和的な部分」
杏子「荒は神様の怒りで、人の心を荒廃させて争いへ駆り立てる神様の働き」
杏子「だけど、荒の性格が悪いわけじゃない。むしろ荒こそが神様の本当の力。荒を祀る事で、悪い面から人々を守る事に繋がるんだ」
杏子「人に御利益をもたらすだけが神様じゃない。人間に災禍をもたらす荒魂の側面もあって、むしろそっちの方が本質的で重要なんだ。その二面性を理解しないで『こいつは邪悪だ』と決め付けるのは間違いなんだよ」
杏子「神様は――」
ハル「祈りを捧げる人間が、何を考えているかによって変わる」
まどか「ハルちゃん?」
杏子「やっぱり、コトワリさまもそうだったんだな?」
ハル「うん」
ハル「コトワリさまの神社はゴミだらけで、ときどき歪んだお願いをされるだけの存在になってた」
『暴力を振るう彼と別れたい。そして不幸になりますように。もういやだ』
『父親との縁が切れますように。そして2度と顔を合わせたくない。もういやだ』
『あいつがいなくなりますように。死ね死ね死ね死ね死ね死ね。もういやだ』
ハル「かわいそう。こんな扱いをされたら、わたしだってうんざりする。そう思った」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/19 22:12
杏子「そっか…」
杏子「つーことで、さやか。コトワリさまを憎むのはおまえの勝手だ」
杏子「でも、復讐しようなんて考えるんじゃねえぞ。コトワリさまだって被害者なんだ。それに」
杏子「あたしやハルみたいには、なりたくないだろ?」
さやか「…!」
さやか「何だよ。唐突な過去語りが始まったかと思えば、遠回しにあたしを否定するわけ?」
杏子「そうじゃない。あたしだって、神様に不満はある」
杏子「だけど、相手は腐っても神様なんだ。魔女やおばけよりも、ずっと危険なんだよ。もうちょい落ち着いて対処してくれ」
さやか「……」
さやか「話は終わり? あたし、帰らせてもらいます」
ハル「ちょっと待って!」
さやか「ハルちゃん?」
ハル「みんなに聞きたいことがあるの」
マミ「聞きたいこと?」
ハル「ワルプルギスの夜って、知ってる?」
まどさや「?」キョトン
ほむマミ杏子「( ゚д゚)」
杏子「ワルプルギスの夜!? その名前、どこで聞いた!?」
ハル「病院で魔女が出たあの日、マミお姉ちゃんに言われて帰る途中でよまわりさんに会ったの」
ハル「その時によまわりさんが落とした紙に書いてあったの。ワルプルギスの夜って」
マミ「その紙、今も持ってる?」
ハル「うん。ほら」スッ
杏子「ちょっと貸してくれ!」
杏子「…確かに、ワルプルギスの夜って書いてあるな」
さやか「ねえ、そのワルプルギスの夜ってなんなの?」
マミ「最強最悪の伝説の魔女のことよ。ずっと昔から存在してるっていわれているわ」
さやか「うへぇ……マジですか」
まどか「でも、どうしてよまわりさんは、その名前が書かれた紙をハルちゃんの前に置いていったのかな?」
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灰色ねこ◆4aH6a11ZwA
SHV41
01/24 22:12
ほむら「…ねえ、鹿目まどか。私が以前、言ったことを覚えているかしら」
まどか「え…?」
ほむら「あなたをさらいに夜が来る」
まどか「あ……病院での魔女の時に…」
さやか「あたしも聞いた!」
ほむら「あれは、ワルプルギスの夜のことなの。私は、やつを倒すためにここへ来た」
まどか「え。それってつまり――」
マミ「ワルプルギスの夜が、見滝原に現れるってこと!?」
ほむら「ええ」ファサッ
ほむら「『夜の恐怖から子供を守る』というキュゥべえの推測が正しいのなら、よまわりさんはそのことを伝えたかったと考えるのが妥当だと思うわ」
ハル「でも、どうしてそれを私に伝えたの?」
杏子「そりゃあ、この中じゃおまえが一番夜側だからだろ。神様に左腕ぶった斬られる程の恐ろしい夜を乗り越えて、こうして生き延びてるんだからさ」
ハル「……」
さやか「ちょっとあんた! はっきり言い過ぎでしょ!」
杏子「おまえに言われたくねえ」
杏子「で? ほむら、おまえの予測だと、ワルプルギスの夜はいつ見滝原に現れるんだ?」
ほむら「2週間後」
杏子「そうか……こりゃ、ますます沙々のやつを放っておくわけにはいかないな」
まどか「沙々?」
杏子「優木沙々。風見野の魔法少女なんだけど、見滝原に向かったらしい」
杏子「劣等感の強いやつでな、今まで何度かトラブルを起こしてるんだ」
マミ「どんな魔法を使うの?」
杏子「洗脳。魔女を操ったりできる」
ほむら(初めて聞く名前ね。覚えておきましょう)
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ほむら「……………」
ほむら(今回の時間軸、今までの時間軸と比べて魔女の数が少ない)
ほむら(当然ストックできるグリーフシードの数も少なくなるわけで、このままじゃ今回もワルプルギスの夜を越えられない…)
ほむら(見滝原中学への登校は明日。今夜のうちに、一つでも多くのグリーフシードを集めないと――)
よまわりさん「……………」ぬっ
ほむら「何!?」
ガバッ
『魔法少女まどか☆マギカ』×『夜廻シリーズ』