ガンプラビルドガールズ
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プラネテューヌ親衛隊
2016/09/04/18:14
七森中在校生赤座あかりはいつも通りの日常を過ごしていた。
二年生に上がり三年生が受験勉強に勤しんでいる季節。
ひょんな事から幼馴染みの歳納京子が部室にガンダムのプラモデルーーーガンプラを持ってきてーーー。
この物語はガンプラファイトを通じて成長する少女の物語である。
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2017/06/20/15:32
リングの崩壊と同時に武器のエネルギーが戻るのを感じた。
『リングを破壊したところで!』
キメラガンダムがタイタスに砲身を向けようとするが、弾丸が発射される前に爆発してしまう。
『なっ!』
「へへ、直撃ッと」
攻撃が被弾したのを確認してうまるが笑う。砲身が爆発したのは、彼女が迫撃砲で撃ち抜いたからだ。
「そんじゃ、反撃と行きますか!」
「結衣。わたしらも!」
「うん」
うまる。京子。結衣が仕掛けた。バルバトス。シルヴァ・バレト。デスサイズの攻撃でキメラガンダムの耐久値が削られていく。
「わたし達も先輩達に続くよ!」
「わかりましたわ!」
「オッケー! いくよ!」
そこにちなつ。向日葵。櫻子の援護も加わってより攻撃の激しさが増す。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/21/19:30
『グゥ……貴様らっ!』
大きな損傷を受けたキメラガンダムはガンダムヘッドを呼び寄せる。
「千歳。こいつらを片付けるわよ!」
「はーい」
「真依ちゃん。ボク達も」
「ハイッす!」
綾乃。千歳。ユウキ。真依がガンダムヘッドを次々と打ち倒していく。
『ぐ、ううう……こ、こんな筈では……わ、私はガンプラファイトを破壊する為に生み出されたのだ。こんなところで終われないっ!!!!!!』
自分の思うように戦えず焦り出すキメラガンダム。その身体の至るところから煙が巻き上げ悲鳴を上げていた。
それでも自分の生み出された目的を果たそうと抵抗を続けた。
更にガンダムヘッドを呼んで襲わせる。
「そろそろ終わらせようか!」
シルヴァ・バレトがアームを伸ばしてガンダムヘッドを両断していく。
「ここは私達がやるから」
「二人はあいつにとどめを!」
キュベレイとデスサイズヘルの同時攻撃でガンダムヘッドの大群が薙ぎ倒される。
「ありがとう皆。あおいちゃん!」
「……うん。私も力を貸す」
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2017/06/22/19:44
二人はトランザムを発動させた。
右手に持ったGNソードを空へと掲げる。その手にリボーンズガンダムの左手が重なった。二機が刀身にGN粒子を収束させていく。
粒子で形成された特大な剣が空へ伸びる。トランザムライザーソード。ダブルオーライザー最大の武器だ。
『っ!? あれを受けてはまずいっ!』
本能で危険を察知したキメラガンダムは、最後の抵抗でガンダムヘッドを二機の近くへと呼び出す。
「おりゃああああっ!!!!!!!」
地を蹴り。リミッターを解除したバルバトスが即座にガンダムヘッドを葬る。一瞬の出来事にキメラガンダムは言葉が出なかった。
「二人とも、トドメよろしく!」
うまるがウィンクしながら言う。二人は短く首肯するとその手に握られた巨大な剣を振り下ろす。
「「いっけぇええええええええ!!!!!!」」
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2017/06/23/19:26
『ぐおおおおおおおおっつつつ!!!!!!』
頭から真っ二つに斬り裂かれ、キメラガンダムは断末魔を上げる。
斬り裂かれた瞬間。傷口からDG粒子が血のように噴き出した。
「見て、崩れていくよ」
櫻子が言う。
形を留めておくことが出来なくなったキメラガンダムは音を立てて崩壊していく。
DG粒子が溶けるように消えていき、後に残されたのはボロボロになったターンXだった。
「……終わったの?」
「もちろん。わたしらが勝利のハッピーエンドルートだっ!」
地面に転がるターンXの残骸を見て綾乃は首を傾げた。
応えるように京子は右手を突き上げた。それを聞いて仲間達の喜びの声が広がっていく。
「ああ。終わったんだ……変な展開になって一時はどうなるかと思ってたけど。無事に解決して良かった……めでたしめでたしだね」
「ううん。終わりじゃないよ」
うまるの言葉をあかりが否定した。
「え? どういうこと、まだ何かあるの?」
「もちろんだよ。ね、あおいちゃん」
「……うん」
あおいは口の端を少し上げて頷いた。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/24/19:22
◇
「俺の野望は呆気なく終わったもんだな……」
DG粒子から解放されたギムは救出されていた。今は壁に背もたれて気だるそうに座っている。
「自分が作った物に操られるなんて、変な物を作らないでくださいよ」
「……全くだ」
あかねに返す言葉がない。ギムでさえ、DG粒子に自我が芽生えていたのは知らなかったのだから。
「ギムさん」
あおばが名を呟く。ギムがゆっくりと顔をあげた。
「あなたが父がかつて話していた部下だったなんて、思いもよりませんでした……」
「俺の話を奴から聞いていたのか?」
あおばは首を縦に振った。
「父は言っていました。優秀な部下がいたと……」
「ふん。何が優秀な部下だ……俺のシステムを認めなかった癖に……」
「いいえ、父は認めていましたよ」
「嘘だ。なら何故俺を解雇したんだ!」
あおばが適当なことを言っていると思い、ギムが彼女に向けて怒鳴りつける。
が、あおばは微動だにせず話を続けた。
「時期が来たら、あなたを連れ戻すつもりだったんですよ」
「……なんだと」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/25/07:49
ギムが目を見開いた。社長が自分を引き戻そうとしていた等とは驚きだが、到底信じられなかった。
「ねえ、どういうことなの?」
混乱しているギムに代わってあかねが質問すると、あおばは横目で視線を寄越して口を開いた。
「彼のアイディアは素晴らしかったけど。そのまま採用すると問題が発生すると判断した父は改良して世に出そうとしたの。でも、当時の技術じゃ実現出来なくてね」
「う、うそだ。そんな話聞いてないぞ……!」
「あの時のあなたは自分のシステムが採用されないことに苛立って周りが見えてなかったのよ。父が何度も説明したのに全く聞く耳持たなかったから、頭を冷やす為に会社から遠ざけたのよ」
「あおばはこう言ってますけど?」
「……」
ギムの額から油汗が流れ出てくる。
当時社長に何かを言われていたが全く聞いていなかった……もしや、それが件の話だったのではと今更気づく。
「どうやら、心当たりがあるようですね」
「……はは。滑稽だな俺は、全て勘違いだったなんてな」
「全くですよ。こんな事を起こすなんて……反省してください」
あかねが弱くギムの頭を小突いた。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/26/15:41
ギムは何も反応せず顔をうつ向かせているだけ。
「ギムさん。父は……あなたに連絡を何度も入れたそうですが、繋がらなかったそうです。番号変えたんですか?」
「ああ……連絡されるのが嫌だったからな」
「……変えてなければこんな事にはならなかったのに、頃合いが来たから社長はあなたを連れ戻そうと決心したんです」
「そう、なのか……」
「はい。あなたの理想が漸く実現出来るようになってきたので、あなたの力を貸して欲しいと」
「なっ! それは本当か!?」
「ええ、VRという最近の技術を使えばね」
VR。それはあかり達が言った最新技術と同じだった。
「ふふ……」
あおばの話を聞いて笑いが込み上げてきた。
あかねが首を傾げる。
「どうしたんです?」
「いや、あかり達も……お前の妹達も同じ事を言っていた。VRとか言うものを取り入れればよりガンプラファイトが楽しくなるとな」
「あかり達が……」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/26/19:20
あおばと顔を見合わせる。
すると、あおばはくすりと微笑んだ。
「はは、あの子達らしいわね。楽しいって発想だけでその考えに行き着くのだから」
「そうね。実現したらきっと喜ぶわよ」
新たなガンプラファイトを楽しむ妹の姿を想像する。
あかりには、自分のように挫折しないでずっと楽しんでいてほしいと、あかねは願いながらあおばに言った。
「……未来の事はお前達に任せて、俺は罪を償うとしよう」
ゆっくりとギムは立ち上がった。かつての二人の弟子は彼を見上げる。
「あかね。あおば、師匠だった者の最後の願いだ……俺の考えたシステムをより良い方向に改良してもらえないか?」
「無論そのつもりですよ。あなたがやろうとした事は私達が引き継ぎます。ですから、ちゃんと罪を償って出てきたらーーーまた父と一緒に働いて貰えませんか?」
「ふ、考えておくさ……」
ギムは穏やかに笑う。その笑みは憑き物全て流れ落ちたようだった。
ギムは視線をあおばからあかねに向けて口を開く。
「あかね。最後にあかりに会ってもいいか。奴には謝罪と礼を言いたいのだが」
「ええ、もちろん。行きましょう」
ギムは「ありがとう」と言った。
それから三人でAブロック会場へ歩いていく。
◇
「えっと、これは……」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/26/20:36
Aブロック会場に着くなりあかねは驚いた様子で声を上げる。
理由は単純。シュミレーターの周辺に数人の人だかりが出来ていた。よく見ればその人だかりが京子や結衣。お馴染みのメンバーだという事がわかる。
「皆で何をやってるのかしら? 近寄ってみましょう」
「ええ」
あおばを先頭に近寄ると盛大な声が会場内へ響いてきた。
『おーっと凄い! ここまで両者全くの互角だあっ!』
それは大会のMCを勤めていた女性だった。
「え、あなた……何をしてるの?」
あかねの疑問の声にMCが目をぱちくりとさせて振り向くと、こめかみを掻いて口を開く。
「え、あ……他にも人がいたんですか、ええっとですね。突然わけわかんない事態に陥って物陰に隠れてて、それで逃げるの忘れちゃってたんですよ」
「逃げ忘れたって……じゃあ、あなたはずっとここにいたの?」
あおばに質問されるとMCは苦笑いを見せながら頷く。
「ええ、そしたらあの子達が正体不明のガンプラと戦い始めて……」
「操られていたギムさんが使ってたガンプラね……」
あおばがジト目を向けるとギムは顔を背けた。
「一部始終を見てたら、私より若い子達が頑張ってるのに大人の私が隠れてるのは恥ずかしいなって思えてきて、それで戦いが終わったら二人の女の子が決着をつけると言い出したので、私が出てきて実況を申し出たんですよ」
「そうだったの。その二人って言うのはやっぱり……」
MCの話を聞いてバトルフィールドに飛び交う二体のガンプラを見て、あかねは口角をあげた。
◇
宇宙空間。そこには二人以外の誰も居なく邪魔をする相手はいない。決着をつけるのに絶好の場所だ。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/27/04:51
「この戦いで決着を着けようね!」
「……うん」
「ねえ、あかりとの戦いで楽しいって感じてくれた?」
「……まだ」
「あはは、そうなんだ……」
会話をしながら、ぶつかり合うダブルオーライザーとリボーンズガンダム。今のところ両者は互角だ。
「いっけぇえええ! あかりちゃん!」
「あおいも頑張って!」
応援するちなつとユウキの声。二人以外の皆もこの戦いを見守ってくれている。
「皆応援してくれてるね」
「……それは嬉しい」
「そうだね」
高速で相手の懐に入り。GNソードを振り下ろすがシールドで弾かれる。
すかさず右手に持つGNバスターライフルで反撃するが、ダブルオーライザーは即座に反応してその攻撃を回避した。
「……あかり。私が望むのはこんな戦いじゃない」
「うん。そろそろ始めよう。さっきの戦いの続きをーーー」
あかりはモニター画面のsafetyにタッチする。
リミッターが解除されてダブルオーライザーが赤く輝き出す。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/27/20:34
リボーンズガンダムも赤く輝き出した。
「行くよっ!」
先にあかりが仕掛ける。セーフティーを外したダブルオーライザーの速度はトランザムで出せる最高速度を遥かに越えていた。
「うわっ! 速いっ!」
尋常じゃないダブルオーライザーの速度に櫻子は目を見開いた。
「たあああああっ!」
「……」
射程距離に入り二本のGNソードで連続で攻撃する。その全てをあおいは無駄のない動きで回避した。
「はあ! やあ! たあっ!」
何度も攻撃を仕掛けるもリボーンズガンダムに攻撃が当たらない。
リボーンズガンダムは距離を離してライフルで反撃した。
あかりはその攻撃をギリギリで回避する。
「あ、危なかったぁ……」
「……それを短期間で使えるのは凄いと思う。けど」
「っ!?」
攻撃を避けた瞬間。目にも止まらぬ速さで急接近したリボーンズガンダムにゼロ距離から銃口を突き付けられる。
「……完全には扱えていないようね」
「くうっ!」
引き金を引き、背中を撃ち抜く。
ダブルオーライザーは吹き飛ばされるも、空中で体勢を立て直した。
「あかりがダメージ受けたっ!?」
「同じセーフティーを解除した状態だけど、あかりの方が追い詰められてるように見えるね」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/27/21:15
「そりゃそうだよ。あおいちゃんの方がセーフティー解除後の操作を長くやってるんだから、習得したばかりのあかりちゃんより上手いのは当然だよ」
京子。結衣。うまるが心配そうにあかりの戦いを見つめている。
「でも、あの子なら何かしてくれそうよね」
背後から聞こえてきた声に三人が振り向く。
「あかねさん。あおばさん……それに元御大将」
京子はジーっとギムを睨むと逃れるようにギムは顔を背けた。
「三人もこっちへ来てたんですね」
「ええ、ギムさんが謝りたいって言うからね」
「お、おう……」
あおばがギムの脇腹をグリグリと小突く。ギムはひきつった笑いを見せた。
「謝るのはいいけど、今はファイトの方が気になるから後にして」
「ええ……」
京子の心無い一言にギムが傷つく。周りの仲間達はそのやり取りを見て苦笑いを浮かべる。
「あかねさんは、あかりが何かしてくれるって思ってるんですか?」
先程のあかねの言葉に結衣が質問するとあかりは微笑んで頷くと口を開いた。
「いままでもあの子は、私達の想像を越えた事をやって来たでしょ。きっと今回もやってくれるわよ」
そう信じてあかねは視線をバトルフィールドへと向けた。
「や、やっぱり強いな……あおいちゃん。でも、楽しい」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/28/16:30
「……楽しい?」
あかりの一言にあおいは目を丸くした。
「……私の方が圧倒しているこの状況で?」
「うん。あかりは楽しいって思えるよ。あおいちゃんとのガンプラファイト……今はあかりが追い込まれてるけど、すぐに追い越して見せる!」
「……その自信はどこから来るの」
「あかりにもわからない。でも、一つだけ確信している事があるの」
あかりは自分の胸に手を当てる。心臓の鼓動が激しく脈打つ。
かつてない強敵と戦えて彼女の心は喜んでいる。
真っ直ぐにあおいを見つめ、改めてコントローラーを強く握ったあかりは心の底から言った。
「ガンプラを好きな気持ちに……ガンプラファイトを楽しむ気持ちに、限界なんてないって!!!!!!」
その瞬間。ダブルオーライザーの輝きが更に増した。
「……これは」
ダブルオーライザーの突然の変化にあおいは目を見張る。何故光が強くなったのか、理解できないでいた。
「じゃあ、行くよ!」
あかりはダブルオーライザーを上昇させる。その速度はセーフティーを解除した比ではない。
もはや赤い流星となって機体そのものが捉えられなかった。
あおいは咄嗟にリボーンズガンダムにシールドを構えさせたが、光が通り過ぎると同時にシールドが真っ二つに斬り裂かれた。
「くっ!」
「あわわわっ!」
光となったダブルオーライザーの姿勢が乱れる。リボーンズガンダムを通り抜けた先で不規則に揺らめいている。
「……あの速度。まさかトランザムを発動させてーーー完全に乗りこなせる前に倒す!」
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プラネテューヌ親衛隊
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/28/19:02
あおいはダブルオーライザーに向けてビームライフルを連射しながらリボーンズガンダムを進ませた。
「こんのおおおおおおおっ!!!!!!」
「……え?」
制御の効きづらい状態だが、あかりは落ち着いてコントローラーを動かした。それに応えるかのようにダブルオーライザーが動く。
一瞬の内にリボーンズガンダムの背後へと移動した。
「くっ!」
「はああああああっ!!!!!!」
「ぐうっ!」
リボーンズガンダムはライフルで反撃しようとしたが対応が遅かった。
右手を蹴られてライフルを手放してしまう。ダブルオーライザーは懐に飛び込んで胸装甲を叩き斬る。
「……」
「……」
あかねとあおばは口を開けたまま、あかりの戦いを見つめていた。
「あ、あの……どうなされたんですか? もしかして赤座さんのあれって凄いんですか」
「……凄いわよ」
綾乃の問いにあおばは生唾を飲み下してから言った。
「セーフティーを使いこなすのも至難の技なのに……しかもそこからトランザムを発動して操縦するなんて、普通出来ないわよ」
「でも、出来てますよね……」
「え、ええ……」
ちなつとあおばは頬に汗を垂らす。
あかねもまた。唖然としながら目の前の光景を見ている。
「確かに何かしてくれるって言ったけど……これは想像以上ね」
「もしかしたら、ここだったのかもね……」
「何が?」
あかねは小首を傾げる。すると、にっと京子は笑った。
「あかりが『主人公』として輝ける舞台……!」
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/29/18:43
あおいを追い詰めるあかりを見据え、京子は声高らかに言った。
「……く、追いつけない」
一気に実力に差を広げられあおいが焦り始める。
「これならっ!」
ライフルもシールドもない。かといって今のダブルオーライザーに接近できる見込みがない。
あおいは、まだ当てられる可能性があるGNファングを射出してそれらを操りダブルオーライザーを狙う。
「あおいちゃんのファングは怖いけど……今のあかりならっ!」
コントローラーを手早く動かして降りかかるGNファングをしっかりと回避する。反撃を防ぐ為、ライフルモードに変形させたGNソードでファングを一つ残らず撃ち落とした。
「やあああああっ!」
「くっ!」
背後に回り込まれ蹴りを叩き込まれた。蹴られた威力とブースターの推進力でリボーンズガンダムをダブルオーライザーから遠ざける。
「……こんなに早く扱えるようになるなんて」
あおいはあかりの上達の早さに驚いている。このままでは……自分は負けてしまうのだろうかと不安になってきた。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/06/29/20:31
「あおいっ!」
自分の名を呼ぶ声。その声は自分の大切な姉のものだった。
振り向くと視線の先にあおばが立っていた。
「自分のやりたいように思いっきりやりなさいっ!」
「……姉さん」
あおばの言葉を聞いて諦めかけていたあおいの心に再び火が灯る。
大好きな姉が見てくれている。
大好きな姉が応援してくれている。
それだけで力が沸いてくる……あおいはコントローラーを握る手を強めた。
「……トランザム」
「えっ!?」
あおいがセーフティー解除状態でトランザムを発動させる。
あかりとは違い。その身から発せられる光は赤ではなく彼女の名前のように青く輝いていた。
「……あなたが出来て、私が出来ない筈がない。行くよ!」
青く輝いたリボーンズガンダムが宙を蹴った。ダブルオーライザーと同等の速度を得たリボーンズガンダムが一気に距離を詰めてくる。
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2017/06/30/21:02
右手でビームサーベルを引き抜いて振り下ろす。
ダブルオーライザーはGNソードでその攻撃を弾いた。
だが、リボーンズガンダムの攻撃はそこで終わりではない。左手でもサーベルを持ち攻撃に転じる。
「そっちも二刀流っ!?」
あかりは驚きつつもその攻撃を防いだ。あおいは防がれてもまた刃を振り下ろし、あかりはその攻撃を防ぎ続けた。
高速の攻防が繰り広げられる中。リボーンズガンダムの姿が忽然と消える。
「え、どこに?」
「……こっち」
リボーンズガンダムはダブルオーライザーの背後を取っていた。
ビームサーベルを振り下ろし、バックパックを斬る。ダメージを受けてバックパックが外れてしまった。
「い、いつの間に背後に……!」
「……攻撃すると見せかけて背後に回っただけ」
「そうだったんだ。なら、これはどうかな!」
あかりはダブルオーライザーを特攻させる。あおいはリボーンズガンダムを構えさせた。
(……私と同じように背後に回る。消えた瞬間後ろを斬り裂いてーーー)
あおいは考えを巡らせるが、その予想は違った。ダブルオーライザーは緊急停止するとライフルモードにしたGNソードで射撃してきた。
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2017/07/01/17:49
「っ!?」
予期せぬ攻撃に数発が被弾してしまう。残りの攻撃を上昇して逃れる。
「狙い通りっ!」
「っ!」
あかりはあおいが避ける位置を予測して次の一撃を放つ。
ビームの粒子が頭部に直撃してパーツを吹き飛ばした。
「……私の動きを読んで攻撃してきた」
「あおいちゃん!」
あかりが強く叫ぶ。
「今度はこっちから行くよ!」
ダブルオーライザーが迫る。頭部を失ったリボーンズガンダムもそれに応じて真っ正面からぶつかってきた。
二機のサーベルが弾け。互いに距離を離したかと思えば空中で何度も衝突し合う。
高速で移動しながらぶつかり合う二機の姿は流星が飛び交っているようにも見えた。
「……そこだ!」
隙を見つけてあおいがダブルオーライザーに一撃を加える。耐久値が大きく減るが、あかりも負けていなかった。
「えいっ!」
今度はあかりがあおいの裏を読んで背後に回り。斬撃と蹴りの連続攻撃を浴びせる。リボーンズガンダムは前方に吹き飛ばされるがスラスターを利用してしばらく行ったところで停止する。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/07/01/19:44
(……なんだろう。この胸にある暖かな気持ちは……)
あおいは不思議な気持ちに包まれていた。息を整えながら瞼を閉じて胸の鼓動を感じる。
「あおいちゃん!」
再びあかりに名前を呼ばれる。あおいは瞼を開いて前方を見据えた。
「もっと楽しもう。全力で!」
相手の顔が見えないのに、何故だかあかりが笑顔を浮かべてその言葉を言ったのがわかった。
そしてあおいは実感した。自分と対等に戦えるこの少女とのファイトを楽しんでいると、自分でも知らない内にそれを告げられていた。
もっと彼女と楽しみたいと。
「……うん!」
ファイトの楽しむあかりに応えるようにあおいはいままで見せたことのない笑顔で返した。
「フフ、あおいがあんな表情を見るの……初めてかも」
あおばは驚きつつも、あおいの初めて見せる年相応の笑みを見て安堵する。
「あまり表情に出さない子だったけど、あの子の今の表情輝いてるわね」
「ええ、あかりちゃんのお陰ね。あの子が真っ正面からあおいとぶつかってくれたから……」
隣のあかねの言葉に耳を傾けながら、あおばは目を細めて二人の戦いを見つめ続ける。
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プラネテューヌ親衛隊
2017/07/02/09:29
「これはどうかな?」
「それならこれで!」
「やったなぁ、今度はこうだよ」
「ふふ、そんな攻撃してくるなんて、あなただけだよ」
台詞だけ聞いてると仲のいい友人が、海辺で楽しそうに水をかけあっているように聞こえる。
ガンプラファイトは戦争じゃない。遊びだ。だからこうして二人は二人だけの空間で楽しみながら戦っているのだ。
「あはは、面白いね」
「……うん、でも。そろそろ」
「名残惜しいけど……決着をつけないとね」
試合時間は残り一分を切っていた。楽しい時間はもうすぐ終わる。
その前にどちらが勝つか……決着をつけなければならない。
「次で勝負を決めるみたいですね……」
「うん、これで優勝者が決まるんだ」
「あぁ、あかりにも勝ってほしいけどあおいちゃんにも負けて欲しくないんだよなぁ〜」
「京子ちゃん……仕方ないよそれは、勝者は一人しかなれないんだから」
緊張感が漂う中。仲間達が見守る。
数瞬の時間が流れた後。フィールドに動きが見られた。
「「はあああああっ!」」
二機が同時に動いた。最後の一撃を加える為に……勝者はーーー。
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