大江戸大河〜SF編〜
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1
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イワナなし
iPhone ios9.1
10/30 17:31
ピー ピピン ピピン…
「大気圏に突入します チェアを元の位置にお戻しください」
人類がこの世に誕生し、以来、人々は空に憧れ続けてきた。
時に空を恐れ、時に空を崇め、いつの日かあの遠い星々へたどり着きたい、そう考えていた。
その欲望の殻は科学技術の発展により破られ、今や宇宙の星々に数多の人類が移り住んでいた。
藤沢博士…
いまや世界にこの男の名を知らぬ者はいない。
まるで異次元から飛び出したような古来からの知識を持ち、現代科学との融合によって宇宙への旅を実現させた伝説の科学者である。
いま、宇宙から一隻の船が地球へとおりたとうとしていた…
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返信数:26件
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2
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一発
iPhone ios9.1
11/04 19:28
「あれが地球だよパパ」
藤沢博士の横には数人の子供らが立って宇宙船「世界」の窓から惑星を見下ろしていた。
時は来た。
人類が生まれ育った母なる地球を離れ数十世紀が過ぎた。
二十一世紀中に劇的な進歩を遂げた科学技術は人類を未知の空間に解き放つと共に、彼らにある希望を託した。
「この世界とは何なのか?」
人類は長い旅の末に神に遭遇した。
この宇宙における秩序は神によって作られた「時間法」なる法律で守られていた。
この宇宙全体を支配する余りに強大な力(それは現象とも呼べるかもしれない)を確認するに至った人類は、目的そのものを失い秩序の中で静かに暮らす道を選んだ。
「地球に帰って一からやり直そう」
しかし、その長い長い年月は宇宙という特殊空間のなかで、人類に遺伝子レベルでの変化をもたらした。
宇宙での生活に順応し、その姿形を大きく変えた人類の身体構造は、今や地球には戻れぬほど弱体化していた。
そんな人類が時間法のグレーゾーンをぬって過去へと送り込んだ人造人間おまつの目的はただ一つ。
過去の健全なる遺伝子を持ち帰ることであった。
現在、地球に人類は一人もいない。
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3
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靴下
SonySOL22
11/07 00:49
『頼んだぞ』
藤沢博士の愛人にして人造人間のおまつは博士の手によって時間を飛び越えた。
2003年 地球 日本
けたたましい音と電磁波を引き連れておまつはたどり着いた。
『早速、データにイッチシタ、ターゲットをサガソウ』
おまつは閑静な住宅街にいた。目の前には『クジラヤ』と書かれた無人金貸し機の店があった。
『この建物カラ当タッテミヨウ』
おまつは持ち前のハイパー聴力で建物の音を拾った。
・・・・・・・・・・・・・・
ナニやらZという人間が電話でモメテイルヨウダ。
・・・・・・・。
Z『何をぬかす、俺はボブディランは大好きだ。貴様に俺の太極拳を食らわしてやろうか。ヨカローガテ』
・・・・・・・・・・・
『体がアルコールマミレ、ターゲットデハナイ』
ピピーン、おまつは再びターゲットを探すこととした。
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4
]
一発
iPhone ios9.1
11/07 14:39
移動したおまつは近くの「ジョイフル」と書かれたファミリーレストランに目を向けた。
店内に大勢の若者がたむろしている。
若者の容姿や服装をくまなくチェックし、頭部メモリー内のライブラリーに照らし合わせる。
「ステルスモード カイジョ」
端から見れば何もない空間に突如として若い娘が現れたように見えたことだろう。
最新鋭のカモフラージュ技術で透明化していたおまつは、この時代に合った女の容姿に変化し、その姿を露わにした。
そのままターゲット探索を続けるおまつ。
ふと道行く男に目をとめた。
短髪につぶらな瞳。下半身は…
ライブラリーにアクセス、やはり軍服のようだ。
角を曲がるところで一緒にいた仲間と別れるらしい。
ハイパー聴力で聞き耳をたてる。
「じゃあな軍人!」
仲間の一人が手を振る。
間違いない。この時代の軍人だ。
屈強なる遺伝子を求めるおまつにはうってつけの男子である。
後をつけ軍人と呼ばれた男に声をかけた。
「あの…軍人さん」
男は振り返るや驚いた様子でさっと顔を赤らめた。
おまつは意を決して言った。
「今夜の予定はおありかしら…もし、よろしければ…」
男は機械じみた動きで首を揺らしたかと思うと「ぼ、僕っ童貞なんでっ!」と言い暗闇へと姿を消した。
残されたおまつが追いかけるべきか思案していると、道行く人々の囁き声が聞こえてきた。
「あれ、…じゃね?」
「え〜嘘〜こんなとこいる訳ないやん〜」
「ほらほら、やっぱそうやん!」
「あ、ほんとだ」
「上戸彩だ!」
気がつくとおまつの周りには人だかりができている。
一人の若者が前に出てきておまつに話しかけた。
「上戸彩さんですよね?」
「?」
「あの〜、サインください!」
どうやらおまつはこの時代の有名人にそっくりらしかった。
「ステルスモード ハツドウ」
「き、消えた!上戸彩消えた!」
若者たちが一様に驚き騒いでいるのを尻目に、おまつはターゲット探しを続けることにした。
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5
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イワナなし
iPhone ios9.1
11/07 15:21
おまつはこの時代の人間を観察し、当時の若者言葉における抑揚を完璧に習得する。
自信を深めたおまつが向かったのは糸島と呼ばれる未開の地。本当に強い遺伝子はそんな場所にこそ育まれるのかもしれない。
おまつが海沿いの国道を歩いていると、正面からアメリカンバイクに乗った集団が現れた。
「...とって!」
聞きなれない言葉だ。
「...かっぱ!」
これは現地の先住民族に伝わる呪文なのだろうか。
「ちかっぱ いーとって!!」
おまつに電撃が走る。かつて地球ではE取手と呼ばれるデジタル取手が大流行していたときく。まさかこの男性がその源流…?
おまつは搾ザーシステムを起動した。
「サイシュ…カイシ」
「ベーチベーチベーチベーチ」
バイクに乗ったリーゼントの男は、数少ない毛髪を散らしながら息絶えた。
その顔は、どこか幸せそうだったという。
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6
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一発
iPhone ios9.1
11/07 17:19
「ハゲビリー サイシュ カンリョウ」
ピーピピピッ
「ニンゲン オス ネンレイ 42 ソウトウ」
「ちっ!見かけ倒しが!」
すっかりこの時代の言葉が板についてきたおまつは、頭部に取り付けられたセンサーの感度を上げた。
このセンサーは若い血に反応する。
センサーの指し示す方向に向かったおまつは「七隈」と書かれた地域に辿り着いた。
歩道を歩く女がふと目に留まった。
おまつは目に内蔵されたレンズを女に向ける。
顔に照準を合わせライブラリーに繋ぐ。
「平安時代の美女」
ライブラリーが導き出した答えはこれだった。
すると女の後ろから男が呼びかける。
「宮パン〜」
女は振り返ると男に駆け寄った。
「ミッちょん、おかえり〜」
人造人間おまつはこの二人が何故だか妙に気になった。
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7
]
イワナなし
iPhone ios9.1
11/07 21:27
おまつはすぐさま過去のデータを分析した。
男
顔の特徴 亀のミュータント
父親がポニーテール
性豪
料理上手
女
この時代におけるゲテモノ
床上手
ダビングが上手い
元カレがブス専
スペースデータバンクから取り寄せられた情報はこれだけ。
だが、十分だった。
おまつはこの男を2人目の遺伝子採取の相手として選ぶ。女は、捨ておこう。
「ほぁ」
とらたけの息子だったそれは鮮やかに弾けとび霧散した。響くみやパンの叫び。それでも捨ておくおまつ。
ここでおまつは一つの問題に気付く。
「遺伝子を採取すると、死ぬ…」
歴史の改変に危機感を持つおまつは採取した遺伝子の解析を忘れ、藤沢へコンタクトを取った。
返答はこうだった。
「その2名、未来へ影響皆無」
おまつはレーダーに従い、七隈から小郡へ向かった。
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