恋ノ涙
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慧+*kei*
🕐05/07 15:10
「ありがとう!!」
そういって微笑みあった卒業式。
私の恋はきっと桜ノ咲く頃始まった。
ー恋ノ涙ー
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慧+*kei*
🕐05/07 15:10
(怖っ)
そう思いながら私は、毎日学校に来ていました。
先輩達が怖くて怖くて、怯えていた桜ノ咲く4月。
体験入部で友達と一緒に卓球部の見学に行きました。
別に、卓球に興味があったわけではありません。
もともと、吹奏楽部に入ろうと思っていたし、友達の付き添いで卓球部に行きました。
私達がミーティングルーム(卓球部の活動場所)に行ったときにはまだ、
先輩達は準備をしていたため私達は邪魔にならない場所で待機していました。
私はその時、特に何をするわけでなく、ぼーっと立っていました。
そんな時、私と同じくらいの身長の先輩が私に手を振りながらこちらに歩いて来ました。
太陽で反射して顔がよく見えなかったのですが、近くになってやっと、誰なのかわかりました。
同じピアノ教室に通う、廉君でした。
私は、この時、廉君に興味もなくてただ「知り合い」という認識でいました。
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3
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慧+*kei*
🕐05/07 15:11
「涼花、卓球部入んの?」
そう廉君に聞かれ私は首を横に振りました。
「ううん、今日は付き添い!」
この時、廉君と初めて話したというのに、タメ口で話せたのは廉君がとても明るく、
フレンドリーだったからだと思います。
「そっかぁ。じゃあ、やっぱり吹部?」
そう聞かれ、私は首を縦に振りました。
「うん!!ていうか、何で廉君は吹部入んなかったの?」
そう聞くと廉君は笑って「走んのめんどかった!!」と答えました。
でも、卓球部の方が走る量が多い事を知っていた私は疑問に思いました。
卓球部は毎日部活前にウォーミングアップとして、外周を3週していました。
その他にも、筋トレメニューが結構ハードでした。
だから、吹部の方が廉君にとって楽だったはずです。
この時はまだ、私に廉君が吹部に入らなかった理由はわかりませんでした。
それに、後に知ることになるなんて思ってもなかったです。
ピアノ教室であったときも、先生に同じ質問をされていましたが、
先生にも「走んのめんどかったんで」と軽く流していました。
でも、それは、もう私が吹部に本入部した頃の事で、確かに吹部も卓球部に負けないほど走っていました。
でも、本当は走るのがめんどかったからじゃない。
本当の理由を知ったのは夏休みでした。
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4
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慧+*kei*
🕐05/07 15:11
廉君は、2歳年上だったけど、背がそれほど高くなかったから恐怖は感じてなかった。
それは小学生の時から変わらなくて、ずっと優しそうだなとは思ってました。
しかし、私は、12月、衝撃の事実を知ってしまっていました。
廉君が笑わない理由を。
私が小6で、廉君が中2の12月中旬、廉君が転校したと、母親に聞きました。
ピアノ教室で毎週会っていたため、全く興味が無いというわけではありませんでした。
それで、廉君がずっと笑わなかった理由を知りました。
「ねえ、すず、廉君ね、前の学校で虐められてて、転校してきたみたいだよ」
私は、この時初めて笑わなかった理由を知り、納得しました。
そして、今、こうして廉君が心から笑えるようになるまでどれほど時間がかかったのだろうと
思うととても大変だったのだろうと考えます。
こんなにも明るく笑う廉君は、ピアノ教室で見れなかったです。
でも、中学に入学して初めて廉君の笑顔を見ました。
しかし、その笑顔に隠された過去を私は、後に知ることとなりました。
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5
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慧+*kei*
🕐05/07 15:12
夏休み、私は、いつも通りピアノ教室に行きました。
レッスンを初めて15分くらいたったころ、先生はいきなり夏コンの話を始めました。
「すずちゃん、夏コンいつだっけ?」
「7月25日です!」
「じゃあ、来週だね」
私は、1年生11人いる中で5人しか選ばれない中で、5人に選ばれていました。
「はい。」
でも、選ばれたことに素直に喜べなかったです。
だって一生懸命頑張っていた仲間が何人も落とされたから。
「そういえばさ、すずちゃん、廉ちゃんが何で吹部入んなかったか知ってる?」
そう聞かれ私は、「走んのめんどかったからじゃないんですか?」と答えました。
すると先輩は首を横に振りました。
「廉ちゃん、他の人は3年間やってるから自分がこれから始めても追いつけないからって
吹部入んなかったみたいだよ。」
それを聞いて私は、廉君は、負けず嫌いなんだなって思いました。
やっぱり、吹部入りたかったんだなと思いました。
それから、レッスンはまた再開し、それからしばらくして廉君が教室に入ってきました。
私は、いつも通り、「こんにちは」とだけ言って、教室を後にしました。
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6
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慧+*kei*
🕐05/07 15:13
9月上旬に行われた合唱コンの伴奏者を決めるオーディション。
私は、とても緊張していました。
千賀と明日香ちゃんと一緒に音楽室に向かいました。
私は、この時、千賀とくだらない話をしていました。
明日香ちゃんとは話したこともなく、明日香ちゃんはあまり性格が良くなかったので
ソフト部の明日香ちゃんは“地味ーず“とよばれる吹部の私と千賀を拒絶していました。
なので私達は明日香ちゃんをあまり気にせず会話を楽しみつつ緊張を解していました。
千賀とは仲が良く、ライバルでもあり、良い友達です。
色々とくだらない話をしているうちに音楽室につきました。
しかし、音楽室からはピアノの音と笑い声が聞こえました。
笑い声は低く、大きかったためすぐに3年男子の先輩だとわかりました。
「ちょっと待って」
そう千賀と明日香ちゃんにいって私は一人、音楽室に入りました。
廉君がいたので私は、廉君にオーディションをするから音楽室を使いたいという事を
伝えました。
すると廉君は、快く了解してくれたので私は、千賀達を呼びに廊下に向かいました。
千賀達と入ると同時に廉君達は音楽室を出て行きました。
ですが廉君は、立ち止まり私の方を向きました。
「オーディションでしょ?俺審査する?」
そう笑いながら冗談を行ってきました。
「いや、廉君が審査したら私受かっちゃうよww」
この時は気づきませんでしたが、オーディションが終わってからこの冗談は私の緊張を解すためのものだと気づきました。
そして、緊張が解れて来た頃、顧問であり、音楽教師である美奈子先生が入ってきました。
オーディションは明日香ちゃん、千賀、私の順で行われました。
これは、学年合唱のオーディションです。
もう一つ、私と千賀には受けるオーディションがありました。
それは、クラス合唱のオーディションです。
クラス合唱のオーディションは千賀、私の順で行われました。
オーディションがどちらも終わり、ついに結果発表。
学年は千賀とは、クラスは私に決まりました。
明日香ちゃんは練習不足のせいか、ミスタッチも多く、テンポ感の不揃いが目立つ演奏でした。
しかし、それと対照的に千賀は練習の成果を存分に発揮していました。
私は、千賀と二人で音楽室を出ました。
すると廊下には廉君がいました。
「廉君!オーディションクラス受かったよ!!」
そういうと廉君は、笑顔でうん!!と答えてくれました。
このオーディションが受かったのは廉君のおかげだったかもしれません。
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7
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慧+*kei*
🕐05/07 15:14
10月上旬。
合唱練習が本格的になってきました。
私は毎日放課後、クラスでの合唱練習が終わった後、部活の時間を少し削って
指揮者との練習、打ち合わせをしていました。
指揮者の改善すべき所、合唱全体の改善すべき所を毎日毎日話し合っていました。
毎日、音楽室のなかにあるレッスン室で練習していたのですがこの日はレッスン室のなかに
誰かがいました。
静かに気づかれぬように扉を開けると廉君が伴奏の練習をしていました。
練習の邪魔しちゃ悪いなと思い、私はゆっくりと扉をしめて指揮者に「今日は部活しよう」
とだけ伝え音楽室を後にしようとしました。
しかしそのとき、廉君に呼び止められました。
「涼花!!待って」
「ん?何?」
「練習、していいよ。」
「え、あ、ありがとう」
そして、私は、指揮者と二人でレッスン室に入り、廉君は、音楽室にあるグランドピアノの
蓋をあけそれぞれ練習を始めました。
「廉先輩、優しいね」
そう指揮者の子に言われ私は、頷きました。
(廉君、気遣ってくれたんだろうな)
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8
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慧+*kei*
🕐05/07 15:14
10月下旬、遂に迎えた合唱コンクール。
これまで廉君の優しさにたくさん触れてきました。
そして何より、1−2の仲間の温かさに恵まれ伴奏者を続けることが出来ました。
私は、沢山の思いを胸に朝練で「絶対成功させましょう!!」とクラスの皆に言いました。
開場前のわずかな時間、私は、皆と体育館に行かずに音楽室に向かいました。
音楽室で息抜きをしながら伴奏の練習をしていました。
「失敗したらどうしよう、、、」
そう、独り言を漏らしたとき音楽室の扉が開きました。
扉の向こうには千賀が居て「もう開場するよ〜」といわれ私は、音楽室を後にしました。
そして「お互い頑張ろうね!!」と千賀と二人で体育館に向かいました。
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9
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慧+*kei*
🕐05/07 15:15
静寂に包まれた体育館にアナウンスの声だけが響く。
「指揮、藤ケ谷大地さん」
「はい」
「伴奏、神谷涼花さん」
「はい」
私は緊張しながらもふらつく足に力を入れお辞儀をしました。
そしてゆっくり椅子に座りピアノと向き合いました。
深呼吸をして指を鍵盤に置き指揮者を見ると指揮者の奥のギャラリーに廉君がいました。
廉君は、笑顔で手を振っていました。
(落ち着け!!)
そう自分にいいきかせたのと同時に指揮者が指揮を始めました。
ゆっくり落ち着いた伴奏のすぐ横で美しく奏でられる2部合唱。
まだ声変わりしていない男子の高い声。
女子の響く高い声。
伴奏、ソプラノ、アルトのハーモニーを体で感じる指揮者。
そして曲も終わり再びお辞儀をしました。
今度は安心して力が抜けふらつく足に力を入れながら。
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10
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慧+*kei*
🕐05/07 15:15
次は廉君のクラスの合唱。
「指揮、安田啓太さん」
「はい」
「伴奏、菅田廉さん」
「はい」
指揮者と伴奏者が合わせて礼をし、伴奏者は席に着く。
廉君はとてもリラックスしていていつも通り腕捲りして深呼吸をし肩の力を抜き演奏を始めました。
廉君の音はいつも私が聞いている音とは違いました。
昨日レッスンで会ったときとは全く違う音でした。
一つ一つの音から伝わって来る緊張と合唱に賭ける魂。
今まで一度も聞いたことの無いやる気に満ち溢れた音でした。
あっという間の5分間。
呆気にとられていました。
本当に凄い演奏でした。
まるでウィーン少年合唱団の歌声を聞いているようなそんな感覚でした。
私は、指揮者の隣に座っていたのですが2人顔を見合わせ唖然としていました。
これほど凄いクラスは1.2年にはありませんでした。
凄いのは伴奏だけでなく指揮も合唱もでした。
2組の合唱もとても凄かったのですがそれは歌だけで伴奏や指揮はあまり感じるものはありませんでした。
それはきっと2組の伴奏者、指揮者の先輩が緊張していたからだと感じます。
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