失恋
[
1
]
未朱
🕐06/01 01:16
死にたいと思ったのは初めてだった。
手首を切ったのも初めてだった。
血は、少しの間流れて――そしてすぐ止まった。
血はすぐ止まるのに、涙は一向に止まる気配がなかった。
わかっていた。
愛子は、わかっていたのだ。
人を愛することがどんなことなのか。
それがどんなにつらいころなのか。
わかっていたはずなのに…愛子は恋をしてしまったのだ。
話は、今カラ3ヶ月前にさかのぼる――
前からかっこいいとは思っていた。
が、話かけられたのは初めてだった。
「シャーペンの芯かして」
いきなりしゃべりかけられて愛子は戸惑った。
「……いいよ」
戸惑いながらも貸すと
「ありがとう!っつぅか貸すってゆうよりもらうになるよな!」
とゆってその少年は笑った。
それが愛子とその少年――真幸(まさき)との初めての出会いだった。
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[
2
]
未朱
🕐06/01 01:17
真幸はかっこよかった。少なくても、そのへんのダイコンみたいな男子よりかは数倍。
だが、愛子はしゃべったことがなく、無縁の存在だと思っていたし、愛子自身も真幸をそんなに好いていなかった。
(…あんなんしょせん“顔だけ”じゃん!軽い奴らしいし…)
…そう思っていた。
――――
「愛子ちゃんおはよう!」
いきなりしゃべりかけられて、愛子は驚いた。
(はっ!?)
「愛子ちゃんシカトぉ?」
見ると目の前には真幸。
「おっ…おはよ…」
そう愛子がゆうと、真幸は愛子の頭をぽんとたたいて去った。
愛子の頭の中は「?」でいっぱいになった。
(なにあいつ…ほとんど初対面なのにいきなり“愛子ちゃんおはよう”ってなに!?しかも愛子ちゃんとかっ…ちゃんで呼ぶなよなっ)
そう思った。
教室では友達がさわいでいた。
「見て見て!真幸がバスケしてるっ!」
「すごくかっこいい!なにあれぇー芸能人みたいじゃんっ!」
こんなのは日常茶飯事のことだった。
「ねぇ?真幸かっこよくない?愛子ぉ」
「はっどこが!?なんか軽そうな顔してるじゃん!あたし軽い奴きらい!」
すると友達はあきれたように
「誰も愛子の趣味なんか聞いてない!ってかもしかして愛子目おかしい?あんなにかっこいい真幸がかっこよき見えないなんて!!」
今度は、逆に愛子があきれてしまった。
――――
友達の力・言葉の魔力はすごいものである。
愛子は今、真幸の隣の席だから真幸をちょっと見てみた。
(確かに…かっこいいかもしんないなぁー)
透き通るほどのきれいな目、高くきれいな鼻、すらっとしたりんかく…確かに、かっこいい…。
そして、その視線に気づいたのか真幸がこっちを見た。
「どぅした?愛子ちゃん!」
愛子ちゃん、と聞いた瞬間力がぬけた。
「あの…お願いだから愛子って呼ぶなぁ!なんかきしょいじゃん!」
そうゆうと真幸は少し悲しそうな顔して
「別にいいじゃん愛子ちゃんのけち!じゃあ愛子って呼ぶわ!」
「………ヤメテ」
「俺のことも真幸って呼んでいいよ!」
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[
3
]
未朱
🕐06/01 01:18
真幸はみんなカラの人気者だった。
どこの学校にも絶対1人はいる、男女から人気者の、リーダー的存在。
当然かなりモテた。だが、愛子の趣味ではなかった。
だから、愛子は真幸に対して冷たかった。
「愛子!この問題わかる?」
「真幸こんなのもわかんないの?ばっかじゃん!」
「うるせーなっ!」
だが、だんだん二人の距離は縮まっていった。
―――――――
「愛子って、みんなから好かれてるよな」
ある日真幸が言った言葉。愛子にとっては驚きの言葉だった。
「はっ?ありえないよ!真幸のほうが好かれてるじゃん!みんなからの人気者じゃん!」
「どこが?」
「女子からはモテてるし、いつも男子の輪の中。はたから見たらすっごい人気者だよ!」
「でもそれだけ。」
真幸は、少し笑いながら言う。
「みんな俺には秘密とか言ってくれないんだ。すぐしゃべるとか思われてるみたいなんだけどな。そんなことないのにな…」
「………。」
「そのぶん愛子は信用されてる。愛子、男子から評判いいんだぜ?沢口愛子はイイ奴、信用できるって!」
「えっマジ?」
「おぅマジマジ!本当の人気者ってそぅゆうことじゃん?だから俺は愛子がうらやましいんだよなー」
そう言って、真幸は笑った。
愛子の初めてみる、真幸の意外な一面だった。
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[
4
]
未朱
🕐06/01 01:20
「愛子ってもしかして真幸のこと好きなの?」
友達にそう言われて愛子は驚いた。
「はっ?なにゆってんの?」
「え、違うの?それかもしかして付き合ってる?」
「ありえないありえない!なんで?」
すると友達―咲は微笑んで言う。
「だって、愛子、真幸としゃべってるときすごく楽しそう!ってか幸せそうな感じ。あたし、愛子のあんな幸せそうな顔はじめて見たからびっくりした!」
え――――
愛子はびっくりした。
そんなつもりはなかった。
ただ、真幸としゃべってるとおもしろいなって…。
そう思っただけ。
ただ、それだけ。
「なんだぁ違うならいいんだぁ〜」
咲が笑う。だがその言葉はもう愛子の耳に右から入って左へぬけた。
(あたしが…真幸のことを好き?)
考えれば考えるほど赤面してしまう。
愛子はその日なかなかねむれなかった。
――――――
「愛子!よっす!」
「あ、真幸…おはよう。」
次の日会ったとき愛子は少しだけ戸惑った。
「ってか俺、期末5教科50点なんだよな!ありえねぇ〜」
「あははっ!マジバカじゃん!」
「うっせぇなぁ〜!愛子何点だった?」
「あたし?あたしは350点なりけり〜!」
「げっ!」
「ふふふふふ〜!あんたとあたしでは頭のできが違うんだな〜!」
そんな感じで二人は笑いあった。
愛子はわからなかった。この気持ちが、恋なのか…。
だが、真幸としゃべってると楽しい。
それははっきりとした真実。
―――――――
それから2週間。
愛子は聞いてみたいことがひとつだけあった。
思いきって聞いてみた。
「真幸って好きな人いるの?」
しばらくの沈黙。
「一体いきなりどうしたんだよ?めずらしいな〜愛子が恋バナとか」
「たまにはいいじゃん。で、どうなの?」
愛子の心臓は高鳴っていた。
「……いるよ。」
(!?)
心が切り刻まれたような感覚。
「だっ…だれ!?」
「それはいえませ〜ん!ってか愛子はいるんか?」
愛子は体全体がふるえていた。
「あたしは…いないよ」それだけを言うのが精一杯だった。
―――――
愛子は考えていた。
あのとき…真幸に好きな人がいると知った瞬間、心がふるえた。
確かに、傷ついた。
(あたしはやっぱり…)
これで確信がもてた。
この真幸へのきもち、これは―
まぎれもなく、恋するきもち。
(あたし真幸のこと好き)やっと好きと気づくことができた。
でも真幸には好きな人がいる…。
愛子は涙をこらえた。
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[
5
]
未朱
🕐06/01 01:21
愛子がやっと真幸への気持ちを認めて数週間。
愛子は完全に真幸大好きになっていた。
真幸の性格、顔、声、しぐさ、すべてが好きになっていた―――
席も隣で仲良しで、愛子は幸せな毎日を送っていたのだが――
運命はようしゃなく襲う。
席替えの季節だった。
――――――
(席替えか…やだな)
ちらっと隣を見る。
隣には愛する人の姿…。
この毎日見てる風景が見れなくなる。
心が痛んだ。
「ん?愛子?どうした?」
「なんでもないよ…」
真幸と離れるからさみしい。
そんなこと愛子は口がさけても言えなかった。
「あ〜あっ!席替えやるんやだなぁ!」
真幸が吠える。
「えっ?いやなの?」
「いやに決まってるし!」
「なして?」
すると真幸は顔を赤らめながら
「愛子と離れるから。」
と言った。
愛子は耳を疑った。
そら耳だと思った。
「え…うそ?」
「うそじゃない!ここまできたら言うけど俺愛子のこと好きなんだ」
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血は、少しの間流れて――そしてすぐ止まった。
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わかっていたはずなのに…愛子は恋をしてしまったのだ。
話は、今カラ3ヶ月前にさかのぼる――
前からかっこいいとは思っていた。
が、話かけられたのは初めてだった。
「シャーペンの芯かして」
いきなりしゃべりかけられて愛子は戸惑った。
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