温泉街のゆっこちゃん
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AYU @チェスを愛す者
🕐06/03 00:12
「え。家、旅館じゃないの?」
ため息混じりの声が教室を埋める。
私、桜木裕子。
お父さんとお母さんが離婚をして、お母さんについてきたわたしは、京都の温泉街に引っ越した。
それなのに、お母さんはチェーンファミレスでパート。
今、小学校にいる。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが学校中に鳴り響く。
「起立!」
気の強そうなつり目の女の子が号令をかける。
それに続けてクラスのみんなは立ち、
「お願いします!」
と、威勢のいい声をあげた。
その様子をぼんやりとながめながら、私は
「はぁ。」
不安と感嘆の混じったため息をついた。
すっごくきびきびしてる。
前の学校とはまるで大違いだ。
そう不安を感じながらも、やはり陽キャの私には期待しかなく、胸が踊る気持ちで廊下で待っていた。
「桜木さん教室入って。」
若い女の先生という外見がそのまんま、若宮先生がこそっと呼んでくれた。
汗が首を流れる。すごく暑い。
窓の外をふと眺めると、太陽がじりじり照り付けるギラギラとした運動場で、今も汗水垂らしながらサッカーをしている子達がいた。
夏休み明けの二学期。
といっても、始業式ではない。
始業式に来るはずだったけど、私、運悪く発熱しちゃったんだよね……。
だから、今日は初日から通常授業。それでも休み時間はあるし、全然悪い気はしない。
「東京から引っ越して来た、桜木裕子です。ゆっこちゃんって呼ばれてたので、みんなもぜひゆっこって呼んでください。」
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ため息混じりの声が教室を埋める。
私、桜木裕子。
お父さんとお母さんが離婚をして、お母さんについてきたわたしは、京都の温泉街に引っ越した。
それなのに、お母さんはチェーンファミレスでパート。
今、小学校にいる。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが学校中に鳴り響く。
「起立!」
気の強そうなつり目の女の子が号令をかける。
それに続けてクラスのみんなは立ち、
「お願いします!」
と、威勢のいい声をあげた。
その様子をぼんやりとながめながら、私は
「はぁ。」
不安と感嘆の混じったため息をついた。
すっごくきびきびしてる。
前の学校とはまるで大違いだ。
そう不安を感じながらも、やはり陽キャの私には期待しかなく、胸が踊る気持ちで廊下で待っていた。
「桜木さん教室入って。」
若い女の先生という外見がそのまんま、若宮先生がこそっと呼んでくれた。
汗が首を流れる。すごく暑い。
窓の外をふと眺めると、太陽がじりじり照り付けるギラギラとした運動場で、今も汗水垂らしながらサッカーをしている子達がいた。
夏休み明けの二学期。
といっても、始業式ではない。
始業式に来るはずだったけど、私、運悪く発熱しちゃったんだよね……。
だから、今日は初日から通常授業。それでも休み時間はあるし、全然悪い気はしない。
「東京から引っ越して来た、桜木裕子です。ゆっこちゃんって呼ばれてたので、みんなもぜひゆっこって呼んでください。」